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BtoBの広報フェーズと、広報機能の持ち方/広報マンとの付き合い方 〜比較的小規模組織、スタートアップ編〜

こんにちは、きたかわです。

おかげさまでフリーランスも3年目に突入しました!
そろそろ様々なプロジェクトを経験して、BtoBの広報機能・広報職が求められるフェーズはどんなときか、広報活動をまずは社内やってみたものの、イメージと違う… と悩んでしまったときにぜひ読んでいただきたいと思っています。

タイプ1:ベンチャー、スタートアップ、中小零細企業

ベンチャー、スタートアップ、中小零細企業といってももう少し詳しく状況を想定してみます。

  • 従業員数:数名〜十数名

  • 売上:数百万〜1億円くらい、単価によっては数億以上

  • クライアント数:もしかしたら数社、10社〜50社いかないくらい

  • 商品単価:比較的高めを想定

  • 上場/未上場:未上場

このタイプは専任の広報を正社員で採用をしなくてもよい思います。
なぜなら

・ステークホルダーであるクライアント数が限られる
(地理的にまたは数的に、あるいは両方で)
・ステークホルダーでもある社員も少ない


ためです。

 なぜそう言えるのか、今後広報の業務をざっくり次の2つに分けたいと思います。

  • 社内向け:情報共有、MVVの浸透

  • 社外向け:ブランディングやメディアリレーション業務

 社内向けの広報活動はタイプ1の場合、従業員同士、経営層と現場の従業員と縦も横も距離感が近いので、広報がわざわざ介在する必要性がそこまで高くないでしょう。
また、社外のブランディングやメディアリレーションですが、そもそも広報活動の目的を考えると、社員1人1人が丁寧に情報発信をすれば良さそうです。
 BtoBなので1社の獲得単価が比較的高く、契約までのリードタイムが比較的長い商材となると、クライアントに対して適切なフェーズで質の高い情報を、適切な回数与えることが重要です。
 加えて従業員数もそこまで多くないので、契約数が増加するスピードもそこまで早くないと想定します。すると広報活動の目的である企業活動の説明責任や自社のケイパビリティのアピールは、(フィールド、インサイド)営業が普段からしているでしょうし、営業ももしかしたら経営層が兼任しており、企業理念からサービスの説明、実績等々の情報を余す所なく伝えられていることでしょう。

 この規模でもしメディアにお伝えできる実績があるのであれば、それは継続していきましょう。しかしやはり専任の広報の必要性はそこまで高くないように思います。実績が出てくるペースは小規模の組織であれば毎月、月に何本も、、ということはない想定です。であれば、外部の広報にスポット的に頼ることも手だと思います。詳しくは後述します。

改めてこの規模の組織の広報目的と目指すべきところをまとめると、

  • 誰に向けた広報か:今関わりのあるステークホルダー(クライアント、従業員、その家族、企業の所属する地域など)、潜在顧客

  • 広報目的:自社のサービス説明、自社の実績、ケイパビリティのアピール、企業としての説明責任を果たす

  • 目指すべき広報のあり方:量より質 ※語弊があるのであとで補足します

  • 誰が広報を担当すべきか:社員一人ひとり

 もちろん、このようなフェーズにいらっしゃる企業の方から広報ほしいんだよね、と言われることももちろんあるのですが、その場合、「広報活動」に関して、次のような認識齟齬があることが少なくありません。
 逆に依頼を受ける広報の方はぜひ事前に確認しておきたいポイントです。

広報=広告と勘違い
 営業活動が苦戦している時期などによくあるご相談内容です。
 広報は広告とは違います。広報は事実(ファクト)ありきのコミュニケーションです。広告のように差別化イメージを持ってもらったり、自社が伝えたいメッセージを自由な表現方法で表現する活動ではありません。
 もし認知度の低さで苦戦しているようであれば、マーケティングやセールス、あるいはサービス開発に注力するほうが優先度が高いと言えるでしょう。


広報=(有名)メディアに出られる、出たい
 よくBtoBで出てくる媒体名は日経、Forbes、WBS、ガイアの夜明け… 発行部数やビジネスマンがよく読む媒体、そしておそらくご自身も親しみのある媒体に出るのは誰もが憧れるでしょう。確かにその気持ちは理解できるのですが、こちらも前段と同様、その媒体に掲載されるだけの特筆すべき実績や、媒体の求める特徴を自社が提供できるかどうか、振り返りが必要です。
 上記の媒体は“憧れ"の媒体かもしれません。しかし広報マンにとって媒体は憧れで選ぶものではなく、自社が持つ情報を適切な方法で、適切な読者に(とはいえできれば大きく取り上げてほしいんですけど…笑)、届けられるかどうかで選ぶものです。
 発行部数が多い媒体に掲載されればもちろん認知度は高まると思いますが、読者が想定する層とズレがあったり、専門以外の媒体によって万一誤ったメッセージが発信されてしまったり、あるいは掲載事態が不適切であると読者に思われてしまった場合には、認知にはつながりません。ブランド毀損のリスクも否めませんので、コミュニケーション媒体は多角的に検討したいものです。

 もし上記2点にあてはまらず、本当に広報を必要とされている場合、実際どんな時には広報を頼っていただきたいのか、状況別・どういった外部の人がいるのかを記載していきます。
業界の皆さんにとっては非常に大雑把に見えると思われるものかと思い恐縮ですが・・・もちろん場合によってなのであくまでご参考までということをご了承ください。

