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対談を味わうvol.4 元大輪教授さん―藤井ペイジさん対談

この企画はYouTubeに上がっている対談動画を見て感じたことを記録していく企画です。
(詳細はvol.1をチェック↓)

第4回目の今回は

藤井ペイジさんのYouTubeチャンネルの企画「辞めた芸人に話を聴こう」から大輪教授さんとの対談を味わっていきます。

(藤井ペイジさんYouTubeチャンネルURL)

(辞めた芸人に話を聴こう 大輪教授さん回)

大輪教授さんは1999年に「粋なり」を結成、2003年解散後はピン芸人で活動。「エンタの神様」等出演し2007年にはR-1グランプリ決勝進出。2014年に引退。引退後は構成作家・放送作家として活動されています。

この対談を通じて感じた藤井さんの聴き方、大輪教授さんの思考を見ていきます。
(お:大輪教授さん発言 ぺ:藤井ペイジさん発言)

話の流れを要約して伝え返す

大輪教授さんが芸人としての浮き沈み、チャンスが来たときの心情を話してくださった際に、その話の流れを要約して伝えるというシーンを見ることができます。

ぺ:自分で思うところの(お:ええ)芸人時代のピークっていつですか。
お:ははははははは、(上を見上げ)あ~、(ぺ:自分で)わかりやすいところでいうと、(ぺ:うん)2007年のR-1グランプリで決勝にはいかせていただきました。
ぺ:決勝行ったね。これはすごい。
お:行かせていただいて(ぺ:うん)、やっぱその直前くらいは、エンタのウケとかは一番良かったなと(ぺ:なるほど)思ってるんです。そういう意味ではピークはそこかな。
(省略)
2005,6、7年くらいが(ぺ;うん)一番なんか、ウケてるなっていうイメージがあって(ぺ:なるほど)、でも、(ぺ:うん)これ、あんまり、人に言ってないんですけど、(ぺ:おおおお、いいですね。)ええ、別に人に言うほどの話じゃないんですけど。
(省略)
俺の中で、キターと思ってるのがあって。R-1決勝行かせていただいて(ぺ:ほおう)、その日、あのー、皆さんに知っていただくようになって(ぺ:ほうほう)、まあ、小さいですけどいろんな仕事をさせていただいて(ぺ:ほう)、まあ、でもなあってやってる中で(ぺ:ほうほう)、「ワラッタメ天国」っていうのが(ぺ:あ、あった)あったんですよ。
(省略)
そうそうたるメンバーが出てて(ぺ:うん)、こういう番組が始まりますよってなったときに、大輪教授でネタ、数学のネタずっとやってて(ぺ:うん)、ついに自分に(手を合わせて)ピタッと。
(省略)
ピタッとルーレットが合ったんで(ぺ:おお、おお)、逆にすごい汗かいてきちゃって(ぺ:はははは)、話来たときに。でも(ぺ:うん)、これを逃したら(ぺ:うん)、さすがにこれやってた意味ないぞというか。そこで、でも、あの、結構コンスタントに出させていただいてたんですけど(ぺ:うん)、あそこは、かなり、あの、みなさん、まわりから見たら、全然ピークじゃないですけど(ぺ:うんうん)、中身はめっちゃピークで。
(省略)
自分の中で、持ってるコイン全部置いたんですよ。(ぺ:ああ~なるほど)ええ。(ぺ:ほうほうほう)「俺はこれと心中するしかない」(ぺ:おお、いいね、いいね)で、そう、内心思ってて、やっぱそうするべきじゃないですか。(ぺ:いや、そうやろね)このキャラクターで。
(省略)
ボキャブラブームという前例があるじゃないですか。(ぺ:そうやね)だから、そこのウェーブが、(手を回して)このウェーブのでかいの早く、早く、と(ぺ:なるほどね)なってたら、番組が半年で終わって(ぺ:うわあ~、そうか)、そうなんですよ。で、なんか、「そっかあ…」って(ぺ:うん)思って、結構、意気消沈したんですよ。なんていうか
(省略)
大輪教授っていうキャラクターで(ぺ:うん)やることって、結構、あれ…って(ぺ:おおう)、と思ったんですよね。あの時(ぺ:ほうほうほう、うん)。だから、ピークが来たのと同時にちょっと(ぺ:うん)、ああ、なんか、ピタッと来てたのが、「あれ、どうでしたか、みなさん、違いましたか」みたいな。ははははは。
(省略)
僕の中ではすごく、あがりさがりがありますね。

『ぺ:なるほどね。まあ、だから、1回R-1グランプリで決勝に行って(お:ええ)、そっから、自分の中で一段上がりきらなくて(お:うん)、こう、ウズウズしてたところで、ワラッタメ天国来て、ここのウェーブに(お:そう)…が半年で消え(お:ええ)、消えてしまった。』
お:さざ波でした(ぺ:ははは)。

エンタの神様への出演、R-1グランプリ決勝進出とネタが認められるようになってきたところで、舞い込んできた「ワラッタメ天国」への出演。大輪教授は自分がやってきたことと合致する番組が来た、この番組とともに売れていこうと意気込みます。しかし、半年で番組終了という事態に。藤井さんはこの話の最後の方で、大輪教授さんの浮き沈みをシンプルに要約して伝え返しています。
要約することで話を整理するとともに、話が整理された状態で次の話題に映ることもできます。これもひとつの聴く「技」となります。

