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対談を味わうvol.2 元ツインテール 和田義浩さん―藤井ペイジさん対談

この企画はYouTubeに上がっている対談動画を見て感じたことを記録していく企画です。
(企画の意図などの詳細はvol.1をチェック↓)

第2回目の今回は

藤井ペイジさんのYouTubeチャンネルの企画「辞めた芸人に話を聴こう」から元ツインテールの和田義浩さんとの対談を味わっていきます。

(藤井ペイジさんYouTubeチャンネルURL)

(辞めた芸人に話を聴こう 元ツインテール和田義浩さん回)

和田義浩さんは高校の同級生の吉田敬さん(現ブラックマヨネーズ)と「ツインテール」を結成。ツインテール解散後、ピン芸人だったさんだぁさんと「和田さんだぁ」として活動、北田ラヂオさんの舞台出演を最後に作家に転身。関西で放送作家として活動されています。

この対談を通じて感じた藤井さんの聴き方、和田さんの人柄を見ていきます。

相手のあいまいな言葉を明確化して伝え返す

藤井さんが和田さんの曖昧な言葉に反応し、その言葉を具体的にしていきます。まず例1を見ていきましょう。
(ぺ:藤井ペイジさん発言 わ:和田義浩さん発言)

例1)
わ:そもそも吉田君が(ぺ:うん)そういう志向の強い人だったんですよね。
ぺ:なるほど、その芸能界であったりとか(わ:はい、だから)、そういう表舞台に出る志向が強かった。
わ:うんうん、めちゃくちゃ強かったですね。

和田さんの「そういう志向」という言葉を受けて、「芸能界であったりとか、表舞台に出る志向」と明確化して伝え返しています。それに対して和田さんが「めちゃくちゃ強かった」と発言し、「吉田さんは芸能界とか、表舞台に出る志向が強かったんだ」ということが理解できます。

もうひとつ例2も見てみましょう。

例2)
ぺ:自分のね、バックボーンをね。振り返ってみたときに(わ:うんうん)まあ、でも、やってるときは一生懸命やってたわけじゃない。漫才
わ:もちろん、もちろんぺ:そんとき、今、思ってみたらさ、(わ:うん)もうちょっと、こういうことやっとけばよかったみたいな
わ:ああ~、無茶苦茶ぎょうさんあるんちゃうかな。
ぺ:あ、そう。例えば?
わ:例えば…もっと、たくさんの人がわかるようなことを何で考えつかんかったんやろうな、みたいなとか。考えるもとがなんか(ぺ:うん)、自分よがりというか
ぺ:みんながわかることよりも自分が面白いと思うことを
わ:みたいな、なんか、を優先してたなみたいな。(ぺ:うん)とか。視野が狭いなあっていうか、何でこれがみんなにわかると思ってんねやろな、みたいな。今思ったらね。

和田さんの「考えるもとが自分よがり」という発言を、「みんながわかることよりも自分が面白いと思うことを」と明確化して伝えています。この明確化によって、「(自分が面白いことを)優先してたな」「視野が狭いなあ」「何でこれがみんなにわかると思ってんねやろな」と、和田さんの方から、「自分よがり」についての発言がどんどん出ています。

相手のあいまいな言葉を「それってこういうこと?」というように明確にして伝え返すことで、積極的に相手の話を聴いているということが、相手にも伝わります。そして、相手も自分の言葉が明確な言葉に変わっていくことで、自分自身への理解が深まるきっかけにもなります。

藤井さんの記憶力の良さ

この回では、藤井さんの記憶力の良さが、和田さんの話を促す場面もあります。

例)
ぺ:うん、でも、まあ、ユニットで(わ:はい)4人で漫才とかやってたもんね。
わ:いや、ユニットでね、やってて、楽しかったんですよ。はい。
ぺ:ツインテールと(わ:はい)関西キングとね(わ:はい)。たばこカルテット言うて
わ:よう覚えてんな。たばこカルテット(ぺ:覚えてるよ。)。それ、ウィキペディアに載ってる?
ぺ:俺が覚えてたんよ。今。(わ:(笑)覚えてたん?)たばこカルテット、YORUYORU寄席とか出てたよな。
わ:出てた。それで出番ももらってた。ふふ。
ぺ:普通に、今、思い出した。
※関西キング:ブラックマヨネーズの小杉さんが以前組んでいたコンビ

「よう覚えてるな」と和田さん自身が驚くほどの情報を記憶しています。
そして、その記憶を伝えることで「そんなにこちらのことを知ってくれてるんだ・覚えてくれているんだ」という印象が生まれます。
話す側としても相手への信頼度も高まりますし、よりちゃんと話をしようという気持ちにもなります。