タイプ1の会社が広報を頼りたいシーン別 おすすめの頼り先

①大きな提携などがあったとき、記者会見や大きな出展を検討したいとき
 大きな提携や出展、記者会見はぜひ素敵に発信をしていきたいですよね。ビジネスサイドにも大きな影響があります。
 そんな時には、単発でいいので、外部発信だけでなく危機管理広報にも強い広報のプロを頼ってみるのはどうでしょうか。というのも、単に発信活動のためのリソースが物理的に足りていないのと、当然情報解禁までの情報コントロールや、各所との調整、記者会見も実施するのであれば開催ノウハウも足りていないだろうと思うので、外部に頼った方が早く、負担も減って社内の担当者も楽だと思います。

 その際の金額感はおおよそ100万円〜数千万円とばらつくように思います。その費用の中の内訳はざっとこのようなものです。
 会場費、メディアアプローチ費用、プロジェクト管理費用、会場代、機材費、当日のスタッフへの手当、司会の方への手当、会場設営費、グッズなど必要であればその制作費用、最近はオンラインになってきているのでシステム利用費などが計上されると思います。
 具体的な頼り先としては、フリーランス等々あるかと思いますが、パートナーさんのとりまとめが難しくなる&プロジェクトコントロールの力が弱くなるので、できるだけ上記の項目を分割発注しないのをおすすめしたいと思います。なのでエージェントと呼ばれるPR会社や企画・制作会社に一括発注か、制作会社さんなどにもネットワークを持つフリーランス広報などにPMをお願いする・外部発信だけを発注する方法が良いのではないでしょうか。

②プレスリリースを発信したいとき
 記者会見やイベントまではしないけれども、プレスリリースは出してメディアに取り上げられたらなあ・・・というときはこちらですね。
 最近ではリリースのライティングだけを実現してくれる安価なサービスも出てきているようです。
 リリースのライティングは基本ですが、

②普段から広報力を鍛えておくのにおすすめ
社員研修 1:情報管理トレーニング、メディアトレーニング

 事業や企業全体で何か特別なイベント、きっかけがあるわけではなく、広報がいないので社員教育の一環として広報の基礎の基礎だけは学んでおいてもよいのではと思ったのでこのシーンも設定してみました。
 最近はSNSでの発信活動が活発です。社員の方が自由にSNSを社名を出して発信しています。そんな時に、情報の取り扱い方を覚えておくと安心ですよね。
 また、時々インバウンドで取材や講演の依頼がくることもあると思います。そうしたときにメディアトレーニングを受けておけば、適切に受け答えができるだけでなく、PRのチャンスを生かせます。

 この場合は、外部のエージェンシーやフリーランス広報に、目的を伝えてメディアトレーニングを企画してもらってください。例えば数回に分けるなどして、情報の取扱いや受け答えに関して必要な知識を得られると思います。

③普段から広報力を鍛えておくのにおすすめ
社員研修 2:ライター講座
 意外かもしれないのですが、ライティングを学ぶ機会はあってもいいなと個人的には思っています。広報的な文章は書いたことがなければ、当然書けるわけがないのです。日本語のライティングルールはもとより、広報視点を加えた文章表現は、一朝一夕に身に付くものではありません(私たち広報もずっと研鑽を続けています)。
 先ほど、一人ひとりが広報というお話をしました。もちろん広報のプロとしてライティングができるようになる…とまではならなくても、例えばリリースライティングを外注する場合に、外部の方とスムーズなやりとりができるようになったり、自社のSNSや顧客とのメールマガジンの作成、ひいては普段のドキュメント作成で簡潔で伝わりやすい文章を作成したりするのに役立つと思います。
 エージェンシー、フリーランス広報、校閲を複業・副業でやっている方などにルールをまとめてもらったり、校閲だけやってもらったり、いろいろ依頼できることはあると思いますので、気軽に相談してみてください。

いや、それでもうちは広報めっちゃ重要だと思うという企業は

 もしやはり中長期目線で広報をおいておきたい! 組織のことをよく知ってくれる広報を今から育てたい! という企業の方は、広報感覚を持った事業企画、事業開発、商品企画開発者、または同じく広報感覚持った人事か組織開発もできる人(最高なのは3つ全部バランスよくできる人ですね)にジョインしてもらうのをおすすめします。
すでにお気づきかと思うのですが、このフェーズでは事業を育てるか組織を育てるか、あるいはその両方をやらないと絶対に発信がついていきません。仮に今、メディアからの引きがいい情報を持っていたとしても遅かれ早かれ枯渇します。たった一度の「XXの媒体に掲載されたから」でビジネスは成長しません。だから事業企画or組織開発×広報で組織を引っ張っていける人が必要なんです。
実際、そうしないと広報担当者のリソースが余ってしまうという現実もありますしね。ちなみにこれを意識して広報を採用している企業はこれまで1社しか出会ったことがありません(広報採用面談時に正社員で、3つやってもらうと明文化されていた)。

長くなってしまいましたが、企業のフェーズによって広報活動の定義、活動の重要度も変わるし、誰と活動を一緒にするのかは異なるということを押さえていただければと思います。

またタイプ1、と冒頭書いた通り、次のフェーズに入った時の広報活動についても書きたいと思います。事業の成長と広報活動の深め方と2つの軸がだんだんできてくるようなフェーズに入ります(多分)。早々に公開できたら嬉しいです。

編集後記
この記事を書き始めたのは2021年の夏頃・・・公開まで半年以上もかけてしまいました。当初はタイプ1〜3、4あたりになりそうなのを1記事で書き上げてしまいそうになり、途中で連作とすることにした次第です。
私自身も広報を長く続けている途中で、クライアント企業のフェーズが変わる場面に立ち会っている最中で、振り返るとやはり広報は時間がかかるなと
。自分自身の棚卸し含め、現段階の考えをまとめてみました。
時間をかけすぎてしまったため、編集が甘いところもあるかと思いますがその際はこっそりコメントいただけると幸いです。


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