山本健介

最近、虫歯がある。好きな動物はカメ。

山本健介

最近、虫歯がある。好きな動物はカメ。

最近の記事

飛田新地でソーセージパンを知った日。

冷たい北風が吹き抜ける中、友人ら3人と格子状の通りを気の向くままに歩く23時。月曜にも関わらず通りは人で賑わってる。春休み中なのか大半は大学生のグループだろうか。 わたしは、友人らの陰になって後ろからついていった。遠くでまるい月が綺麗にきらめく。その淡い光は目に左右から絶えず飛び込んでくる白壁とピンクネオン色よりさりげないものの、わたしの黒い陰を余計引き立たせるようで、なんだか怖気付きそうになる。 あぁ。 憂鬱だった。不安でもあった。だからさっさと入ってやる事やってボロ

    • ADHDクッキング。妻と娘にアップルクランブルを作った日。

      せっかくの土曜日なので、アップルクランブルを作ってみた。1日遅れたが、妻へのホワイトデーのお返しでもある。 というのは口実で、動機の半分くらいは自分が食べたいのですが。 小麦粉と卵と牛乳とアーモンドプールと砂糖と牛乳を入れる。そして、卵。そこに小麦粉を入れてアーモンドプードル、さらには、バターを加える。また、小麦粉に牛乳を加えながらよく混ぜる、そしてさらにバターを加え混ぜると生地が完成する。 このように言うと驚かれるというか、頭がおかしいんちゃうかと思われるのですが、わた

      • いっぱい食べた日。幸。

        1日3食という金言が我々の生活に浸透している。しかし、正直なところ3食という数字じたいに特段深い意味はないだろうと、思っている。 会社に通っていたときは、朝は原因不明の緊張状態に襲われて喉を何も通過しない。むしろ何かを吐き出しそうだ。マイナスの朝食ですらある。 出社してそれからデスクでぼーっと鼻くそをほじっていると勝手に昼になるわけだが、例の如く一人前に緊張だけはしているので、朝と同様昼休みも何も口にモノを入れたくない。 デスクで首を椅子の背もたれに乗っけて真上を向いて口を

        • キャベツの葉脈の軸が甘いことを知った日

          29XX年。 わたしは食べる。食べ続ける。ムシャムシャ。子リスのように両手であるものを掴んでいる。むさぼり食べるわたしの前歯はヤケに発達しているようだ。 ちょこんと、その小さな後ろ脚で地を蹴って前にすすむ。モグモグ。 わたしは種のカテゴライズとして、爬虫類カメ科なのだが、この数百年で後ろ脚をなんとか発達させた。 そして、人間さまのお宅のキッチンにお邪魔するのがわたしのライフワークだ。 主菜や炭水化物は狙わない。わたしがいただくのは、キャベツのみである。しかも、キャベ

        飛田新地でソーセージパンを知った日。

          いきなり便座がスライドして捻挫した日

          自宅のトイレ。社宅のボロいトイレなのですが。 私はこの場所ほど落ち着ける空間を知らない。名建築家が空間に魔法をかけて意匠をこらしたところで、自宅トイレ以上の空間を作り出すことは残念ながら、不可能であろう。 常用するトイレは、それほど私にとって特別である。 そしてその「特別」が、揺らぐ瞬間を目の当たりにする日がくるとは思いもよらなかった。 私は便座に座りながらにして、滑ったのだった。スリップ。滑り始めて私の可愛いヒップが違和感を感知したころには、もう全てが終わっていた。

          いきなり便座がスライドして捻挫した日

          餃子がフライパンにくっつかなかった日

          妻よ、ほんとうに、ありがとう。 ありがとう。 浜松で買った餃子。夕方に帰宅するや、即座に焼いてくれたのです。 妻は、わたしが餃子を焼くときにいつも発狂してしまうのを、知っているんですね。 わたしは、いつもフライパンの底に皮をくっ付けてしまう。剥がせなくなって、ぐちゃぐちゃになって、わたしはヘソを曲げてしまう。 恥ずかしい話ですが。フライ返しを片手に床に跪いてそのまま死んだ昆虫のように硬直。我が生涯に一片の悔いすらないラオウとはまさに月とスッポン。あらら、ララ。 悔しい

          餃子がフライパンにくっつかなかった日

          ニートが先か、ジョッキを冷やしておけなかった無能が先か。

          不甲斐ない、の一言に尽きる。 今日は最高のコロッケも揚げたし、最高の鶏の煮物も用意した。にも関わらず、このザマである。 半分ニートのような生活を送っている時間に恵まれた人間であるに関わらずこの始末であるが、逆に、ニートのような掃き溜めのような生活を送っているが為に、「ジョッキを冷やすことすらできない無能」、に陥落したというのか。 ニートが先か、ジョッキが冷やせないが、先か。 私はこれまで数多の問題を、この鶏卵問題の業火に放り込み成仏してきた。であれば、今回も同じことをす

          ニートが先か、ジョッキを冷やしておけなかった無能が先か。

          魔のえびせん試食コーナーに行った日

          えびせんべいには、故郷がある。 えびせんべいには、古里がある。 どうも。 私たち家族が訪れたのは、そんな彼らの故郷である。知多半島の牧歌的な風景の中に佇む「えびせんべいの里」。そこは日夜、えびせんが大量に生産されつづける工場という側面と直売所としての側面の両方を持っている。 と、あたりのさわりのない説明をしたところでこの施設の魅力は何も伝わらない。 したがって、わたしがしなければならないことは、「魔のえびせんの試食コーナー」について語らうことであろう。 まず、この施設

