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少数色覚者が少ないかもしれない仕事

少数色覚の人には就けない職業があります。

例えば信号を見分ける必要のあるパイロットや運転手。例えば炎の色を見分けなければ行けない消防士。
これらは色の判別が業務上必須なので、現状は少数色覚者が就くことはできません。

多くの職業には色覚に対する制限はありませんが、業務特性上少数色覚の人が少ない業界はあるのではないでしょうか。
例えば私はデザイナーですが、高い頻度で色の選定や判断を行うので、他の職業に比べると少数色覚の人は少ないと思っています。
しかし製品開発の現場で、デザインよりもさらに少数色覚の人が少ない業界があるのではないかと私は思っています。

それは電気設計者です。

電気設計者

ハードウェア開発を業種別に(めちゃくちゃ雑に)分けると、私のような外観や使い勝手を検討する「デザイン」、構造や製造方法を検討する「構造設計」と、そして電子部品やそのプログラムを検討する「電気設計」に分類されます。

私は10年以上開発の現場に居て、構造設計者で少数色覚の人に会ったことはありますが、電気設計者は一度もありません。自分から宣言することは少ないと思いますので、もちろんいるとは思うのですが、かなり少ないと思っています

何故なのか。

それは、電気設計者は(デザイナーより)頻繁に色を見分けないといけないから、という仮説を私は持っています。

まず、電線の被膜の色で何の線かを区別しています。
わかりやすいところでは直流電源(電池とか)の場合、赤がプラスで黒がマイナスを使うのが一般的です。当然、それくらいなら全色盲であっても見分けられますし、下のような電線の被膜の色であれば、2型色覚(緑が弱い)の私でも見分けることは十分可能です。

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それは色を判別するのに十分な面積、彩度の高さ、隣り合わせて見る事ができるなど、見分けやすい条件だからだと思います。

しかし電気設計には、色を見分ける難易度が爆上がりする避けては通れないアイテムがあります。

それは、「抵抗」です。

これです。

抵抗器

抵抗器とは電流を調整する部品で、電子基盤を設計をするときにほぼ必ず、しかも何回も登場するアイテムです。

この、ひょうたんみたいな部分に描かれた4本、または5本の線の色で抵抗値を判断します。
色は1,2種類ということはなく、黒、茶、赤、橙、黄、緑、青、紫、灰、白、金、銀の12種類の組み合わせで成り立っています。

これがまぁーちっちゃい。うちに現物がありますが、USB-Cのコネクタと並べるとこんなサイズ感です。

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色の部分が細すぎる、それぞれの線に隙間があいているので隣り合わせて判断できないなど、少数色覚にとっては厳しい条件で判別しないといけません。

集中すれば判断できなくもないんですが、一回の設計で抵抗器というのは何度も何度も出てきますので、そのたびに緊張感を味わうことになります。

私はデザイナーですが、簡単な電子工作ぐらいなら自分ですることもあり、その度に「少数色覚で電気設計やってる人マジですげぇ」と思っています。
もしかしたら、独特の判別の仕方をや工夫をしているのかもしれません。
ちなみに私は、予め抵抗値ごとに収納する場所を分けることで、そもそも色を見なくて良いようにしています。

この他、表示灯のLEDの色の見分けも必要になってくるので、やはり電気設計は少数色覚としてはなかなかの難易度の仕事と言えるのではないでしょうか。

もしこれを読んでくださった少数色覚の電気設計者の方がいらっしゃったら、ぜひコメントをお願いします!

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