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留学生活でのストレスマネジメントの大切さ

勉強には孤独がつきもので、かつそれが外国だとさらに孤立しやすく不安定になりやすい。

以前ストレスから突発性難聴になり、そこからカウンセリングを受けたりストレスマネジメントの本を読み始め、今は大分意識してストレスに対処できるようになった。最近医療従事者の友達に話を聞いてもらい色々アドバイスしてもらったので、改めてストレスについて考えたことをまとめてみる。


フランスで突発性難聴になった話

2年前、大学生活での疲れやストレスから、前期が始まって3ヶ月目に突発性難聴になった。

もちろん前兆はあった。2年も語学学校に通ったのに全く授業が理解できず、ノートも取れない自分が情けなくて惨めだった。フランス人ばかりに囲まれて過ごすのは初めてでそれだけでも緊張するのに、180人以上の生徒がいる学年の中ではすでにグループが出来上がっていて編入生の私は孤立していた。

それでもグループワークになると、なんとか相手を探して、課題のためにひと回り以上年齢が離れている現役大学生達とコミュニケーションを取らなきゃいけない。一対一ならなんとかなっても、大勢の中に放り込まれると発言できないどころか皆が何を話しているのかさえ分からない。テンポの早い会話を必死に聞きながら自分のやるべきことをメモし、その後繰り広げられる意味不明だけど楽しそうな会話を曖昧に頷きながらやり過ごすのが苦痛すぎて、一刻も早くその場から去りたくてたまらなかった。

次第に大学に行くのが怖くなり、教室に着くまで心を落ち着けるためにずっと落語とか日本語のポッドキャストを聞いていたし、日々の緊張からか夜眠れなくなっていた。

そんなある日、耳鳴りがして、少し疲れてるのかなと思った。それでもいつも通り大学とバイトに行き、次の日の朝、片方の耳から音があまり聞こえなくなっていることに気が付いた。幸い当日中に病院に行き治療を開始できたので、難聴の症状自体はすぐに回復したものの、併発しためまいがひどくて全く歩けず2ヶ月以上休学することになった(難聴は時間が経つと固定してしまうのですぐに治療することが必要)。

その後、めまいや体力が回復しても大好きな友人とのおしゃべりでさえしんどく感じたり、ストレスを感じる度に耳鳴り、不眠、不正出血等の症状が出る状態が1年以上続いた。個人的には、メンタル由来の身体の不調は一度大きな症状として現れてしまうと、恐怖心やトラウマとして長く残るように感じる。実際この微妙に続く体調不良が原因で、また突発性難聴になるかもと不安になり、新しいことに挑戦することがその後ずっと怖かった。そして、何より「健康」という自分の身体に対する自信を失ったことがとてつもなくショックで、突発性難聴前後で考え方が変わってしまったような状態が続いた。

私が実践したストレス対処:悩み相談


ストレスまみれで、最終的に身体も壊してしまった私。あの時どうするべきだっただろうか。

ストレスを感じた時、一番良いのはストレスの原因から1度離れることだ。当時かなり無理をしている自覚はあったので、もっと早く大学を休めば良かったと今も少し後悔している。

とは言っても簡単に原因から離れられない時の方が多いので、そういう時はどう対処するべきなのだろう?

■身近な人に相談する、書き出してみる

人に話すことはステレスや不安を解決するための第1ステップだ。信頼できる人に自分の不安な気持ちを吐露するだけで楽になるし、何より話す過程で自分の状態を客観視できる。

ただ、個人的に注意すべきだと思ったのが相談する前に、「すごく疲れているから、ただ話を聞いて共感してほしい」と伝えること。実際、私が相談した友人達は良かれと思ってアドバイスをたくさんしてくれたのだが、そのアドバイスがすでに弱りきっていた私には途方もなくハードルが高く感じてしまい、能力も高くパワフルな友人達と自分の現状の差に落ち込んでしまった。私のように気の置けない友人に相談したはずが、逆に落ち込んだり、より孤独感が強くなる可能性もあるので相談の仕方は慎重に…!

このように「相談する」という行為は少し相手を選ぶので、例え誰にも話せなくても、悩みや思いを書き出すだけでも少しスッキリ&自分の思いを客観的に眺められると思う。

■カウンセラーに相談する

コロナ禍を脱してようやく対面授業が再開された年でもあった当時。フランスに暮らす日本人が、フランス国内に籍を置く日本人カウンセラーさんのカウンセリングを無料で受けられる機会があった。

それまではカウンセリングを受けた経験がなく、藁にもすがる思いで予約を取ったのだけど、結果的に受けて非常に良かった。カウンセラーさんは的確な質問やコメントで見方や考え方を広げてくれ、やっぱりプロはすごいと思った。

大学に正規留学しているなら、所属先からメンタルケアや無料カウンセリングのお知らせが来ていると思うので、孤独さやメンタル不調の症状を抱えてる人は迷わずプロに相談してほしい。

メンタルを整える日々の実践

■コーピングリストを作って実践する

友人に教えてもらって知ったのがコーピングリストだ。コーピングとは「適切に対処する」という意味で、「ストレス対処」のことらしい。すぐできるような負担は少ないけど心が軽くなるようなことを100個書き出し、リスト化して、疲れたなと感じた時にそれらを実践するというものだ。