この後、この会話で出てきた「たばこカルテット」での話を絡めて、吉田さんがなぜ小杉さんとコンビを組もうとしたのかを紐解いていくことになります。

吉田さんへの敬意

ここからは、この対談から見える和田さんの人柄など見ていきます。高校の同級生だった吉田さんとお笑い芸人を目指した経緯を話す中に和田さんの人柄が垣間見えます。

例)
わ:吉田君は、結構、その、そういう芸能志向というか、(ぺ:うん)あの、結構強かったですね。当時から。(ぺ:ふーん)で、あの、そんなんやろうや、みたいな感じのことは言ってて。だから、僕は、当時びっくりしたかな。そう。それまで自分がそういうことをすると思ってなかったから。(ぺ:うんうん)それをこの人はそういうことを考えているんだな、みたいな感じで。そういう人が周りにもいてなかったし。

(省略)

わ:で、和田君が、ちょっとずつ口説かれてみたいな。一緒にお笑いやろうとか
わ:とか、あ、そういうふうなことやってもいいんだ、みたいな(ぺ:なるほどね)、あの、そういう志向を持ってもいいんだ、みたいなのを教えてもらったとこ、かもわからないですね。
ぺ:あ、そうやね。うん。
わ:だから、それまで1個も考えたことなかった。ただこっちは、あのなんか、知らん学校で、知らんクラスで、知らん人たちの中で「プロレスの話できる友達ができたわ」ぐらいの感じやったけど(ぺ:うん)、はっ、もっと、なんか、そ、いろんな、いろんなことを学んだというかね(ぺ:ほおお)。そういうのはなんか、うん
ぺ:ちょっと、なんか、同年齢やけど(わ:うん)、大人びてたところがあったんやな。ほんならな。
わ:ですかね。(ぺ:うん)だから、なんか、そういう、みんなを引っ張っていく、っていう感じではないけど、特定の人間だけ引っ張っていくやつ、っていう。だから、そんな大人気者じゃないけど(ぺ:うん)、ちょっと、何人かの人気者ではあった。
ぺ:一部の(わ:うんうん)、一部のカリスマやったんや。
わ:(笑)感じかなあ。ほんで、僕もそれに多大なる影響を受けて(ぺ:うん)、というか、さっきの、あの、演劇の方に(ぺ:うん)みたいなんも、多分、そこの出会いがなかったら行ってないし。
ぺ:あ、吉田がそう言うてるから、自分はじゃあ何やりたいんやろみたいな(わ:大きくうなずき)ところか
わ:みたいなところとか(ぺ:ああ、なるほど、うん)、(左斜め下に目線を落とし)もあったかなあ、と今思うたら思うかな(ぺ:そっか)。だから、すべてそういう、なんかそういう思春期に出会って(ぺ:うん)、自分の中に、ものすごいインパクトを与えた人って感じ。

吉田さんと出会うまで、お笑いや芸能の世界に行くということを考えてこなかった和田さん。
しかし、吉田さんとの出会い、その考えに触れて、「自分もやっていいんだ。考えを持っていいんだ」ということを「学ばせてもらった」と振り返っています。このことから吉田さんへの敬意が感じられます。

キャラクターの一貫性

芸人を始めたきっかけは吉田さんからの誘いでした。そして、作家への転身も「作家をやってみたら」という周囲からの勧めがあったからと振り返っています。このことから、和田さんからは、自らこうしたいという意欲が控えめな様子がうかがえます。しかし、その一方で他者からの影響や提案を柔軟に受け入れられる面白がれるキャラクターが備わっているとも言えます。
この対談の最後にそのキャラクターが詰まったやり取りがありますので見てみましょう。

例)
ぺ:ありがとう(わ:いえいえいえ)。最後の質問、なるんですけど(わ:はいはい)、和田君は(わ:はい)生まれ変わったら、芸人やりますか。
わ:…ああ、誘われたらやるんちゃいますか。(ぺ:ははははは)はははは
ぺ:誰かが誘ってくれたら
わ:誘ってくれへんかったら、(右斜め上を見上げ)やら、やらんかな。
ぺ:自分の意思で、芸人やろうとは(わ:うん)ならんけど、誰かまわりに(わ:うん)やろうって
わ:言われたら、ちょっと、ああ、おもろそうやなって(ぺ:はははは)、ははははは
ぺ:流されやすいタイプやね。
わ:ははは、そうやね。僕、流されやすいタイプやね。
ぺ:ああ、そうか(わ:はい)。ありがとう
わ:いえいえ(一礼)

吉田さんに影響を受けて始めた芸人。
それは、生まれ変わっても「誘われたらやるもの」。

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