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認知症介護のリアル

水曜日の午前中に整形外科と脊椎脊髄外来の初診があって、金曜日の夕方に区変のための担当者会議があるので、火曜の深夜に福岡の母の家に行って、金曜の深夜に東京へ帰ってきた。
帰路ザワザワが止まらず、福岡空港に新しくできたラーメン通りで豚骨トマトラーメンを食べて、帰ったら夜中に大人食いしようとお得用明太子を買って、機内で「認知症の親 むかつく」で検索していい感じの掲示板を見つけて親への罵詈雑言を読んでちょっと気分が落ち着いて、頭のなかで母を泣かせられそうな言葉責めの台詞をいくつも考えてちょっといい気分になって、殴るとか怒鳴るとか早く死ねとか思うより「お母さんはこれからこんなひどい目に遭うんだって」とかじわじわじわじわ微に入り細に入り説明して母が無言になったり泣いたりすることを想像するほうがずっと楽しいな、とか2時間ぐらい想像しながら雨のなか荷物を引きずって家にたどり着いて、お米炊いて山盛りの白ごはんに明太子二腹マヨネーズぶっかけて食べて気絶するように寝て、起きて娘を土曜授業に送り出して朝ドラ見てほっこりしてまた寝て、起きたら4時半で瞼が腫れて開かなくて、パジャマから着替えずに今。

訪問看護師さんに、レビーの幻覚を患者に幻覚と認めさせることは絶対無理と言われて、ああこれからどのくらい母に、デイサービスの部屋にあるベッドには人が丸まって何人も寝ているという話が本当だと説得されるのか、と想像してうんざりしているのか、それとも24時間で明太子を5腹食べたせいで取りすぎた塩分が頭をぼーっとさせるのかわからないけど、困るのは目が全然見えないことだ。メガネかけても、すごくレンズが汚れてる時みたいにしか見えない。

認知症の人に怒ったらダメとか、介護のコツとかいろいろ前向きなことばっかり聞くけど、必要なのは後ろ向きなこととか邪悪なことを思い切り吐き出せる場なんじゃないだろうかね。
将来A.I技術が進歩したら、絶対に導入してほしいのは認知症介護の現場だ。私そっくりのA.Iに母の介護をしてほしい。もししてくれるなら、ベンツは無理でもBMWぐらいのお金は払ってもいい。
私が認知症になるときまでに、娘そっくりのA.Iを作っといてほしい。
あと私にめっちゃ懐く犬のA.Iも。

しかし東京から介護のため通っているというと「大変!」とみんなに言ってもらえるけども本当に大変なのは同居、もしくは親がすぐ近くにいる場合だと思い知った。レビーは数が少ないし集団に馴染みにくいから施設に敬遠されて大変かと思ったけど、認知機能の障害がより激しく出て体は元気で余命も長いアルツハイマーのほうがどうやら大変とか、昨日皆が邪気を吐きまくってる掲示板を読んで初めて知った。

そんな、聖人君主みたいに構えてはいられないよ。
これだけ大変なら、切れても仕方ないよ。
と思えるくらい、認知症介護の闇は深くて濃い。
そのなかで溺れるんだもの。荒んで当たり前。前向き、クソくらえ。

私はまだ序の口だ。

明太子は当分食べない。

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