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少子化と晩婚化。婚活についての経験。かつて負け犬と称され、今は少子化の原因と揶揄され、でもいたって真面目に生きてただけ。

とある政治家が、少子化の原因は女性の晩婚化と言ったという。女性が晩婚だの子どもを産まないだのと言われても、ピンと来なかった。

32歳で結婚し、負け犬扱いされた当時を思い出しその悲哀を語ってみたい。

いつのまにか味方じゃなくなる親

30歳になったのを機に、私は母に不良在庫と呼ばれるようになった。

結婚できない女だったからだ。
恋人もいなかった。

出荷基準を満たしていたかさえわからない。
いつまでもリリースされない娘。

大学進学とともに実家を出て、就職とともに東京で暮らし始めた。とっくに独立したと思っていた。なのに、結婚するまでは親に心配かけてる身分なんだ、と無力さを感じたものだ。

不良在庫という発言もそうだが、なかなか、親からのプレッシャーはきつかった。心配という衣装を着た冷たい言葉が、ザクザクと突き刺さった。とりわけきつかったのが、「人並みに結婚してほしい」と、「結婚して半人前、子どもを育てて一人前」という、このふたつ。

誰かと比べられておとしめられる。
不十分な存在だと烙印を押される。

親に迷惑をかけないよう、
子どもなりに我慢も努力もしてきたのに、
大学の時に借りた奨学金も返済したのに。
最後は結局、孫なのか。
「孫の話で盛り上がってる話題についていけない」「周囲は孫のネタばかり」とネチネチ言われて虚しくなった。

一人暮らしの家に母から野菜や地元の銘菓の入った小包が届くと、決まって母の手書きの手紙が入っており、「一生ひとりはさみしいよ。心配だからいい人に巡り会えるように」と書かれていた。こちらが母の正直な気持ちだったのだろうと思っている。

年頃の女性だった私が結婚したくなかった理由。晩婚化はなぜ起こった?

30歳までの私は結婚したいとはとても思えなかった。

理由はふたつ。

ひとつは、結婚して幸せになれる気がしなかったから。父はなにも家のことはせず、専業主婦だった母はそれについて不平不満を撒き散らしていた。働いて配偶者の世話までするのは無理だと思った。

そしてもうひとつは、まだ仕事で一人前になれていない、もっと、ちゃんと、自分の足で歩いていける社会人になりたいと思っていたからだ。

もしこれらがいわゆる晩婚化の原因にもなってるなら、晩婚化は、「女性が悪い」という問題ではないんじゃないか?

「男女間の家事負担の偏りの是正」と「より多様で柔軟なキャリア設計」を叶えることで多少解消していくんじゃないかと思ってしまう。

じゃあなぜ結婚したのか?

結果として、私は32歳にであった今の夫と、32歳のうちに結婚式をあげて33歳になる誕生日に入籍した。

30歳から32歳の間に一体何があったんだろうか?

おそらく、仕事がある程度、自分で納得いくところまで来たから、やっとその気になったというのが大きい。そして考えられたのは「結婚していないことで生じる親からの圧力に耐えながら、幸せな人生を歩むのは難しい」という悟りだった。これ以上、屈辱感を味わいたくなかった。幸か不幸か親からのプレッシャーが効いたということだ。

かの、ひろゆき氏は言った。結婚する最大のメリットは、結婚相手を探さなくてよくなることだと。私もまた、結婚という宿題の完了を追いかけ回されない人生に移行したかった。

そんな消極的な理由だが、実際、結婚したら「結婚はまだ?」と聞かれない快適さを享受できた。でも、「子どもは?」という大人の宿題が残っていた。子どもができたら、子どもの出来が問われる。プレッシャーからは逃げきれないと知った。

