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【140字/空想】私が私でいるということ

思い出そうとするほど曖昧になる。
薄紅うすべにの紗が幾重にも重なり
古い映画のように四隅は黒く滲んで溶けた。

音もなく風が吹き花が舞い誰かが笑った。
二度とはない時間はどこまでも美しい。

思い出など偽物。
けれどそれはあなたそのもの。
それ以上に素敵なことがありますか?
彼の言葉が甘く世界に染み渡った。

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