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【詩】祈りの雨〜青ブラ文学部〜

遠い遠い昔から雨が嫌いだった

空を切り裂く稲光が
冷たい部屋を浮かび上がらせば
隅の影に丸まって震えて泣いた
あなたが見つけてくれるまで

こんな嵐の夜に
きみを一人にすることが
心配で心配で

どんな言い訳も慰めにはならない
どんなに想ってくれても
残されたことに変わりはないから

雨の日に、もう発ったと告げられて
雨の日に、もう帰らないと告げられて
私はもっと
雨が嫌いになってしまうだろうか

だけど
だけど

雨が降るたびに
あなたの微笑みが重なって
雨が降るたびに
あなたの温もりがわき起こり

だから
だから

もう泣いたりはしない

あなたを胸に抱きしめて
私は一人じゃないから
優しさとは何かを知ったから

嵐の夜に大きく開け放し
雨は嫌いじゃないって微笑んで
もう泣いたりはしない

祈りの雨はいつだって
大切なあなたを私の元に
そっとそっと運んでくる

祈りの雨。
そのまま真面目に向き合うと
なんだか泣いてしまいそうだったので、
自由詩をファンタジーな物語調にしました。

寂しいけれど泣かないように、
少しずつ胸の奥が温かくなるように、
必要な誰かに届くといいなあと思います。

山根さん、
素敵なお題をありがとうございました。

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