私のリストの一部は、

  • セルフネイルをする

  • ヨガをする

  • 美味しいコーヒーを飲む

  • パウンドケーキを作る

  • 公園で日光浴しながら読書する

  • セーヌ川を散歩する

  • 積読している小説を読む

  • 好きな漫画を読み返す

  • キッチンの整理をする

こういう小さなことだけど、リラックスできたり(散歩、読書)、無心で取り組めてスッキリすること(料理、ヨガ、整理)ことを100個考えるのは楽しい作業だ。さらに、しんどくなったらこのリストに書いてあることを実践すれば気持ちが和らぐとはずだと考えると、ネガティブな気持ちも落ち着く。また、普段楽しいと感じることを楽しめない時はすでにメンタルが弱っている状態なので、自分のストレスレベルを測るバロメーターとしても機能しそうだ。

コーピングリストは下記の記事が詳しいので、興味があればぜひ読んでみてほしい。

■不安を感じた時は「やるべきこと」に集中する

コーピングリストのコンセプトに似ているけれど、ネガティブな考えが止まらず考えすぎてしまう時もある。そういうときは実際に問題を改善するためのアクションに集中しながら取り組むことで、不安定な気持ちを落ち着かせることができると思う。

例えば修論やフランス語のなどの自分の力不足からくる不安を感じた時には、

  • 文献を調べる

  • 先生にアドバイスを求めるメールを送る

  • 復習する等

自分で悶々と考えてるだけだとネガティブな思考に嵌ってしまうだけなので、意識的に気分を切り替えることが大切なのだと思う。やるべきことを淡々とやり、メモを取る等アウトプットすることで視覚的にも少しづつでも前進していることを実感できるし、達成感も同時に芽生えるはずだ。

■生活リズムを整える

規則正しい生活は健康の基本だけど、ついつい疎かにしがちでは。休日は1日中パジャマでソファから動かないとか、夜中までダラダラとインターネットの海を徘徊してることが今でもあるけど、ちょっとしんどい時こそきちんと着替えて美味しいパンを買いに行ったり、疲れてるかもと感じたら早めに寝るように心がけている。

特に朝起きてからの過ごし方は大切だ。朝起きて日光を浴びることで、セロトニンという神経伝達物質が分泌される。セロトニンは精神の安定や脳の働きを活発にする作用があり、歩く、咀嚼、意識的に呼吸をするなどのリズム運動でもセロトニンを増やすことができる。

理想は、

  1. 朝起きる(カーテンをすぐに開ける)

  2. しっかり食事

  3. 余裕があれば5分くらい深呼吸を意識しながら瞑想

  4. 休日なら起床後1時間以内に散歩に出かけるor平日なら少し歩いて通学(15〜30分歩く)

毎日できるのがベストだけど、しんどい時は週に1、2回でも効果があるみたいなので無理せず行ってほしい。

詳しくはこちら。

ちなみにセロトニンの分泌に必要なのは光の強さが2500Lux以上。日本では曇っていてもクリアできる基準だけど、フランスの冬は光の強さが500Luxらしいので(正確な数値を見つけられなかったので間違っている可能性有り)、リズム運動はもちろんだけど、追加でビタミンDサプリや光療法用照明を併用するのが良さそうだ。

おすすめの本&記事


ストレスマネジメントの本とか心理カウンセラーさんが書いた本はたくさんあり、評価が高くても正直全くピンとこない本もあった。こういうのは相性もあると思うので、私のオススメ本が万人に刺さるとは限らないけど、Kindleでも購入できる本で私が購入して良かったと思う本をご紹介。

精神科医が教える ストレスフリー超大全 ―― 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト  樺沢 紫苑著

精神科医の先生が書いたストレスマネジメントの本。フラットな文体で、悩みへの対処法が項目別になっていて読みやすい。読み始めた当時大学のクラスメイト達との距離感に悩んでいたので、特に人間関係の項目が納得できた。


元自衛隊メンタル教官が教える 心を守るストレスケア  下園 壮太著

タイトル通り元・陸上自衛隊衛生学校心理教官の先生が書いた本。ストレスが生まれてから、どのように悪化して行くのかというプロセスが分析してありとても参考になった。

日々実践 メンタル向上術 試合に勝つ…心理的準備と実力発揮のテクニック

こちらは本ではなく、スポーツ心理学者のストレスマネジメントに関する無料の記事。スポーツ選手のストレスマネジメントのやり方が紹介されているんだけど、突発性難聴発症前は毎日自分で自分にすごくネガティブな声掛けをしていたことに気づいた…一学生の私のストレスなんてスポーツ選手の心理的負荷とは比べ物にならないけど、日々のストレスマネジメントに活かせそうなポイントを見つけられると思う。


※   ※   ※

フランスの大学なら新学期始まって2ヶ月目。最初は気を張っているから頑張れるけど、少し慣れてくると溜まっていた疲れが一気に出たり、張り詰めていた糸がふっと切れて体調を崩すことはあるあるだと思う。どうぞ体調管理に気をつけて、共に勉強がんばりましょう!

この記事を監修してくれた友人nahoちゃんのnoteも参考にどうぞ!



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