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初めの一歩【地元企業の手作りソーセージ開発への挑戦】


中村学園大学栄養科学部フード・マネジメント学科 平田野々花  
 
あるゼミの日。
「鹿児島で一週間のワ―ケーションプログラムがあるので、気になる人は参加してくださいね。」
気になる!……でもなあ。
だって、知らない場所で知らない人たちと関わるなんて…
「私いきます!」「僕も興味あります!」って早速同じゼミの生徒が言うのです。
好奇心と行動力の塊みたいな人達が。
…………行ったれ~!
と、半ば張り合いですが、出たとこ勝負だという思いでこのワ―ケーションプログラムに参加することを決めました。
 
福岡の栄養科学部の大学生です。
今回はゼミの同級生4人と一緒に参加しました。私たちは、大学で食の栄養や調理からマーケティングやマネジメントまで総合的に学んでいるので、今回ワ―ケーションプログラムではこのようなミッションを課されました。

「地元企業と共に未だ世に無い無添加ソーセージを作る」
授業で一度作ったことはあるものの、ソーセージの知識はほぼ無い私たちにとってはデカすぎるミッション。
でも、挑戦以外の何物でもないミッション。全員もれなく燃えました。
ワ―ケーションプログラムが始まるまでに5人で会議を重ね、ソーセージの試作までしました。
初めて作ったソーセージを見てください。

…燃えた心の炎が消えそうになりました。 

1日目 民宿はやせ
私だけ大学の試験と重なり、途中参加でのスタート。今から鹿児島に行くんだ~と、このプログラムに参加できなかった友達に自慢して大学を出ました。協力隊のみなさんが柔軟な対応をしてくださり、阿久根駅で出迎えてくれました。駅内のピアノで「戦場のメリークリスマス」を弾いているおじちゃんがいて、おじちゃんも私のことを出迎えてくれとるなあと、とても素敵な気持ちで阿久根市と初めましてすることができました。

今日泊まらせていただくのは、「民宿はやせ」さん。海とつながる湖のそばの丘の上にある古民家風民宿です。
来て早々にオーナーのはやせさんが釜戸でご飯を炊いてくれました!
お米甘かった~!炊きあがるまでの数十分間興味津々で見守っていました笑

民宿はやせから見えるこの朝日!きれいや~~
歯ブラシをくわえたまま外に飛び出して撮りました笑


2日目 ソーセージ試作① 食感に苦戦 

ソーセージ試作初日!
いよいよ!阿久根市のお肉屋さん「株式会社三九」さんと共同でソーセージ開発スタートです!
まずは大学で試作した要領で作り、三久の皆さんに食べてもらいました。

「レバーみたい…」
率直なご意見ありがとうございます!泣
確かに、ぼそぼそするし色も灰色。出直してきます!

●脇本海岸とシノさんコーヒー ―夕方―
「脇本海岸で夕陽を見ながらコーヒー飲もうよ!」と協力隊の福嵜さんに
お誘いを受け、それに飛びつくように脇本海岸へ行きました。
真っ白な砂浜が3kmも続き、濡れた砂浜に雲が反射する。阿久根市に訪れたら必ず行くべき場所です!

ここでシノさんと初対面。
コーヒー初心者の私でもスーッと飲めるおいしいコーヒーを丁寧にいれてくれました。差し入れのシュークリームとも相性ばっちり!
3回ほどしかお会いしていないけれど、阿久根の風景をぽわ~んと思い出すとなぜかシノさんの顔が8割を占めるくらいです。
この記事シノさんみているかなあ。
たくさん刺激とエネルギーをもらいました!
出会えてよかったです!また! 

3日目 ソーセージ試作② 阿久根産黒糖のパワー
今朝は、民宿も営むカフェ「ハモニカン」でミーティングからのスタート。
ケーキは近くのケーキ屋さんでもらっておいでとお花のお皿を持たせてくれました。

ケーキ屋さんでお花がかわいいイチゴのタルトをゲットして、ハモニカンで食べながらミーティング。
こんな絵本の出来事みたいなことだってできる阿久根市。
穏やかで素敵だなあ。 

ちなみに昨日のぼそぼそ食感の改善案はこちら。
お肉の温度を低く保って手早く作ろう!(低温でお肉とスパイスを混合することで食感が良くなります)黒糖を使おう!(黒糖は上白糖に比べて保水性が高いので、ソーセージの肉同士がよくくっつくようになります)

この改善案が大当たり!
昨日のぼそぼそ感はほとんどなくなりました!だけど、味が。舌もピリピリする。どうしたらいいんだろう。

イシカワさんとスパイス
そこで、阿久根市のキーパーソン、イシカワさんのいる「港町珈琲焙煎所」に駆け込みました。港町珈琲焙煎所は、本格的なコーヒーとお料理が楽しめるおしゃれで居心地の良いコーヒー屋さんです。エスプレッソバナナシェイクが本当においしかったのでぜひ行ってみてください!

イシカワさんには、スパイスには適正割合があって、いろんなスパイスと掛け合わせることでぐっと美味しさが増すことを教えていただきました。さらに、自分達で食べて研究する用にクミンシードやマスタードシードなど4種類のスパイスを持たせてくれました。優しい。そしてイシカワさんの料理は本当においしい。イシカワさんは何でも知っていて、どうしてか、イシカワさんが言うならそうか、と納得してしまう雰囲気を持っている方でした。イシカワさんともまたお話ししたいです! 

4日目「わらべ工房」で陶芸体験
今日はソーセージ作りをお休みして阿久根市を満喫する日。
まずは「わらべ工房」さんで陶芸体験です!楽しみにしてた!
80歳でごついバイクを乗り回しているという、トモちゃん率いるクロワラベ一家に教えていただきました。
皆さんにっこにこだから私たちもにっこにこ。
休憩時間にぜんざいをごちそうしてくれて、家族みたいに接してくれました。陶芸体験ができたこともそうだけど、クロワラベさんたちに出会うことができてよかったなあ。招き猫のひじきとも仲良くなりました!

