見出し画像

【センバツ2024】準決勝 星稜vs健大高崎 見どころ徹底解説

第96回 選抜高校野球大会

準決勝 第一試合

星稜(石川) vs 健大高崎(群馬)

ともに常連校ながら、甲子園では初対戦となる両チーム。ともにセンバツでは初めてとなる決勝進出を目指す。

星稜にとっては今年の元旦に発生した能登半島地震の被災地石川県の住民の期待も大きい大会となった。その中で石川県勢として初めてのセンバツ準決勝まで勝ち上がった戦いぶりは賞賛に値する。

健大高崎は「機動破壊」という言葉と共に勝ち上がった2012年以来12年ぶりのセンバツベスト4。当時ほど盗塁を多用するスタイルでは無いものの機動力は健在で、左右の好投手と捕手箱山のバッテリーを軸にした安定感が際立つ好チームだ。

なお石川県代表vs群馬県代表の甲子園での戦績は過去に4戦(春1回、夏3回)、石川県代表の3勝1敗となっている。

ここまでの成績

まず両チームのここまでの成績をまとめると下記の通り

星稜(石川)

1回戦 4-2 田辺(和歌山)
2回戦 3-2 八戸学院光星(青森)
準々決勝 5-0 阿南光(徳島)

1、2回戦は接戦となったが、その中でも3試合を通じて相手に一度もリードを許さない試合巧者ぶりが光る。

準々決勝では背番号18の2年生/戸田が完封。
エース佐宗に加えて背番号10の道本まで休ませることが出来たのは好材料だろう。

準決勝の先発はほぼ間違いなくエース左腕・佐宗と思われる。球速は130キロ台中盤と驚くようなスピードは無いものの決定打を許さない粘りの投球が信条だ。
初戦の田辺戦、二回戦の八戸学院光星戦に先発し、15イニングを投げ被安打10、与四死球7、失点4と本来の出来と比べると数字上はやや物足りないものの、佐宗投手の良さは大崩れしない安定感にある。相手のレベルに関わらず、走者を背負いながらもゲームメイク出来る能力は「勝てる投手」としての重要な要素である。

打線は上位から下位まで振りがコンパクトで鋭く、非常にバランスの良さを感じさせる。
気がかりなのは中軸の芦硲、萩原、服部に当たりが出ていない点か。特に3番芦硲、4番萩原はチームのポイントゲッターなだけに復調しないと、この先の戦いは苦しくなる。

不調の中軸とは逆に打率5割を越える6番能美、8番中嶋(幹)ら好調の下位打線が準決勝進出の原動力になったと言えるだろう。
中でも能美は非常に脚も速く、捕手としてのフットワークも抜群だ。

星稜打線はここまで長打で大量点というケースは見られない。
ただ秋に広陵/高尾、青森山田/関、作新学院/小川、センバツでも八戸学院光星/洗平、阿南光/吉岡と好投手に勝ち切ってきてる経験と勝負強さは最大の武器である。

健大高崎(群馬)

1回戦 4-0 学法石川(福島)
2回戦 4-0 明豊(大分)
準々決勝 6-1 山梨学院(山梨)


健大高崎は3試合を戦い、得点14、失点1と新基準バットが導入された今大会において、ここまでは完璧な戦いぶりと言えるだろう。

健大高崎と言えば機動力が注目されるが、チームの最大の強みは佐藤、石垣の左右の2年生投手と捕手・箱山のバッテリーだ。

特にU15侍JAPANメンバーだった背番号1を背負う佐藤龍月の投球内容は素晴らしい。
ここまで3試合19イニングを投げて被安打6、19奪三振と付け入る隙を与えない投球を見せている。140キロ前後のストレートのキレには目を見張るものがある。非常に将来性を感じさせる好投手だ。

リリーフの石垣は長身から投げ下ろすMAX148キロのストレートが武器の速球派右腕だ。3試合ともに試合終盤で登板しており、星稜戦でも後半に出番があるだろう。ただ中1日での登板となった準々決勝では、やや制球を乱す場面があったのが気がかりではある。

打線は3試合で24安打、14得点。
健大高崎打線のポイントとなるのは1番斎藤から、田中、高山、箱山と続く上位打線だ。この4人が毎試合得点に絡む活躍を見せている。特にプロ注目の4番箱山の勝負強い打撃には注目したい。

そして何よりの脅威は走塁だ。
「機動破壊」という言葉が代名詞となったかつての健大高崎ではあるが、今年のセンバツでは意外にも3試合で盗塁は1つだけ。データ上から機動力は物足りなく感じるが、それは間違いである。

健大高崎打線の特徴は相手の「フィルダースチョイス(野選)」の多さに現れている。

3試合の得点14の内の9点に四死球、野選、失策が絡んでいる。
「相手にプレッシャーをかける走塁」
これこそが健大高崎の走塁の本質と言えるだろう。


この試合のポイント


秋の北信越大会、明治神宮大会、センバツと数々の好投手と対戦してきた星稜打線も、佐藤・石垣の健大高崎Wエースから大量点は奪えないだろう。
複数得点差を開けられると苦しくなる。

となると星稜としてはロースコアの接戦に持ち込んで得意の粘り強さを発揮したいところだ。

それゆえに

星稜バッテリーと内野陣が、健大高崎の走塁のプレッシャーの中でいかにミスを無くせるか

ここが1番のポイントになるのではないだろうか。

上述した通り、健大高崎は相手のミスから得点を奪うのが非常に上手い。それだけに星稜としてミスから失点して相手に流れを渡す展開だけは避けたいところだ。

一方の健大高崎としては、リードする展開に持ち込みたい。その為には塁上から星稜バッテリーにプレッシャーをかけ続ける必要がある。

星稜の好投手・佐宗を連打で打ち崩すのは難しいだけに、ボール球を振らされる展開は避けたい。
特に右打者の外に沈むチェンジアップをしっかり見極めて「有利なカウントを作れるか」に注目したい。

またここまで3試合264球を投げた健大高崎の2年生エース佐藤の疲労度がどれぐらいなのか、もポイントになるだろう。

雨による順延+準々決勝で登板のなかった星稜のエース佐宗は中4日に対し、健大高崎の佐藤・石垣は中1日という点が試合にどう影響するか。


名門校同士の対決だが、センバツに限っては両校ともに勝てば初の決勝進出となる。


新たな歴史を刻むのはどちらなのか。

ハイレベルな両チームの対戦から目が離せない

甲子園ラボ

この記事が参加している募集

スポーツ観戦記

高校野球を語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?