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【民俗学】日本人の衣服に原色が少ない理由

 日本屈指のアパレル会社であるユニクロの「ウルトラライトダウンジャケット」という品名のカラー展開をメンズ・ウィメンズとでみると、メンズ、ウィメンズ共にビビットなカラーリングは少なく、中間色が多く使われていることがわかる。8色のうちレッドのみがビビットな色に分類され、ほかの色はブラックやホワイトを除いて中間色を使った渋めな色味といっていいだろう。

 またウィメンズのカラー展開を見ると 10色のうちほとんどが中間色で展開されている。ウィメンズのカラー展開でもパキッとした原色の雰囲気のものはブラックくらいなのではないだろうか。これは最近のトレンドとの相関関係がもちろんあるだろう。しかし、トレンドという垣根を越えた淡く渋い中間色が我々の民俗といえるかもしれない。

 今回はその民俗には江戸時代の文化の習わしが関係すると仮説をたてた。

 江戸時代に生きる人々は度重なる飢饉によって、質素倹約な生活を幕府から強いられた。それにより、「着物に関して庶民が身につけられる物の素材は『麻』 または『綿』、色は『茶色』『鼠色』『藍色』(納戸色)のみ」(1) と制約を受けた。しかし、江戸っ子たちはこの三色の中間色を生み出し、決して鮮やかな色ではないがおしゃれに着る「粋」な文化を見出だした。いわゆる「四十八茶百鼠 」だ。

「江戸っ子は粋でいなせ」という言葉があるように、粋なカラーを作り出した江戸っ子たち。所説あるが、「垢ぬける」は「赤」というビビットなカラーで着飾らなくても粋でかっこいいという意味から来ているとか。つまり、「赤抜ける」である。この説は確かなものではないが、私たちのタンスの中が渋く、淡く、中間色ばかりなのはここにルーツがあるからなのかもしれない。



【参考文献】
(1) 制約の中から花開いた「四十八茶百鼠」
2020.2.19閲覧

●写真はユニクロ公式ストアから引用。



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