【詩】僕と彼女と滴る時間
そろそろくる頃だと思っていたよ。
摩天楼の天辺、真夜中のプール。
一人現れた彼女は妖艶に笑った。
答えを聞く前に、
僕は彼女をかき抱く。
身に纏う一枚の布さえももどかしく
融け合って一つにならんばかりに。
名前さえ知らぬまま、
僕らは互いの熱を分けあった。
真実など探してはいけない。
すべては夢の続きのように。
幻に恋をして互いの傷を癒すだけ。
きみがいて僕がいて、
それ以上に何がある?
誰も答えを知らない。
誰も答えを欲しがらない。
ただ、今ここにあることがすべて。
ガラス張りの水の楽園は
その煌めきの中にそっと
今夜も僕らの秘密を閉じ込める。
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