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ひとり、スリランカを旅して

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23歳、小心者が行く波瀾万丈のスリランカ旅行記。
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ローカルバス2回乗り継ぎ8時間耐久戦

ローカルバス2回乗り継ぎ8時間耐久戦

現地人の乗車率がほぼ100%のスリランカのローカルバスは、意外にも心地良い場所だった。その心地良さを引き出しているのは何かといえば、それは窓からビュービューと吹き込んでくるセイロン島の湿った風とあたたかな人の笑顔であった。

僕がこの国を愛してやまない理由は人がとてつもなくあたたかいことだろう。

どこを歩いても、どのバスに乗っても、人々は僕の方へ可愛らしい笑顔を見せるのである。それは、外人という

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ひとり、スリランカを旅して

ひとり、スリランカを旅して

入国、そして困惑一人旅というのは、何だかハードルが高いものであるような気がしていた。とはいえそれは年齢と場所によるもので、僕のはじめては中学3年生のときの横浜の日帰り一人旅だった。

電車に乗ったことなんて数えるほどしかなかったから、1人で横浜まで辿り着けるのか不安でいっぱいだった。鹿児島とかの地方から横浜となれば話は変わってくるが、小田原という同じ神奈川県内での移動で心臓がバクバクだったのだから

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汝、善人か悪人か

汝、善人か悪人か

※この記事は続編ですが、前の記事を読んでいなくても大丈夫!

スリランカはコロンボ、終点のバス停に着いたのは昼前のことだった。大きなバスターミナルで、ひと昔前に日本で走っていたであろうエアコンなしの窓を全開にして走るバスたちがここに集結してきている。

ここからコロンボフォートレールウェイステーションはほど近く、歩いていける距離だという事前情報もあって道ゆくトゥクトゥクドライバーの勧誘を無視して歩

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爆揺れ列車の車窓から

爆揺れ列車の車窓から

キャンディ行きの列車が出発した。旅は既に始まっているが、いよいよ始まるような予感を列車の揺れが後押しした。

列車が動き始めて20秒ほどだろうか。プシューっという大きな音を立てて列車はいきなり止まってしまった。

思わず「え?」と声が漏れたがその後一息つく間もなく列車が再び動き始める。今度こそは問題ないようで、コロンボの市街地、スラム、椰子の木々と木々の間をかき分けるように進んでいく。

『世界の

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トゥクトゥクドライバーとの心理戦

トゥクトゥクドライバーとの心理戦

キャンディの駅に着いたのは夕暮れ時のことであった。ただし、スリランカで見る夕焼けはお預け。冷たい雨脚が強く、ホテルまでの3キロはトゥクトゥクを使うことにした。

便利なことに、ここスリランカでもスマートフォンでタクシーを呼ぶことができるようで、日本で予めインストールしておいた「Pick me」というアプリを立ち上げる。シムカードも空港で買っているので使えるはずなのだが、電波が悪いせいか画面は永遠と

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古都キャンディで過ごす聖夜

古都キャンディで過ごす聖夜

マジックアワーが過ぎた頃、キャンディの街を目指して山にあるホテルからとぼとぼとGoogleマップを見ながら歩いた。

目指すはキャンディで有名なバラジ・ドーサ。ドーサというのはキャンディの郷土料理なのかなんなのか分からないが、とにかくカレーをクレープのような生地で包んだ有名な料理らしい。「バラジ」がいったい何なのかは分からぬ。が、まあきっと「美味しい」とかそういった名前なのではないかと思う。『地球

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キャンディ日和 (ウニャムニャ・ムスリムデイ)

キャンディ日和 (ウニャムニャ・ムスリムデイ)

泊まったホテルは一泊2,000円もしない安宿なので、朝食はついていない。朝食は別料金らしく、800円ほどであるらしい。格段、高い料金ではないがスリランカにおいては割高である。

それに昨日夕食後で訪れたパン屋の紅茶が美味しくて、そこで朝食を取るつもりだったから、朝は適当な時間に起きて朝食ついでにキャンディの街を散策することに決めていた。

スリランカの強い日差しから身を守るために日焼け止めを塗りた

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そのほほえみに恋をした

そのほほえみに恋をした

「知らない人にはついていかない」
誰もが幼き頃から耳にしていた言葉である。

大人になってしまえば知らない人について行く機会がそもそもなくなってしまうから、こんな言葉は意識することなく生活ができる。

だが、異国においては知らない人から声をかけられることがやたらと多い。無論、旅する国によって異なるのだろうが、スリランカに関していえば、もうそれはそれはモテモテである。

「このグットなTシャツが絶対

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ジャパニーズガールフレンドと交際するスリランカ人と、独り身の僕

ジャパニーズガールフレンドと交際するスリランカ人と、独り身の僕

商売というのは「一工夫」がいかにも大事なものであるというのは古今東西共通することみたいで、ここスリランカでも工夫された口説き文句を数多に体感してきた。

安さを売りに出す人、執拗なまでに質をアピールする人、日本について知っていることをベラベラと話し始める人(大抵の場合トウキョウ!オオサカ!アリガトウゴザイマス!と言っている)……

が、それとは一線を画すような忘れられないキャッチの一言があった。

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いざシギリヤ

いざシギリヤ

雨季なのに太陽がキャンディの街を照らした朝。この愛くるしい街に別れを告げ、僕はシーギリヤを目指した。

ホテルからキャンディのバスターミナルまではアプリでトゥクトゥクを呼んだ。トゥクトゥクドライバーにこれからどこへ行くのかを尋ねられ、正直にシーギリヤと言った後はバスではなくトゥクトゥクで行くのがベターだとかなんとか言われて面倒くさかった。ベターでもなんでもなく単純に彼の営業である。

試しにいくら

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何回か死にかけたけどまた行きたいあの場所

何回か死にかけたけどまた行きたいあの場所

死にかけるというのは実際のところ死んでいないのだから、その程度というものがあると思う。それに、「死」とは生物的死と社会的死の2種類が存在するものだ。心臓が一時は止まったけれど再び動き出すという限りなく死に近い生物的死にかけがあれば、飲み会であやうく吐瀉物を撒き散らしそうになるという社会的死にかけも存在するだろう。

では、僕がスリランカの滞在中に何度か死にかけた経験というのはどこに分類されるのか。

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なにゆえヒッカドゥワ!?

なにゆえヒッカドゥワ!?

スリランカのシーギリヤは石見荘という日本人の経営する宿にチェックインしたとき、シンハラ人のおじさん従業員に「明日はどこに行くんだ」と聞かれた。

スリランカ4日目はヒッカドゥワという海辺の街で過ごす予定であった。僕がヒッカドゥワと答えると、おじさんは目を丸くして「ヒッカドゥワ!?」と聞き返してきた。「イエス」と答えると彼は「ヒッカドゥワイズソーファー」と苦笑いしながら続けた。

確かに地図で見ると

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