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永井孝尚著 【これ、いったいどうやったら売れるんですか?】

コロナで売り上げが落ち込む中、なんとか打開策はないかと日々奮闘しています。

補助金を申請して新型の真空包装機を導入してみたり、テイクアウトに力を入れてみたり。

あれやこれやとやってはみるもののこれといって目に見えた変化はない。

増えていくのは借り入れの金額だけで通帳の残高は減る一方。

「もううちの店は終わりなんじゃないか…」

そんな言葉が頭をよぎるようになってきた時、ふとあることを思いついた。

「もしかしたら自分のやろうとしていることがお客さんからは求められていないのではないか?」

今自分と同じようにもがいている飲食店の方へ、今後の商売のヒントになればと今日はマーケティングに関する読書記録です。

商品開発は顧客のニーズに応えるための手段にすぎない

今回この本の中で特に今の現状にマッチしているテーマがここかなと思いました。

つまり、「良いものを作ろうとするあまり商品開発が目的化していないか?」ということです。

商品開発の真の目的とは?

商品開発の目的は商品を作ることではありません。それを使う顧客を作り出すこと。顧客の創造です。

本書では北海道十勝産の冬のマンゴーを事例に解説してあります。

本来マンゴーは暖かい南の地方の農産物です。九州の宮崎マンゴーが有名ですよね。

それがどうして真逆の北の北海道でしかも冬に!?著者も最初にデパートでこの1玉3万円のマンゴーを見つけた時には驚愕したようです。

十勝には真冬のマンゴーに最高の条件があった

この手品のような真冬のマンゴーのカラクリはこうです。

夏場に冬に積もった雪で大型ハウスを冷やし、逆に冬場に十勝温泉の温泉水でハウスを暖めることで、マンゴーに7月が冬で、12月が夏だと勘違いさせているんです。


十勝は元々農業がとても盛んな土地でした。日照時間も豊富でなおかつ明治以来の開拓地ということもあり、新しい農産物の開発にも積極的。

実は十勝には冬場にマンゴーを作る環境が整っていたのです。

面白いのがこの提案をしたのが本番宮崎のマンゴー生産者だったのです。

同じマンゴー生産者として国内にライバルが増えることは問題なのでは?と思いところですがそこは全く関係ありません。

なぜなら宮崎のマンゴーは春から夏に、十勝のマンゴーは冬に出荷されるからです。

時期が違うので市場では競合せず、むしろ1年中マンゴーが食べられることでお客さんの需要も拡大するのです。

そういった経緯から北の北海道に十勝産のマンゴーは誕生したのでした。

十勝産マンゴーの作り出した顧客とは?

結論から言うと十勝マンゴーが作り出したものは新しい農産物ではなく、冬にマンゴーを食べるという顧客でした。

つまり、商品開発ではなく顧客開発だったのです。


顧客開発につながる商品開発とは?

商品開発を成功させるためにはお客さんを創り出すことが必要です。

そのためには最初にお客さんも気がつかないニーズをとらえることが必要になってきます。

今回の十勝産マンゴーを例に考えてみましょう。

①お客さんも気がつかないニーズ

→「真冬にもトロピカルフルーツを食べたい、あげたい」

②開発された商品

→十勝産マンゴー

③創り出された顧客

→年末年始やクリスマスにマンゴーをあげる人、食べる人

これまで冬にマンゴーを食べる消費者はいませんでした。しかし十勝産マンゴーはその常識を覆し、「冬にマンゴーを食べる」お客さんを作り出したのです。

マンゴーは贈答品としてよく選ばれます。

以前からデパート側も「年末にマンゴーがあれば売れるのになぁ」と思っていたそうです。

こうして十勝産のマンゴーは北海道の生産者にも、本番宮崎の生産者にも、そしてデパートのフルーツ売り場にも顧客にもメリットを生み出したのです。

プロダクトアウトにならないための魔法の言葉

では、十勝産のマンゴーのように成功する商品開発のためにはどうすればいいのか?

顧客のニーズの考え方としては先ほども説明したように「お客さんも気がつかないニーズ」をとらえることです。

逆に商品を中心に考えてしまうプロダクトアウトでは失敗してしまいます。


ひと昔前の携帯電話メーカーの例

例えば昔の携帯電話は重くて分厚いものでした。

それが今やスマホに代わり、最新のものでは5ミリ以下というものも出回っています。

そんな時代になってもちょっと前までは携帯電話メーカーはコンマ数ミリの差を競い、薄さや軽さを売りにしていました。

しかしこれは我々にとって意味のあることでしょうか?

開発努力を続け、必死にアピールしてもその意味はほとんどありませんでした。

このように一時期の携帯電話メーカーはお客さんのニーズに応えるためと思いながらお客さん不在の無意味なスペック競争に陥っていたのです。


「そもそもお客さんって誰だっけ?」

「これってお客さんにとって何がいいの?」

商品開発は常にお客さんの姿を頭に残しながら行うようにしなければいけません。もし商品開発に行き詰まったら、この二つの言葉がヒントになるはずです。


まとめ

・商品開発の目的は「顧客の開発」

・商品開発では主役はお客さんであり、商品は脇役である

・いつの間に手段である商品開発が目的に替わってしまわないよう常にお客さんの姿を頭に置くこと。

今回本書を読んでみて、改めてマーケティングの大切さを感じました。

自分も一生懸命お客さんのためにと思っていたことがそもそもずれていては元も子もありません。

テイクアウトで新たな顧客をと意気込んでみたものの、肝心のお客さんのニーズに関しては深掘りできていませんでした。

同じように切羽詰まっているあまりにひとりよがりの商品開発になっているケースは多くあるように思います。

そんな時に本書を読んでいただければなにか今後のヒントが見つかるのではないかと思います?

他の章でも非常に読みやすく事歴に沿って解説してくれています。

マーケティングに興味がなかった方や日頃あまり本を読まないという方にもオススメの一冊です。

まだまだ先が見えない状況が続きますが、一緒に踏ん張ってこの危機を乗り切りましょう!





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