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子どもの成長記録。4年前のきみといた場所を私は忘れない。そしてエモくなりがちな母親業務。

「その頃僕いくつだった?」

そう言われるとハッとする。

もうそんなに前のことなのかと絶望してしまう。タイムマシンでその時に戻ってきみを抱きしめて、大好きだよと伝えたい。

6歳1歳の男児2人を連れて夕方の散歩に出た。
人混みを避けたいので近所の小さな公園を目指す。

1歳児が消防車を指差して、次はバスを指差して、一生懸命に「みてみて!」と訴えている。

近所の消防署は、4年前お兄ちゃんの定番お散歩コースだった。

あまりに足繁く通い居座って見てばかりいるので、サイレンやランプの点検を見せてくれたり消防車の運転席に乗せてもらったこともある。
ちっとも帰りたがらなくて苦労したものだけど、いつから消防署の前で足止めされなくなったんだろう?

「どの公園がいいかな?」
「あそこにしよう」

そんな会話をしながら歩いていく。
「〇〇公園はどう?割と近いけどまだ一、二度しか行ってないよ。最後に行った時は桜が散っていて…」

〇〇公園は、それこそ、4年前に行ったのが最後な気がする。その時に着ていたジャンバー、履いていた靴などを思い出す。ベビーカーに乗せて公園に連れ出すことが多かった年なのかな、とぼんやり思う。

その後は、ベビーカー自体に乗らなくなったり、弱視の視能訓練を兼ねてうちで遊ぶことが増えたり、コロナもあって公園の思い出が少なくなったのだろう。

ベビーカーを押しながらあてもなく歩きながら休みたい休めないとぼやいていた私の耳元で「その幸せな時間、すぐ終わっちゃうんだよ ね」と言ってやりたい。

「最後に〇〇公園に行った時、僕は何歳だった?」

息子に聞かれて、4年前だよと答える。
「ふーん、覚えてないや」
と言い返される。
そりゃそうだろう。

きみの小さい頃の思い出はママに任せとき!
そう、得意げな気分になったところへ、魔球が飛んできた。

「なんでさ、ママは記憶力が悪いの?」

そう、我が家でダントツの記憶力の悪さを誇る私。忘れ物をしたり、お使いが不完全だったり、ひどい。「えっと、ここで何しようとしてたっけ」が口癖。メモを取るのすら忘れて全く思い出せないこともある。私、大丈夫か!?

しかし、なぜその質問を今するのだろう。
子どもの質問は予測ができない。

しかし、負けるわけにはいかない。
正々堂々と答える私。

「覚えておきたいことが多すぎて、頭に全部入らないんだよ。」

いや、そこは単純に、「頭が悪いんだよ」とかでいいんじゃないかとも思うのだが。
ムダに負けず嫌いを発動してしまう。

独身時代に得た多くの記憶、例えば映画や絵画や本のことなんかは全て差し出してしまった。もちろん、物理的にも何も残っていやしない。

記憶の彼方とはよく言うもので、子どもたちのスペースができて、押し寄せられてなくなってしまったようだ。(いや、単純に覚えていられないだけ)

自分磨きのあれこれの予定も、全て子どもの検診や散髪、習い事の予定に入れ替わっている。お料理のレパートリーも様変わりしてしまった。

結局のところ、4年ぶりに〇〇公園へ行くことはなく、よく行く公園に落ち着いた。

これでまた、私しか知らない息子の思い出は更新されず私の脳内に留まることになった。

それはそれでいいかな、と思う。
むしろ、息子は記憶にないと言うのだから私が忘れるわけにはいくまい、などとプレッシャーをかけたりして脳の容量を圧迫する。

お兄ちゃんと私の2人で来た公園の思い出が、兄弟一緒に私と3人で来た公園の思い出に上書きされるのもまた、嬉しくていとをかし。

これも、そんなに長く味わえない時間なのだろう。

つくづく、私が思う母親とはエモさ溢れる職業だ。

職場では、私がエモくて扱いづらいと上司に陰口を言われて恥ずかしい思いをしたこともあった。そんなところでエモさを使わずに母親業のためにとっておけばよかったと思う。

母親でいる間はエモさ上等でやっていこう。

ついでに、記憶力も増強できたら最高なのに…

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