婚活というマーケットでみた31歳の自分の立ち位置

一度、婚活パーティーに行ったことがある。
マッチングサイトも使ったが、何だか面倒になってやめた。

大手の婚活パーティーは、大勢の人が集まり、自分の立ち位置というものを否応なく認識した。その当時の資料の記憶をたぐると、女性の登録者のうちで一番多いのは30歳、20歳くらいから年齢とともに上がり、30歳はピーク、そこから年齢とともにまた登録者は減っていく。つまり、私はボリュームゾーンからピークアウトした存在で、男性から見ると優先順位が低い年齢帯に属していた。もっと早く参戦すべきだったと知ってももう遅かった。

婚活パーティーでは、男女異なるプロフィール用紙が配られた。女性用には、得意な料理という欄がある。男性用は、得意な料理という欄はなくて、「年収」の欄があった。このプロフィール用紙を男女お互いに交換して2人で話す時間がある。席を移動しながら会場の全異性と話す。なお、私の得意料理は「残り物でなんか作る」。これはたぶん失敗した。

フリータイムにたくさんの男性、特に、年収が高くて見た目に自信がありそうな男性達に囲まれている女性を見て思った。そもそも可愛いし、若くて、男性に好かれそうな髪型や格好をしているなと。ちなみに、そのフリータイムに私は壁の花となっていた。私の婚活偏差値の低さには、ビリギャルもびっくりだ。痛々しい思いをして婚活パーティーからの撤退を決めた。

晩婚化?余計なお世話。解消の糸口は?

婚活パーティーは、「世間では結婚したくない人が増えてるように騒がれているのにこんなに結婚したい人がいるのか!」という衝撃と、「結婚という結果を掴めるのはほんの一握りの人なのだな」という絶望感で打ちのめされた。

本当に晩婚化は起こっているのか?

起こってるのだろうが信じがたかった。30歳手前の人がこんなに婚活パーティーに通ってきてるのに。混乱に陥った。

やはり、月並みだけど結婚したいなら若いうちにアクションを取るのが吉なのだろう。仕事に打ち込んでいるとそのタイミングを逃しがちで、晩婚化と言われてしまうのだ。大学を出るまで、または就職まで親の期待に沿っていたはずがそのまま突き進むと結婚が遠のき親の期待から外れる罠にハマったようだ。

婚活偏差値を上げる努力をせず物を申しちゃうのは気が引けるが、晩婚化は社会構造上起こってしまうのではないだろうか。

みんなでよーいドンで同じレールを進むキャリア設計から脱し、ジョブ型で専門性を磨くとか、会社の中に多様なキャリアのバリエーションを認めるとか、男女関係なく包括的な働き方の変革が必要に思う。

共働きなのに男性が家事ができなくて結婚が具現化しない問題も、対策すべきは男性では無いだろうか。まあ対策はいつまでもされないだろうけど。バリキャリと呼ばれる人もきっと冷蔵庫の在庫をチェックし、トイレクイックルの補充をして、台所シンクのぬめりを拭き取っているのだろう。

おわりに

婚活マーケットという空間で不人気だった私と結婚してくれた夫には感謝している。夫は私の友達の知り合いだ。とにかく結婚相手を探している者どおしを友達が引き合わせてくれた。友達にも感謝している。

私は晩婚だったけど、ところで晩婚って何歳からなのか?普通より遅いとか30歳前後とか平均が高くなること、とか心許ない情報しかない。

平均寿命が延びれば相対的に結婚年齢も高くなるのでは?院卒の人も増えているだろうし晩婚化は自然に起こると思う。一方の出産適齢期は変わらないから、結果的に少子化も自然の流れだと思う。この構造自体に真っ向から挑むなら、飛び級で学業を早く終えるとか、結婚前に卵子を凍結するとか、それこそ、賛否渦巻く異次元の対策になりそうだ。

少子化に個人の行動の問題があるとは思えない。そもそも、結婚しないといけないなんてことはないし。個人の自由なのだから。結婚する気になれない人をどうこう言うんじゃなくて、家族を持ちたいのに持てない人の困りごとを解決しようよ、と思う。

どんな形であれ個人の幸せ追求に前向きにな社会ならよいなと思う。

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