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【センバツ2024】準決勝 中央学院vs報徳学園 どこよりも詳しく見どころ徹底解説

第96回 センバツ高校野球大会
準決勝

中央学院(千葉) vs 報徳学園(兵庫)

準決勝の第二試合は初のベスト4入りを果たした中央学院と、2年連続の決勝を目指す報徳学園の対戦となった。

中央学院は今大会の1回戦が甲子園初勝利。
豊富な投手陣の継投と積極的な機動力野球で、甲子園初勝利の勢いに乗り一気にベスト4まで勝ち上がった。得点力も高く、今大会では相手のミスにつけ込んで得点を重ねるケースが多く見られる。

対する報徳学園は激戦ゾーンを勝ち上がり、準優勝した昨年センバツに続いて2年連続のベスト4となった。最大の特徴は間木、今朝丸という右のWエースの存在と守備の安定感だ。ディフェンス力で言うと今大会No1と言えるだろう。

千葉vs兵庫の過去の対戦は過去に計17回(春10回、夏7回)。対戦成績は兵庫県が11勝6敗とリードしている。

ここまでの成績

中央学院(千葉)

1回戦 7-1 耐久(和歌山)
2回戦   7-6 宇治山田商(三重)
準々決勝 5-2 青森山田(青森)


新基準バット導入により各チーム得点力が落ちる中、ここまでの3試合でチーム打率.316、長打8本で19得点と高い得点力が際立っている。

中でも長打8本という数字が目立つが、決して長打で圧倒する打線ではない。長打の中身を見てみると浅いフライが結果として長打になっているケースが目立つ。この数字は長打力によるものと言うより、持ち前の機動力で二塁を奪ったと考えるべきだろう。

打線のキーマンとなるのは1番の青木だ。
準々決勝では3打数3安打と攻守に大活躍となった。ここまでの打率は6割、そして19点中7点が青木の打点となっている。そして青木の打点が増える要因となったのが下位打線の出塁だ。相手投手にとっては息の抜けない打線と言えるだろう

その中でも中央学院の最大の武器は野手陣の走力の高さである。盗塁数は多くないものの各個人の走塁への意識が高く、先の塁を狙う姿勢が徹底されている。今大会では3試合ともに3点以上挙げたイニングを作っており、その数は計5回。
機動力を生かしてビッグイニングを作れるというのが中央学院の強みである。

一方の投手陣は複数投手による継投が基本路線だ。ここまでの3試合全てショートの颯佐がリリーフとして試合を締め括っている。非常に身体能力が高く、140キロ台のストレートが武器の速球派右腕だ。

先発はエース蔵並と背番号10の臼井が務めている。疲労度を考えると報徳学園戦は臼井投手が先発するのではないか、と筆者は考える。
130キロ台後半のストレートと左打者の外に沈むシンカー気味のチェンジアップで打たせて取るのが上手く、コントロールの良い投手という印象だ。

臼井からタイプの違う颯佐へのリレーで反撃を抑えて逃げ切りたい、それが相馬監督の思い描くプランではないだろうか。

報徳学園(兵庫)

1回戦 3-2 愛工大名電(愛知) ※10回
2回戦 6-1 常総学院(茨城)
3回戦 4-1 大阪桐蔭(大阪)


最激戦区となったブロックを勝ち上がった報徳学園。ここまでの3試合全て甲子園優勝経験を持つ強豪校に競り勝ってきた。

その原動力となったのは間違いなく間木、今朝丸という全国屈指のWエースとそれを支える鉄壁のディフェンス力である。

まずは背番号1の間木。最速148キロを誇る右腕だが、スピードで勝負するタイプではなく140キロ前後のストレートとキレのあるスライダーを内外角に投げ分けるコーナーワークが生命線となる投手だ。昨年のセンバツでも活躍し、大舞台の経験は十分積んでおり、準決勝でも間木の先発が予想される。

