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玉藻への道程①(歳時記~高濱虚子)

歳時記を開いてみたことはありますか?歳時記は俳句の季語の辞典です。「そんなの読む時間ないよ」という忙しい貴方にこそオススメします。電車に二駅しか乗らない時でも、ササッと開けば5つくらいの季語とその季語を使った例句を30句くらい目にすることができます。じっくり読まなくてもいいのです。意味がわからなくてもいいのです。目にするだけでなんとなく季節を感じることができますよ。

さて、私が最初に手にした歳時記は『ホトトギス新歳時記』でした。書店の本棚に並ぶ歳時記の中で、季語と例句が一番多く、かつ、持ち運びしやすいサイズだったことが選んだ理由です。値段は5千円くらいだったと思います。決して安い買い物ではなかったので、自分から自分への誕生日プレゼントということで財布の紐を緩めました。

それからというもの、何処へ行くにも持ち歩き、1年後には3年以上使い込んだ英和辞典のようになりました。バスルームにも持ち込んだので、表紙は手の形に折れ曲がり、紙なんてもうパリパリ。でもそんなふうに汚れていけばいく程、私だけの歳時記になるような気がして愛着が増しました。

また、予期せぬ発見がありまして、そのマイ歳時記の中で「あら、面白い」と思うと、それはたいがい高濱虚子の句だったのです。今にして思えば、俳句結社ホトトギスの歳時記ですから、その一番の師である高濱虚子が際立って当然なのかもしれません。でも、何はともあれ「いいなぁ」と思うと全部高濱虚子の句だったものですから、私は本当に驚いてしまったのです。

それまで、うんと正直なことを言えば、高濱虚子といえば「電球おじさん」あるいは「茹で卵おじさん」という認識しかありませんでした。中学の国語の教科書に載っていた写真がそういう感じだったのです。ところが、このマイ歳時記を手にしたことにより、高濱虚子に対する興味が間欠泉のように湧き上がりました。そして、「好きな俳人は?」と聞かれたら高濱虚子と答えようと思って一人でドキドキしていたのですが、残念なことに誰も聞いてくれませんでした。

(5/25につづく)

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昨日パソコンが死んでしまいました。今年に入ってから2台目で少ししょげております。というわけで、なれない携帯を駆使してアップしているため、写真などを入れることができません。文章も短めです。タイトルも即席なので行書体ではなく少しかっこ悪いですが、何卒ご容赦ください。どんな状況でも連載は続けます!