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あなたのそれは「心理学」じゃないですよ

「前から心理学が気になっていたからコーチングを受けてよかった。〇〇さんの講座はおススメです」

SNSをボーっと眺めていたら,そんなつぶやきが上がって来た。

へぇ~。

おススメされちゃう心理学講座ってどんなのだろう?と,〇〇さんの講座をクリックしてみた。

《幸運を引き寄せる3日間講座》(実際は別の講座名だったのとプライバシー配慮で仮題にしています)みたいな講座がバーンと書いてあった。

3秒で閉じた。

「引き寄せ」って,あーた,心理学じゃないズラ。

そもそも,コーチングは心理学の手法じゃないズラ。

日本の医療や司法,教育などの心理臨床現場では,臨床心理士あるいは,公認心理師の資格が求められる。

そして,これらの資格を得るには,大学院の修士課程を経て,試験を受けて合格して,名称を独占できる。

とはいえ,名称を独占できるだけだから,これらの資格がなくても「カウンセリング」はできる。ただし,どこかの機関に採用され所属するためには,心理士の資格が必須だ。

でも,開業すれば,1人親方だから,クライエントのニーズに合ったよきサービスを提供できれば,何ら問題はないと思う。お客さん満足なさっているし,双方ヨシ!

だがしかし!

「引き寄せの法則」の成立ちを知ってしまうと,ちょっと単純に使いたくないなぁと思う。

そもそも引き寄せとは,19世紀のアメリカで発祥した「ニューソート」という異端扱いの宗教が提唱した,ポジティブなことを思えばポジティブにネガティブなことを思えばネガなことが起こるという信念体系のことを言う。

なんだそれ……。

そもそも,出来事には悪いもよいもなくて,ジャッジしているのは,自分の「意識」であり,「意味づけ」である。

今は,その出来事が「悪い」と感じても,時が経てば別の角度からみることができたり,印象も変わる。逆も然り。

過去の出来事は変わらないが,過去の出来事の「印象」「意味づけ」は,ころころ変わるのだ。

この引き寄せが一気にブームになったのは,「引き寄せの法則~シークレット」という,ロンダ・バーンの自己啓発書だ。

そして,今回,「引き寄せ思考」の危険をサラッと書いてあるWikipedia記述を見つけてしまった……

覚悟はよくて?はい,5,4,3,2,1……

ザ・シークレット』(The Secret)は、2006年のインタビューを集めた映画、または、これを下敷きに映画の後に出版された、ロンダ・バーンによる2006年の自己啓発書である。ポジティブな姿勢を保ち「思考そのもの」を変えることで現実を変えることを目指す疑似科学的な積極思考(ポジティブシンキング)、「引き寄せの法則」を主題とする[3][4]。書籍は50か国で訳され、2000万部以上売り上げている[5]。19世紀半ばにアメリカ合衆国で生まれたキリスト教の異端思想であるニューソートに始まり、ニューエイジで広まった、思考が現実になる・精神が物質化するという積極思考が再び注目を集めるきっかけになった[6]

「引き寄せの法則」は科学的に証明されておらず、量子物理学などの科学概念が援用されているが、科学者は疑似科学であると述べている[7][8]。歴史認識の誤り、独断的な見解、共感や想像力の欠如、物質的豊かさに過度にフォーカスしていること、社会や政治など現実への関心を失わせるような論理・倫理、極度に単純化された教えなどの指摘・批判がある[8][9]パロディーのネタとしても頻繁に取り上げられている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88

簡単にまとめると

ポジティブな姿勢を保ち「思考そのもの」を変えることで現実を変えることを目指す疑似科学的な積極思考(ポジティブシンキング)が「引き寄せの法則

〇「引き寄せの法則」は科学的に証明されておらず、量子物理学などの科学概念が援用されているが、科学者は疑似科学であると述べている

〇歴史認識の誤り、独断的な見解、共感や想像力の欠如、物質的豊かさに過度にフォーカスしていること、社会や政治など現実への関心を失わせるような論理・倫理、極度に単純化された教えなどの指摘・批判がある

こわっ……

自己啓発本を年に4冊読むと抑うつ傾向が高まる研究があるけれど,「共感や想像力の欠如,物質的豊かさにフォーカスして,社会や政治など現実への関心を失わせる」弊害があるんだから,まぁ,そうだろう。

ということは,「〇〇講座」は,「ニセ科学」なことを教える「心理学講座」ということなのかも。

イヤーーーーーーー!それ,アカデミックな心理学じゃなくて,ポップ(通俗)心理学ですからぁ!

本当の心理学はそうじゃない!心理学は「意識の科学」なんだーーーー!

クソつまんない実験心理学の講義をひたすら聞かなきゃいけないところから,心理学の学びはスタートするんじゃ!

みんなでワイワイ楽しんだ「心理テスト」や「血液型占い」が科学的な根拠のない「ポップ心理学」で,全否定されることから,始まるんだから。

ガツンと頭を殴られて,地球を一周回って,思い込みを捨て去るところから,アカデミックな心理学の学びは始まるんじゃ。

全然楽しくないところから始まるんだよ。

てか,コーチングは心理学のテリトリーじゃないよ~。コーチングはビジネスモデルだよ~。心理学でも,精神医学でもないよ~。別分野だよ~。

はぁはぁ

「臨床心理士さんなんですかぁ。いいですねぇ」

昔々,何かの集いで名刺交換をした時,なんとかコーチング協会の会員さん(当然,コーチ)に言われたことを鮮明に覚えている。

「コーチングをなさっているのもすごいと思いますけど」

「いえ。コーチングは違うんです……。わたしは心理学を学びたかった」

わたしは駆け出し心理士で,コーチングとカウンセリングの違いもわからなかったし,コーチという職業がぶわっと広がった頃だったから,誰もかれもコーチと言っていたような時代だった。

だから,コーチングをそこまで卑下するのはなんでなのか知りたくて,大学院でコーチングを教えてくれるところを探した。

結果,筑波大学のスポーツ分野で「コーチング」があるだけだった。

そりゃそうである。そもそも,コーチはスポーツのコーチであり,スポーツのコーチングがビジネスにも応用できることから,ビジネス業界で広まったことが発祥なのだから。

確かに,わたしが公認心理士の国家試験を受けた時も(6年前に国家資格化された),ブループリントと呼ばれる試験問題の範囲表にも「コーチ」は出てこなかったし,教科書にも出てこない。当然,授業でもない。

コーチとカウンセラーあるいは,心理士はまるっきり異分野で,きっちりと住みわけがされているのだ。

だから,コーチが合う人もいれば,カウンセリングが合う人もいるし,そこらへんはクライエントの「最善の利益」がそこにあるかどうかで,クライエントが主体的に選べばいい。

だけど,引き寄せとコーチングをごった煮にしている「心理学」は,心理学ではないのだ。

あなたの教えている心理学は,本当の心理学ですか?自信を持って,生徒さんに教えられるものですか?

「あなたの寄って立つ心理学の学派は何ですか」

臨床心理士の面接試験で聞かれたことが何度もリフレインした。

わたしは,ポップ心理学を「黒ポップ心理学」とネーミングして,コチラの動画で説明しております

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論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。