雪国へ、透明なアートに会いに行く【十和田市現代美術館】
一月の頭に青森県の十和田市現代美術館に行きました。
載せたいと思いつつ、バタバタしていて気づけばもう2ヶ月以上も(!)経ってしまいましたが、ようやく記事が書き上がりました。
素敵な作品たちをお裾分けします🍎
作品の説明文は、美術館のパンフレットより引用しています。
◇◇◇
1,フラワー・ホース
有名な入り口の作品。
白い雪に華やかな花畑が広がるように、美しかった。
2,スタンディング・ウーマン
確かに、本作品は見る角度により女性の表情が変わります。
誰しもが一度はきっと味わう“老いや孤独”を耐え忍ぶ厳しい表情、やがて穏やかに受け入れる覚悟を持つ。それは諦めなのか達観なのかは、静かな表情から読み取れない。
3,水の記憶
ある“もの”や“場所”には、そこに留まったことのある人々の無数の想いや願いが宿っている。それは決して目には見えないけれども、確かにそこに存在した人・生命・時代があり、それらは今この瞬間にその“もの”や“場所”に触れた私たちの人生と交差するのだと思わせられる。
4,オン・クラウズ(エアーポートーシティ)
国境や領土という概念から解放されれば、戦争はなくなるのでしょうか。
だとすれば、なんて希望のある都市の在り方だろうと心が軽くなった。
でもやっぱり人間は弱いから、それでも争いは、悲しいかな、無くならないのかもしれないね。
5,光の橋
柔らかなプリズムのような光。
形状は硬く角張っているのに、色は柔らかく淡い。中をくぐり抜けると光に包み込まれ優しい気持ちになる。
6,コーズ・アンド・エフェクト
近づくと無数の人々の連なりが見える。
私たちは今この瞬間を生きているけれど、それはスクリーンショットのように切り取られたものでなく、過去の人類や前の世代が紡いだものを私たちは享受していて、そして今の時代の私たちの在り方が未来の人類と、次の世代に繋がっていく。
当たり前だけれども、生きることに必死でつい忘れてしまう、大切なことをこの作品は思い出させてくれる。
7,PixCell-Deer#52
この作品はとても残酷でアイロニーに満ちていると思った。
なぜなら、一目見て、私はこの作品の美しさに強く惹かれてしまったから。
この美術館で一番美しく魅力的な作品だと思った。どの方面から見ても美しくキラキラ光る鹿から目を離すことができなかった。
そして、解説を見た。
私が見た美しさは、本物の美しさではないのだと思った。
スマホとSNSが普及したこの時代、美しくて魅力的な画像や映像がすぐに届く場所にあって、画面を見て私たちは「きれい〜!」と声を上げる。
でも私たちの目に届く情報はデジタルによって加工されたもので、本物が直接に生に放つ情報とはギャップがある。そしてそのギャップは無いもののように、見過ごされてしまう。
今はとても便利な世の中で、私たちは今この瞬間スマホ一つで世界のどこにでも飛ぶことができる。
でも、デジタル媒体を通して世界の美しさを捉えることで満足してしまうこと、時にその美しさを本物だと思わせてしまうような、恐ろしい力がデジタル世界には潜んでいる。
でもそれにすら気づくきっかけってなかなか無い。いや、忘れさせられているのかも。
だから、私はこの作品は人類への皮肉だと思った。
8,おまけ
時間がギリギリだったけれども、どうしても見たくて駆け抜けた、草間彌生さんの作品。
雪を被ったかぼちゃ、作品がとても愛らしい。
◇◇◇
透明で儚いアートたち。でも意味と想いが強く込められている。
十和田市美術館の作品たちは、人間の生と繋がりに問いかけてくるものだと思いました。
でも、作品を見るだけでは気付くことができず、解説を読んで初めて作品に込められた真意に気づく。目の前にある不可解な作品の意味や、作者の想いが見える瞬間が本当に面白い。
だから、私、現代美術がとても好きなんです。
5年前の冬に、パリのポンピドゥーセンターに行きました。とても大きい近現代美術館です。
すごく面白かった。アートとは何かを考えさせられる、そんな作品に出会ったことが衝撃的だった。
帰国してから数年間の間、何度かポンピドゥーセンターを思い出して、また必ず行ってみたいと強く思う。月日を重ねた今だからこそ、あの時と作品も異なって見えるのだろうなと好奇心がくすぐられる。
◇◇◇
最後は心がパリにまで飛んでいってしまいましたが(笑)、以上が十和田市現代美術の紹介でした。
美術館のカフェで食べたアップルパイが美味しすぎて感動しました。
ジェラートは冷たくてミルクの濃厚な味がして、りんごは素材の味がしました。忘れられない美味しさ、また青森県のアップルパイが食べたい🍎
長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます☺️
あこ
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