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いまさら「愛がなんだ」レビュー

2022年の2月に本作品を観てました。
いろんな捉え方をされる映画ですが、わたしなりに感じたことがメモに残ってたので、公開してみようと思います。
※ネタバレになる部分多いです。

テルコへの想い

テルコに共感する部分と怖いと思う部分があった。

好きな人以外はどうでもいいって言ったテルコに、元同僚が「自分のことも?」って言ったのが印象的で
今のわたしはテルコみたいな恋愛してる子に対して心からそう思う。

自分のことを大切に思えないから人に依存するんだよ。
まず自分を最高にかっこいいと、好きと思えるように意識を向けてみなよ。と。
偉そうにそう思う。

なんか絶妙にださい服装とか、リアルだなぁと。

でも、テルコは誰の言うことも聞かない。
それどころか人の恋愛をジャッジして責めたりもする。

最初は、好きな気持ちって止められないものね〜。誰がなんと言っても、自分の気持ちが勝つよね〜。と思ってたけど
途中からなんでそこまで守に執着するのか分からなくてイラついてきた。

本作に込められたメッセージは?

この映画にメッセージがあるとすれば、自分の人生を生きよう だと思った。

どんな恋愛してようが、どんな人間性だろうがスミレと葉子、ナカハラは魅力的に見えたし好きだ。
それは好きなものや自分のスタイルがあって、だから自分に自信があって(ナカハラは自分を好きになる努力をして)、人間的におもしろいというのがある。

テルコと守はどうか。
守は成田凌の最強のエロさでどうしても魅力的に見えてしまうけど、普通の男だったら全然好きじゃない。
2人のおしゃべりは意図的につまらなく脚本してるとしか思えない。
心に刺さる言葉も愛すべきユーモアもない
人間としておもしろいと思えない。

へんにナルシシズムはある守だけど、スミレの独立的なところ、自分のスタイルに自信があるところに憧れてるあたりやはり自分に自信がないんだろう。

テルコはもっとわかりやすく自信がない。人に依存することで自分自身を傷つけ、消失させようとしてる風にさえ思える。
そこが悲しくて、怖くなる。

子供時代との対話で、「自分の人生を歩まなくていいの?」「ほんとに好きなことはなんなの?」って世の中のテルコ全員に訴えかけてると思った。

みんなテルコだったよね?

でも実際、テルコみたいなことしたこともあるんだよな〜〜〜
これ全く共感しない女子いるのかな?それってかなり芯あるで。
休みの日、連絡くるかもなって自分のことやらないでいつまでも待ってたり
あなたのためならなんでもするよ!って姿勢を見せたり
相手が自分を好きじゃないことわかってて悲しいけど体を許したり。

でもそれはアンダー25の若い頃の話で、だいたいみんな傷ついて考えて距離感とか上手になっていくんだと思う。

ほんとに自分のこと大事にしてくれる人、愛を交換できる人だけを選びとっていくし、仕事や好きなことに関しても自分のありたい姿をどんどん明確にしていくものだ。

曲げないテルコがやっぱり狂気じみて感じる。
テルコはおばちゃんになって、人生楽しいかな?何も残ってないことに愕然としないかな。

「愛がなんだ」ってどういう意味?

愛がなんだってどういうことだろ?
テルコは愛を求めてるんじゃないのか?

この映画に出てきた愛は、ナカハラの葉子への愛、それからスミレのテルコへの愛だけじゃないか?
スミレはテルコのことかなり心配してると思う。
世界を広げてほしいと思うのかもしれないし、守を引き取ってほしいのかも。
どちらにせよスミレは愛のある人だと思う。

愛は、その人の幸せを心の底から願うことだ。
自分をまず尊重して、そこから周りに愛を届けられる。
あなたのことが大好きってピュアに伝えても問題がない状態
そこに愛があるとおもう。

テルコは自分を大事にすることを放棄して、守に、正確には守との幸せだった記憶に執着しているだけだ。
そこに愛があるとは、言えない。

だけどテルコはそれでいい。
守との幸せな時間は戻らなくても、その記憶の中で生きたい。
ふん。愛がなんだ。

っていう開き直り声明と捉えることしかわたしにはできない。

本作はホラー?

ここまで書いてきたように、わたしはこの作品を結構怖いと思っている。理解できない部分も多い。

だけどこの映画が「エモい」「切ない」で片付けられてる状況がもっと怖い。

この映画の感想が「あの頃を思い出すなぁ」「あるあるー」だった方々にとっては、あの極端なラストはギャグに思えただろうか。

映画の中のテルコは極端な行動をとったけど、現実世界では同じようなことが結構起きてるんじゃないかな?

自分自身をしっかり見つめずに30代、40代を通り過ぎていく人や、恋愛はするけど愛って何?状態で一生過ごしていく人、沢山いるんじゃないかな。

(かく言うわたしも、自分自身を模索している真っ只中だけど)

そう言う意味では、深いメッセージのある、なかなかに意地悪な作品だなと思ってしまう。

鑑賞する年齢によっても感じ方は全然違うだろうし。

スッキリする映画ではないけど、観た後に語り合いたくなるような作品でした。

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