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長年の夢、「チャーハンをおかずに白飯を食う」を叶えるときが来た

先日、新型コロナに初めて感染。
家族にうつさないよう隔離生活を送っていたので、食事はコンビニやスーパーの弁当。買ってきてくれるのはとてもありがたい。一人暮らしならどれだけ心細かっただろう。感謝。
でも、「食」の観点からは非常に辛い5日間で、食事がもう、全く楽しくなかった。

何が辛いって、野菜がないってのは勿論だけど、米が美味しくない。自店炊飯したスーパーのものはだいぶマシ。でも、工場製の弁当の米はもう本当に美味しくない。一番辛かったのはコンビニのチルドチャーハン。
冷凍食品のチャーハンは旨いけど、そのチルドチャーハンはとにかく米がパッサパサの乾燥地帯。「パラパラ」に寄せすぎて米のふっくら感がないんですね。
一口食べるごとに水分を奪われ、オアシスに駆け込む。ちなみにそのオアシスはポカリ。食事中にはあんまり飲みたくない。

この米が美味しくない問題、舌での味は感じるけど、鼻からの匂いをほとんど感じなかったせいなのかな、とか、米の香りって結構大事なんだろうか、とかを考えるいい機会になりました。

そんなことがあったから、治った今はとにかくガツンと食べたい気分。
匂いも感じるし、腹の調子もようやく落ち着いてきたので、ここいらで、一発何かパンチのあるものを入れておきたい。
うむ、ここはやっぱり旨いチャーハンで口直しだナ、と思うわけです。
そして、せっかくだから、長年本当に旨いのか疑問に思っていた「チャーハンおかずに白飯を食う」ってのをやってみようと思うわけです。


チャーハンで白飯を食ってみたい

そもそも「チャーハンおかずに白飯」を知ったのは、昔観た音楽番組で、某柑橘の名を冠した男性デュオの一人が、「チャーハンをおかずに白飯を食べるんですよ」と言っていたことから(記憶違いだったら申し訳ないです)。

それを聞いたときは「炭水化物で炭水化物を食うなんて!」と拒絶の構えを取ったのだけど、よくよく自分の食生活を考えてみたら、お好み焼きで白飯を食っていたし、焼きそばで白飯を食っていたし、果ては焼きそばを刻んでご飯と一緒に炒め合わせた「そばめし」を食っていたことに気づいた。
関西人の中でも「お好み焼き定食」は賛否別れるところだけど、私はもうオールオーケー。モーマンタイ。バッチコイヤー。

それでも、やっぱり「チャーハンおかずに白飯」は抵抗があった。やっぱり米と米だからかな。
うどんに餅を浮かべるのはOKだけど、どうも米と米の一線は越えられない。
そんな、米×米の越えられない一線の前で足をちょんちょん出してみたり、「やっぱり無理だ」とうずくまっていた私を一気に浪漫飛行へ連れて行ってくれた人がいた。

それが、YouTubeで食べ歩き動画を投稿している「ニカタツ(二階堂達也)」氏である。

ラーメン屋ではラーメン用とチャーハン用それぞれに白飯を頼んだり、定食屋では前菜と称してうどんやラーメンを食べてから本番の定食に手を付けたりと、ニカタツ氏の食への飽くなき探求心と食いっぷりが実に見事なチャンネル。
しかも、この食いっぷりながらも、本人はスマートで、瀟洒しょうしゃたる身なりの紳士。
食べ方にも厭らしさがなく、キレイに召し上がるから、とにかく見ていて気持ちがイイ!
すっかり虜になってしまい、数年にわたって動画は欠かさずチェックしています。

さて、将来の夢は氏のようなイケオジであるわたくしとしましては、やはり紳士の嗜みとして「チャーハンおかずに白飯」は通過しておきたいところ。丁度ガッツリ食べたい気分とチャーハンの気分が合致したので、このタイミングに勢い任せで突っ込んでみます。

チャーハンで白飯を食ってみた

こういうのは勢いをつけて一気にやってしまわないといけません。
食べ終えるまで正気に戻ってはいけない。正気を失っているうちに手早く……!
でも、冷静さを失ってはいけません。一生に一度の「初めて」なんだから、できるだけ旨いものを食いたい。
というわけでまずはチャーシューを作りました。といっても超簡単。豚を茹でて醤油に漬けるだけ。

レシピは稲田俊輔さんの「ミニマル料理」掲載、「東海林さだお式チャーシュー〈改〉」より。

ここはでっかく角切りにしてしまいましょう。

チャーハンを作ります。

あんまり奇を衒わず、白飯、卵、ネギ、チャーシューだけ。味付けは塩とチャーシューを漬けた醤油のみで。

できました。

スープはチャーシューの茹で汁を調味したもの

おそるおそる白飯の上にチャーハンをON。チャーハン丼を作ります。
生唾飲みこみ、いざ一口……!

う……まい!
が、その前になんだろう、楽しい。
なんだか楽しい。

そうか、これまではチャーハン食ったら「またチャーハン」か「スープずずっ」しかなかったけど、白飯があるってだけで、こんなにも楽しいんだ!
油と塩気をまとったチャーハンの米と、プレーンな甘みの白飯。米の味にコントラストができて、チャーハン一辺倒よりも楽しい。
旨いかどうかの前に、とにかく楽しい。

チャーハンとスープの往復だったところに白飯が乱入することで、リズムが生まれます。味のリズムもそうだし、スプーンの動きも心なしかリズミカル。第三のスプーンの行き先があるのが嬉しい。寄り道楽し。

決してチャーシューが旨かったからだけじゃないんですよね。チャーハンだけなら飽きるところに、白飯を挟むことで永遠に食べられそうになる!それが何といっても素晴らしい。

ああ、これを知ってしまったらもう戻れない。
そろそろ30歳だというのに、この蜜の味を知ってしまったら、ベルトの穴がどんどんずれてしまう。

いや、これをずっと食べられるように運動するしかないか~。
それほどにこの「チャーハンおかずに白飯」の魔力はすさまじい。とりあえず、体力回復の一歩として春先の散歩道にでも。

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