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1杯500円のコーヒーに掛かっているモノ・コト

高崎市にある小さなカフェ「Cafe&Shop 60」の店主です。今日は当店の看板メニュー(?)であるコーヒーについてお話ししようと思います。

価格だけでみると”選ばれない1杯”

コーヒーを入れると店内が一気にいい香りで包まれます

当店のコーヒーは1杯500円。大きめのマグカップなので通常のコーヒーカップ2杯分くらいの量があります。
とはいえ、お店から車で2分ほど行けばコンビニで120円の淹れたてコーヒーが飲めます。3分行けば座席がいっぱいあるチェーン店で120円のコーヒーを飲みながら何時間でもいられます。さらに5分ほど行けばフラペチーノの有名なチェーン店だってあります。なんだったらスーパーでペットボトルや缶のコーヒーを買えば100円もせずにコーヒーを楽しめるでしょう。さらに言ってしまえば、当店ではホットコーヒーをサイフォンで淹れているため、提供までに少々時間がかかってしまいます。

正直に言うと、価格だけでみれば当店のコーヒーは選ばれることのない1杯です。それでもうちのコーヒーが飲みたいといってきてくれるお客様、コーヒー豆をリピートしてご利用いただいてくれるお客様がいるロクゼロ。皆さんに支えられて今日まで提供してきている1杯に、どんなモノ・コトが関わっているのかをお話しします。

豆は1種類 オリジナルで

当店で出しているコーヒーの種類は1つだけ。「ロクゼロオリジナルブレンド」のみです。ホットもアイスも同じ豆で、挽き方と淹れ方を変えています。
当店のコンセプトでもある「自分と人と地球に優しくなれるきっかけを」に沿って、豆は有機認証とレインフォレスト ・アライアンス認証を取得しているもので選んでもらい、専用工場で焙煎して届けてもらっています。(”有機”という言葉を付けるため認証を受けた工場で焙煎してもらう必要があるのです。きびしーっ!)この2つの認証を受けていることで、簡単に言えば「環境や社会に配慮した環境で作られた身体にやさしい有機のコーヒーですよ」という証拠になるのです。

実際にサイフォンを使った飲み比べも 1時間で5杯くらい飲みました

工場の担当者さんと何度も打合せをしたなかで、一番に譲れなかったのがこのW認証でした。私が口でお客様に説明するだけじゃなく、社会的にも証拠として認められる豆を身近に楽しんでもらう場になりたい、という想いがあったためです。

そして豆の種類は1種類に。焙煎度合いを変えてホット用、アイス用などを作る案も出ましたが、季節によって注文の偏りが出てしまうし、そうなると在庫にも偏りが出てしまう。そうなれば焙煎から数か月以上たったものをお客様に提供することにだってなりかねない。ということで種類は絞りながらも、提供までの過程で挽き目やレシピを調整してホットとアイスどちらでもおいしい1杯を提供する形にたどり着きました。

サイフォンを選んだ理由は味だけじゃない

ココだけの話:テイクアウトカップのスタンプはすべて手押しです

ロクゼロではホットコーヒーをサイフォンで淹れています。
初めてサイフォンを見るという方も多く、動画を撮ったり、科学の実験みたい!と食い入るように見つめるお子さまもいらっしゃいます。寒い日にコーヒーを淹れていると、ビームヒーターのあたたかな光が暖炉の火のように見えて、うっとりと見入ってしまうこともしばしば。そんな景色が好きで、わたしはお店をやるときに「サイフォンでやる!」と早い段階で決めていました。つまりは雰囲気、見た目です。

もちろん、実家でサイフォンを使っていたからなじみがあったことや、サイフォンコーヒーのすっきりとした味わいが好きというのも理由のひとつではあります。

それでも一番の決め手はサイフォンのある景色でした。仕事としてコーヒーを淹れるのであれば、好きな景色のなかで好きな味を届けたかったのです。

お値段以上に想いをこめて

晴れた日はテラス席やテイクアウトでコーヒーを楽しむ方が多いです

実際の提供にかかる代金や時間を考えると、500円は安いのか高いのか。正直にお話しすると「そこまで」という感じです。お店として経営する以上、高く設定すればするほど利益はでるのでそりゃそうだろというツッコミはあるかと思いますが、「そこまで」の部分に色々込められていることをご理解いただければと思います。

ですが500円というワンコイン価格は原価計算をする前から決めていました。

「コーヒー豆にも有機ってあるんだ!」
「レインフォレストアライアンスってなんだ?」
「コーヒー豆って1種類でも淹れ方でこんなに味が変わるんだ!」
「サイフォンってこういうものなんだ!」
「お家で淹れるのとどんな違いがあるかな?」

と、気軽に飲める1杯のコーヒーからいろんなことを感じて欲しかったのです。少しでも「自分と人と地球に優しくなれるきっかけを」お届けできればいいなと思いながら、今日も小さなお店でコーヒーを淹れています。



↓ロクゼロのお店情報はInstgramよりご確認ください↓


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