見出し画像

覇者もつらいよ〜『蒼天航路』の感想2〜

今回も『蒼天航路』の感想などを書きます。
今回で2回目。

今ここ

『蒼天航路』の登場人物に、
董卓(とうたく)が仲間入りした。

曹操孟徳に仲間になれと誘うが、
メタメタにダメ出しされていた。

いかつい漢である董卓パイセンは、
孟徳にメタメタにされたので一矢報いようと
「俺の元カノがそっちにいるらいしな」と頑張っていた。

ちょっと笑える。

セリフを現代風のチャラ男に読み換えると何もかも面白い。
脳内変換で読み進めている。

曹操孟徳は、
「そういうこと言うから、パイセンと別れたんっスね。よく分かります。ショボっ!」

曹操孟徳っぽくていい!

そして曹操孟徳は、董卓への反乱を
袁紹(えんしょう)におすすめしている。
「反乱軍の盟主はyou(袁紹を指差す)」
むしろ、やることが決定事項で袁紹にトップダウンしている。
もちろんトップは、曹操孟徳。
袁紹は、嫌だとも言えずやるとも言えず
「マジかー」の顔してる。

ここまで読んで、覇者として頂点に立ち続ける大変さを考えてみた。
これまでの登場人物を例に。

覇者1️⃣ 霊帝のようなタイプ

知力・武力なく、財力と由緒だけでいくタイプ。
これは、家臣が好き勝手していく。
ただ、家臣の性格は悪くても、政治手腕があれば覇者の立場としては楽だと思う。

何もしなくてもいいし、自分の趣味嗜好のみに全力を向ければいい。
覇者に力がない場合は、任せるのも一つ。

ただ、役に立たないとなると、すぐに葬られるので気が気ではない。

覇者2️⃣ 董卓のようなタイプ

力で全てを解決しようとするので武力と知力が必要。ただ、知力は多少持ち合わせていなくても武力がカバーするので、一般的なルールがわかっていれば問題なさそう。
知力は、賢い家臣に任せよう。

体が大きいことや、力が強いことなど身体的な圧があれば人間の中にある動物的本能が「こいつには逆らうな」と自分の行動を制御してしまう。家臣たちが好き勝手したときには、拳骨で物事を終わらせることができる。

しかし、知力がある家臣が武力のある家臣と結託すると葬られる。

これは、つまり・・・
まだ先を読んでいない董卓パイセンの未来予想図になってる?

覇者3⃣ 袁紹のようなタイプ(既読部分だけで記述中)

力はあるが、自分の力量も理解しているので
なかなか一歩が踏み出せないタイプ。
武力も知力もあるが、「いっちょ、やったりますかぁ」の冒険心は育ててこなかったのだろう。なので、曹操孟徳のような陽キャに見つかり担がれる。
しかし、見つかったのが曹操孟徳でよかった。
知力・武力・財力があり権謀術数にたけていない、人物に見いだされたら受験前に迷走する中三ぐらい目も当てられなくなる。

学年にもいたなぁ。
いいやつなのに、ちょっと感傷的になっているところを付け込まれてピアスにバイクと王道コースを歩き始めた同級生。
もとの学力があったから、ギリギリのところで目覚め自分の道(進みたい進路)に戻れていたけど、全部が思い通りにはならず。

あなたからたくさんの学びを得られました、ありがとう同級生の袁紹くん。
あれからどうなったか分かりませんが、今後の活躍に期待しています。


覇者4⃣ 曹操孟徳タイプ

みなまで言うな。
全てを持っているタイプだ。
だからこそ、統一王朝見てみたかった。
後の人にどんな時代を創っただろうとワクワクさせる未知の覇者。

絶対、主人公じゃん!ってほど設定が盛りだくさんあるところからスタートしている。
初期設定の麻の服しか装備していない劉備タイプの覇者は、ある程度、曹操孟徳に地ならしされたところまでついていけば楽ができる。(劉備ファンの方、失礼な書き方をお許しください。ワタクシにはそう見えます。)

ただ、自分と同じだけの力を持った人に出会えず、存外孤独な気もする。従う者も、心を寄せている者も周りにいるけれど、自分が常に先を見て全てを図っておかなくてはならない。これもこれで心が落ち着くことはなさそうだ。


覇者はつらいよ

色々な覇者のタイプを挙げたが全てに共通することは、勢力下においた人と土地を維持管理しなくてはならないこと。
恐ろしく手間がかかる上に、お金もかかる。
維持管理をするだけならまだいいが、反乱を防ぐ仕組み作り、税制度の整備、そして市場経済の拡大までもが仕事に組み込まれる。
そして、ゲームクリアの絶対条件として覇者となった自分はできる限り死んではいけない。
かなりの無理ゲーを強いられる。

そう思うと、現代の民主主義は誰がトップでもよい体制になっているので安心してよいともいえる。あれよ、あれよとトップの座に就いたとしても、数年のうちに退任しないといけない現代を覇者たちはどう思うだろう。
不思議そうに首をかしげるのかもしれない。

世界なんか征服しなくてもいい、覇者なんて厄介で孤独なことをしなくてもいい、家族と楽しく笑って人生ゲームをしていたらいい。
きっと幾万の民草は、ずっとそう思っているし選択してきている。
しかし、その思いを遂げさせるために何人もの覇者が、いつの時代も出てきたのだ。

民草のずる賢く強かな思いが覇者を突き動かす。
令和5年(2024年)は世界的な選挙年となるらしい。
世界の覇者ではなく、水先案内人の登場が楽しみだ。

数百年後の歴史の教科書で、今がどのように記されるのか。
私たちにの世界は、本当に面白いがいっぱいだ。


この記事が参加している募集

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?