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【140字/空想】月夜の浜でいつか

沈んでしまった船のことなど忘れなさい。
浜に向かう私に皆が言った。
二度と見つかりはしないわ。

綺麗なテーブルクロス
豪華なティーセット
珍しい茶葉だって。

私は黙って微笑んだ。
でもね、
私の大切な人には
積荷にはないものがある。

彼の輝く青い鱗が
運んでくるだろう再会を胸に
私は今夜も月の浜を行く。

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