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『尾崎左永子 八十八歌』(沖積舎・平成27年)

みなさま、こんにちは。
本書は少し変わった歌集です。と言うのも、尾崎さんの自筆・自選歌集だからです。一頁に色紙一枚(一首)を掲載しています。

私たちは活字に慣れすぎており、筆跡という美のかたちを半ば忘れているのではないでしょうか。筆跡も含めて一首を愉しみたいと思うのは私だけではないはずです(そう思いたい)。

日本の生んだ美しい文化の一つが、連綿体のかな文字であると思います。文字とは、単に情報を伝達するだけの道具ではないのです。


年を経て…

年を経て相逢ふことのもしあらば語る言葉もうつくしからん

『尾崎左永子 八十八歌』


夏椿の…

夏椿の今日散るいのち蝶のいのち雨の地上は夕明りして

『尾崎左永子 八十八歌』

ここでは敢えて掲出歌について語るのは控えます。
目で親しんで、声に出して愛する……
今日はそれだけでよいのではないかと思うのです。

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