賞レースに囚われることへの危機感

続いて大輪教授さんの発言を見ていきます。ここで注目したのは「賞レースに固執すること」への危機感ともとれる発言です。

M-1グランプリ、R-1グランプリなどコンビ歴、芸歴が浅い方を主体とした賞レース、女性芸人No.1を決めるTHE W、コント師の頂点の決めるキングオブコントなど、いろんな賞レースが溢れています。このほかコンビ結成16年以上の漫才トーナメント「THE SECOND」、芸歴20年以上の実力派コンビの漫才賞レース「お笑い成人式」といった「ベテラン」に着目した賞レースも始まっています。
撮影当時(2020年2月)、大輪教授さんは賞レースに固執する人が多いことへの懸念を述べています。

お:あと、最近思うのが(ぺ:おうおうおう)、M-1グランプリ、キングオブコント、R-1グランプリ、THE W、とか(ぺ:賞レース)いわゆる賞レース、にこだわり過ぎてる人、多いなっていう。
ぺ:多いね。(お:うん)特に若い子はね。
お:ま、我々はおじさんだから(ぺ:うん)、M-1グランプリより芸歴長いじゃないですか。M-1自体より。
ぺ:そうそうそう、M-1始まる前からやってるから
お:M-1始まる前からやってるから、我々からしたら、「あ、何か始まったな」「あ、これはいいかもしれない」っていうとこなんだけれども(ぺ:はい)、今の子たちは、M-1があって、「あそこに行きたい」ってなって始めてるから、もちろんこだわりたいだろうし、
ぺ:悪いことじゃない
お:悪いことじゃないんだけど、なんか他にもいろいろあるんじゃないの。ていうのはよく思うんですよね。
ぺ:縛られ過ぎるなと(お:そう)。賞レースに
お:で、まあ、じゃあ、M-1が自分の中で、かちーんときまって(手と手を合わせ、両手を倒す)(ぺ:うん)、こけたときに、やられますよ。
ぺ:その動きみたぞ。ワラッタメ天国のときの動きや。
お:ははは
ぺ:まあ、確かに、悲しいかな、そこにターゲットを絞って、念願の決勝に行った。っとなって、決勝に行けたけれども、そこから跳ねない芸人の方が多かったりするもんね。
お:そうですね。そうそうそう

賞レースで決勝に進めたとしても、その後跳ねないということが現実起こりえます。その時に賞レースだけを見ていると他に手がないとなってコケて意気消沈してしまうことになる。大輪教授さんはR-1決勝とその後のワラッタメ天国までの経験から「何か1つに固執するのではなく、他に何かないか目を向けてみて。他にもいろいろあるんじゃないの。」というメッセージを伝えています。

年齢・お金・目指す芸人像のズレ

40を目前にしてお金がない。それが辞める一つのきっかけになったと大輪教授さんは語ります。その後に続いたのは「アイドル芸人が好きだ」という告白。

お:はい、あと、僕、こう見えて(ぺ:はい)、アイドル芸人好きなんで
ぺ:アイドル芸人
お:ワーキャーの芸人
(省略)
ワーキャーの芸人が好きなんですよ。
ぺ:今で言うとEXITとかそういうこと
お:あ、そうです。そうです。(ぺ:あ~)中高生のころとか、女子がワーキャー言う芸人がもともと好きで(ぺ:うん)、40になるときに、違うなって思ったんです。
ぺ:…遅くない。(お:はははは)はははは…それ、ちょっと遅くないかなあ。
お:もちろん、遅いですけど
ぺ:いや、でも、
お:教授になった時点で、その線はないんですけど
ぺ:ああ、我々の世代で言うとワーキャーって誰かな。
お:僕が中高生の目線で見てたら、ウッチャンナンチャンさんとか
ぺ:ああ。まあ、とんねるずさんとか
お:ああ、とんねるずさんもそう
ぺ:なるほど、なるほど、自分が思っていた、要はその芸人になれていなかったと気づいたのが39。
お:いや、その前には、そりゃ、気づいてはいたんですけど(ぺ:なるほど、なるほど)。
ぺ:ピン芸人なった瞬間、アフロで白衣着てたから
お:その時点でアイドルではないんですけど、まあ、それでもね、やれることをやっていくしかないっていうとこだったんで。
ぺ:なるほどなあ、…で、そういうところが積み重なって、まあ、39で辞めようと(お;そうですね)なったわけですね。なるほど。

ウッチャンナンチャンさんやとんねるずさんみたくなりたいと思っていたけど、現実はアフロで白衣着て40手前まで奮闘してきた。
「やれることをやっていくしかない」
自分がなりたかったアイドル芸人ではないとわかっていながらも思ってやってきたけど40になるときに「違う」という思いに至り、芸人を辞める決断をしました。

このほか、辞めた後、芸人時代に気づけなかった視野の狭さ、想像力の無さを痛感した話など、他にもお話がたくさんあります。ぜひ一度ご覧いただけたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。


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