          魔のえびせん試食コーナーに行った日

          ポテトの粉だけドライブスルーした日

          わたしは 「チーズてりたまマックバーガーセット」 妻は 「のり塩じゃがバターベーコンてりたまバーガーセット」を注文。舌を噛みそうだ。期間限定は情報量のお祭りでもある。 セットのそれぞれのサイドメニューをポテトにし、さらに40円を課金して期間限定のシャカシャカポテトに変更。フレーバーは、 「梅のり塩」と「にんにく黒胡椒マヨ」をチョイス。 これが本日1回目のドライブスルーで私たち家族が注文したものだった。会計をして、商品を受け取り車を発進させる。 この僅かながら、時間に

          ポテトの粉だけドライブスルーした日

          ADHDと料理

          ADHDと料理の相性は素晴らしいのです。 冒頭から結論をぶっ込んでかっ飛ばしていく。 かっ飛ばしついでにもう一度、もう一度申し上げておきますと、ADHDのあなたと料理は人生において、持続可能な深い関係を築けるかもしれません。 料理は救いなのです。 ADHDはしばしば「色々なものをリセットしたがる習性がある」と言われますが、全くその通りです。 私は仕事・人間関係・研究・note・ブログ、さまざまなものを新たに始めては、これは無理だ!!!と一瞬でも思ったら、匙を投げてきま

          おれにデザインは無理だ

          デザインするというのは、ユーザの問題解決をするという視点に立つ、という前提がある。 わたしは、デザインができない。 ユーザを他者と丸める。他者。他者の問題を仮定する。そいつには問題がある。でも自分はその問題を持っていない可能性も十分ありえる。その場合、共感できない。 自分は困っていなくても他者であれば困っているだろうなぁ〜という他者の気分を自分の中に挿し込んで考える必要がある。 挿し込んで考える。自分の家に他者を招き入れて。自分の家の道具を使いながら、等身大の他者を彫刻

          おれにデザインは無理だ

          診断から1ヶ月。躁鬱。

          靴のソールが剥がれた。約1ヶ月前くらいに2nd streetで買ったそれなりに気に入っていたnew balanceのシューズ。 歩くたびに土踏まずに違和感しかない。というより平均台に乗って歩いてる感覚。これぞニューバランス。 足を上げるたびにソールがビローンとしてきてパカパカと規則正しいリズムを起こす。かなり不便ではあるが、ちょっぴり楽しいのは内緒である。 ジャングル奥の未開民族が、こういう楽器で儀式を執り行っていてもそんなに不思議ではないかもしれない。タップダンスのような

          診断から1ヶ月。躁鬱。

          XXXX(クロスフォー)について

           雨が降る。濡れた道路の上を、クルマが通過する音が聞こえてくる。  広々したデスクの手前に、ぽつんとノートPCが置かれている。画面上には黄色のフォルダのアイコンがまばらに並ぶ。  並んでるようかにみえる。  この画面に何らかのパターンを垣間見るとができる。フォルダを作るごとに新しい秩序、新しいルールが画面に現前化する。過去に作った秩序と激しく干渉しながら、消滅しつつもまた現れたりする。そんな移ろい。それは時代と共に明滅する帝国のように、栄枯盛衰を繰り返しながら現在を創り続

          XXXX(クロスフォー)について

          味噌汁は芸術である

          味噌汁には何を入れてもよい。 目から鱗のこの理論を、わたしが土井善晴から教わったのはちょうど結婚したての頃だったと記憶している。 味噌汁には、広く自由がある。何を入れてもよい。 家にあるものでテキトウニ作りましょう。 無いものはわざわざスーパーに行って買ってくる必要はないのです。 あるもので、今こそブリコラージュを存分に発揮するのです。 もちろん、一定の秩序を保つという制約はある。具材の大きさ、切り方、色、味、食感、それらのバランスを無限の自由のなかで、遊べるのが味噌

          味噌汁は芸術である

          急な旅行をする〜弾丸奈良旅行編②

          昨晩に奈良駅前のホテルに到着。 今朝は6:45に起床。娘、眠い。私、もちろん眠い。 妻、めっちゃ元気。初の奈良旅行に期待に胸を膨らます。 とりあえず朝食ブュッフェを堪能。ご飯、茶漬けに、デニッシュにブリオッシュに卵かけご飯に素麺を寝ぼけた空きっ腹にin。 まずは、妻のおすすめ饅頭神社に向かう!? 漢國(かんごう)と書かれており、いかにも饅頭とは無関係そうだが歴とした饅頭神社に他ならない。 他ならないと強めの語気を発したものの、饅頭神社が何者か掴めていない御一行。 饅

          急な旅行をする〜弾丸奈良旅行編②

          急な旅行をする①

          朝13時。目が覚めた。 これは紛れもなく寝坊というものだがノープロブレム。今日は会社に行く必要がないのだから。明日も行かなくてよいのだけれど。 妻は私に言った。 起きるのが遅い、と。別に怒ってはいなかったが、ごめんなさいね、とことばでは謝った。 こんな時間からでも奈良に行くのか? と妻は聞いた。 奈良。わたしの脳味噌のcpu稼働率がグッと鰻上りに上がってから、奈良、奈良、NARA.....なら?? ok。ナラ、行く。 とだけ言った。パンイチでまだ毛布にくるまっていた

          急な旅行をする①