餃子がフライパンにくっつかなかった日

妻よ、ほんとうに、ありがとう。

ありがとう。

浜松で買った餃子。夕方に帰宅するや、即座に焼いてくれたのです。
妻は、わたしが餃子を焼くときにいつも発狂してしまうのを、知っているんですね。
わたしは、いつもフライパンの底に皮をくっ付けてしまう。剥がせなくなって、ぐちゃぐちゃになって、わたしはヘソを曲げてしまう。

恥ずかしい話ですが。フライ返しを片手に床に跪いてそのまま死んだ昆虫のように硬直。我が生涯に一片の悔いすらないラオウとはまさに月とスッポン。あらら、ララ。

悔しいのです。フライパンをよく温めれば張り付かないことは妻から聞いていましたが、いかんせん私は待つことができない。わからないのですが。この歳になっても。

30歳。フライパンを3分ほど熱する時間。
待てない。待ちきれない。お腹が空いた。早く食べたい未就学児。

だから、妻はわたしにフライパンを握らせる隙を与えなかった。

そして、今日は大成功であった。ビールが美味い。

産まれたことに、感謝した。

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