一方で背番号10の今朝丸は長身から投げ下ろす力強いストレートが武器の将来性豊かな本格派右腕だ。準々決勝の大阪桐蔭戦では強力打線を相手に付け入る隙を与えない完璧な投球を見せたと言えるだろう。

展開次第では間木から今朝丸へのリレーも考えられるが、出来れば連戦となる決勝に向けて今朝丸を使わない展開が大角監督の理想としてあるだろう。

打線に目を向けて見ると、3試合で長打は1本のみと数字上は迫力は感じられない。ただ「報徳学園の強みもここにあるのではないか」と筆者は考える。

その理由としては「新基準バットへの対応力」がある。わざわざこの記事を読むほどの方なら当然、新基準バットは低い打球よりフライの方が影響を受けて失速するというのは感じておられるだろう。

報徳学園は初戦の愛工大名電戦で勝利したものの、打線は伊東投手に抑え込まれたと言って良いだろう。この試合のフライアウトは11個。それが2回戦では7個、準々決勝では5個と半減している。

長打よりも「短打と機動力の野球」に完全にシフトしたと言えるのではないだろうか。
事実、大阪桐蔭戦は長打は無いものの「短打で圧倒した」と言って良い内容だった。

中でも打線のキーマンは橋本、福留、西村、斎藤の上位打線だ。2番の福留がまだノーヒットなだけに、復調すれば非常に心強い。橋本、福留の俊足コンビが出塁出来るかが報徳学園の得点力を大きく左右しそうだ。

この試合のポイント

この試合は先制点が大きく影響するのではないだろうか。特に中央学院の相馬監督としては是が非でも先制点を奪いたいと考えているだろう。

報徳学園のディフェンス力を考えると、ここまで好調の中央学院打線と言えど、そう多くの得点は望めない。

中央学院の武器は何と言っても「走塁」と「継投」だ。

まず走塁による塁上からのプレッシャーは相手に「1点もやれない」と思わせて初めて効果が出る。
逆に「1点ならあげても良い」と思わせる展開になるとプレッシャーが与えられず効果は半減してしまう。

また継投に関しても、リードした状態でこそ「相手に流れを掴ませない」という展開に持ち込める。宇治山田商、青森山田戦はともにこの展開に持ち込めた。特に14残塁を記録した青森山田打線は術中にハマったと言えるだろう。

それだけに中央学院としては先発が予想される報徳学園・間木投手の立ち上がりのボールの見極めをしっかりして、何としても試合の主導権を握りたい。

一方の報徳学園としても序盤にリードする展開に持ち込みたい。鉄壁のディフェンスを誇る報徳学園内野陣だが、守備に綻びが生まれる可能性があるとすれば中央学院のような機動力野球なのかもしれない。それだけにリードを奪えず、余裕のない展開で焦りを生むケースは避けたいだろう。

ポイントとなるのは両チームの打線の選球眼ではないだろうか。
「走力の高い中央学院」「短打で繋ぐ報徳学園」両チームの打線の良さを出す為には、高めの速球で詰まらされてフライアウトが増える展開は避けたいところだ。

それだけに両チームのバッテリーとしては「高め」を上手く使う配球を心掛けたい。例年であれば、長打になりやすい「高め」はNGと考えてしまうが、打球が飛びにくい今後の高校野球においてはフライアウトを取る方法、つまり高めの使い方が重要になるのではないだろうか、と個人的には思っている。

またこの試合はここまで好守を続けてきた両チームの野手陣の動きにも注目したい。
中でも中央学院のショート颯佐センター青木の守備範囲。
そして報徳学園の橋本、山岡の二遊間のフットワークとハンドリング。

中でも報徳学園ショート・2年生橋本のフットワークは今大会No.1なのではないかと感じる動きだ。

勢いに乗る中央学院が一気に押し切るか
報徳学園の鉄壁ディフェンスが跳ね返すか


ハイレベルな攻防から目が離せない試合になるのではないか、と期待せずにいられない。

甲子園ラボ


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