次は長島までドライブ!
目に入るものすべてきれい。福岡では見ることはできない景色。
鹿児島土産のとろろ昆布を買ったら佐賀県産。
・・・まあいっかと思えるほどの壮大な景色。
海と空の境界線がわからなくなるほどの青さに、みんな大興奮でした。

次!「ともまち珈琲」に向かいます!
ここは、飲食ブースはテラスのみで、背もたれが倒れる椅子にほぼ寝ころんだ感じで海を見ながらコーヒーをいただけます。気持ちよすぎて飲みながら寝てしまいました。
お店の方とお話していると、「チャーリーがね―。」
・・・まただ!チャーリー!
いろんな人から名前は聞くけど会ったことないチャーリーさん。
いったいどんな人なんだろう。。

次!海にシーグラスを拾いに行きます!
無心でシーグラスを集めているみんなを見ているのが面白くて、阿久根市の海と空の次にシーグラスを拾う皆の写真が多いです笑
大学での姿しか見たことなかったから、無邪気にはしゃいでる姿が見れてうれしい気持ちにもなりました。

次!日の入りを見に脇本海岸へリベンジ。
実は2日目に行ったときは雲に隠れて日の入りが見れませんでした。次の予定の時間ギリギリまで粘って、ばっちり見ることができました!やっぱり脇本海岸最高! 

今日の最後!
阿久根市で働く皆さんと交流会です!
なんと!チャーリーさんがいました!やっと会えた!

チャーリーさんは外国の方ではなくニックネームで、阿久根市で協力隊に所属しながら餃子屋さんを営む日本人の方でした!
「どうして阿久根に住もうと思ったんですか」と皆さんに同じ質問をしました。そしたら皆さん同じことを答えました。
「阿久根でやりたいことがあったから」「やりたいことがあるならやりな~~」
なーんか、頭で考えるだけで行動しない自分とおさらばしたい気分になってきたぞ。
遠い未来に対しては、自分は幸せだろうという根拠のない自信はあったのだけど、近い未来に対しては不安や恐怖のほうが強かった自分。阿久根の皆さんとお話していくうちに、それがどんどん剝がれていって、今すぐ何かやりたい。大丈夫!やってやるぞという気持ちに変わっていきました。
 
私はお話しすることが苦手で、実は交流会がプログラムの中で一番不安だったところ。
でも、来てよかった!皆さんの持っているワクワクが私にも伝わってきて私の心まで変えちゃって!
話すっていいなあと思いました。お話ししてくれた皆さんありがとうございました!


 
5日目 試して試してソーセージ試作最終調整
今日試作の目標は、おいしいスパイスの配合を見つけること。
限られた時間のなか、考えたスパイスをどんどん試していきます。バタバタ。
三九さんの社長さんに脂身をミンチにしてもらって、その場にいる全員で協力して、これがいい!というスパイスをなんとか見つけることができました。この日はみんなヘトヘト。。
するとフクザキさんが「海行こう!」
フクザキさんは人をよく見ているなあと阿久根市に来て何度も思いました。
きっとヘトヘトに疲れた私たちを海でリフレッシュさせようとしてくれたんだと勝手に思っています。
阿久根市のアテンドから私たちのメンタルケアまで、本当にありがとうございました!

イワシビル
今日から泊まるのは「イワシビル」。かわいい名前。
お気に入りは朝ごはんです!
すごく脂がのったイワシでこんなにおいしいイワシはここでしか
食べられないと思います!
 
6日目 ソーセージ最終日
今日はつくったソーセージを皆に食べてもらう日です。
うまく作れるかという不安よりも、早く食べてほしい!という気持ちが強かったです。
皆手際が良くなっていて、予定時刻の40分前くらいにはソーセージが完成していました。
いよいよ、三九さんや阿久根市の皆さんにお披露目会です。
「・・・おいしいよね!」
うれしい!!おいしいという言葉が聞けたことが本当にうれしかったです!久しぶりに達成感を味わいました。
 
完成したソーセージを見てください!

初めて作った時と同じ人が作ったとは思えない出来栄えですよね。ここまで形にできたのも、三九さんの皆さんや阿久根市の皆さんの協力のおかげだと心から思います。
 よく頑張ったねとたくさん言っていただきましたが、
こちらこそ、ありがとうございました。 

 7日目 阿久根市散策
今日は、フクザキさんが阿久根市のいろんなスポットに連れて行ってくれました。なぜここにあるか解明されていない火山岩群を触りに行きました。パワーがすごいらしいですが、分かったような、分からなかったような。
湧き水が飲める場所にも連れて行ってもらいました。昔の人はこの水を飲んで腹痛をなおしていたそうです。ひんやりしていておいしい!昔の人が飲んでいた水を令和の私が飲んでいることを思うと、この湧き水は地域の人たちに大事に守られてきたもので、貴重でありがたいものだなと感じました。 

今日は雨予報だったけど途中で晴れて、気持ちの良い日でした。走る車から息が苦しくなるまで顔を出したのはいつぶりだろうか。顔を出しながら、阿久根市に到着した日から今日までのことを思い返していました。阿久根市は、海も山も空も水も町並みも歴史も伝説も、素敵で面白い場所です。
そして、たくさんの人に出会い、様々な学びを与えてくれました。この出会いは阿久根市に来なかったらありえなかったこと。 
阿久根市に来たことは私の人生の分岐点です。
やりたいならやる。たくさん失敗しよう。 
阿久根市、来てよかった!  

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