chami
短歌だけのもここに。
あなたの写真やイラストに短歌をつけさせてください。 #短歌つけます
セックスをしようよ君は君の海泳いでいればよいことにして くろぐろと形よき眉食べ尽くし取り戻したい君の青年 君だけの三十八度にしがみつき夢みたものは終わらない夏 今日くらい早く帰ってみようかと四百円の北朝霞駅 #短歌
真夏日のオレンジジュース飲み下し苛立つ時こそ愛すと決める 奥様と呼ばれたかったあの日へは戻れないけど那須に行きたい 「これだから女は駄目だ」の後ろにはかつてあなたが愛した女 雑炊を食べさすことの甘きより酸きを確かめ老いてゆくなり #短歌
うつ病と片付けられし春の夜に希望とう名のガーベラを買う 「不安時」が三回許されることを最上級の救いのように 病名を書く欄ありき三本の曲線われの病名となる 人はみな孤独と叱る母親の孤独を思う 薬は効かぬ #短歌
赤子との暮らしを問えば「眠れない」希望を語ることもできぬか 水道の氷の味のハイボールその人のこと何と呼んだの 待たれどもあなたを待っている心地 余分の距離を黙って潰す この夜は忘れられるか未だ見ぬ我が子がひとつを数えるときに #短歌
これこそは「ヨメ」の特権 ひとりでもあなたの帰る家で眠れる 重要なパラメーターは明るさと眠るあなたの肩の弾性 一度だけ行ったアパートその人と飼っていた犬うまれた子ども またひとつ強欲になるその指が空なだけでもよかったものを #短歌
一文字も残さぬシーツあなたには帰るところがあり人がいる フロントの女性の指が私よりあなたのことをわかって動く 帰るほかないワンルーム あそこにはあなたの爪も番号もない この恋はこの恋のまま 結末はいつか活字で読んで知ってる #短歌
「いい朝」の条件ひとつ 起き抜けにあなたがわたしの名前を呼んだ 花冷えの朝くつ下を差し出してひらりと笑う君が幸福 天然の上向き睫毛眺めれば風がふくふく春は明るい 帰ったら好きって言おう満開の桜を知ったあなたとの春 #短歌 #春が来た
万が一終わりが来れば燃やすほかないものばかり増えるアパート ひとりでは酔えないことを思い出す じゃがりこ、ワイン、合わなかったよ 想いとは膨張し膨張しなお小さな部屋を出てゆかれない 勝ち負けのないのが愛か待ち続け待ち続ければ鍵の開く音 #短歌
君だけに話したいこと専用のボストンバッグかかえてメトロ 南向き大きめの窓 目覚めれば明日のあなたに出会えるらしい ものを食べねむりおきまたものを食べあなたの横で保たる命 私には渡れぬ河があなたには歩幅のしずく逆もまた海 #短歌
ニンハンと略すらしきはマイナスを示す気づけば春が来ている 目が合った気がして逸らす出産を「希望しない」のチェックボックス この町のいのちが集う場所にいてニューバランスの数を数える ひとつしか持たぬわたしもそれらしく見えるだろうか ほほえんでみる 診察券のカーネーション あなたには二度目のことがこんなに遠い #短歌
左手に消された三つの星と嘘 君の見てきた世界を触る ありがとうごめんなさいが言えるひと つらいさみしい口に出すひと 傾けば終いねあなたの体温と白髪混じりの色気を吸って あなたより十五分だけ早く起きあたためている昨日のおでん 洗濯は午前のうちに あなたなら大丈夫って思えてしまう #短歌
三月を永い別れと読んだ冬「いつか一緒に」言ってみただけ 愛してはならない人が居なくてはならない人で私は女で 「エアコンを外してくほどアクティブな女なんだ」って、笑うのね ベッドだけは新しいのにしてよって言えなかったのなんでもないの 正直な不動産屋はジャニーズ系「夜の人かと思いましたよ」 車からおんなじものが見えている あの立呑屋で飲むんだろうね 焼酎は水で割ることおかえりとおやすみだけは欠かさないこと #短歌
キーホルダーの中で育つのやめているあなたの子の名をちゃん付けで呼ぶ たゆ、たぷん その果はきっと秋の頃熟すのでしょうねとてもいい名ね こんなにも穏やかな海 四歳の彼女がたたくピアノを浮かべ 春の日でよかったあなたのやさしさが同じ温度で陽射しに溶ける #短歌
この胸のうちしんしんと泣きたりし十四の少女が春を浴びせらる #写真 #短歌
マッキーの太字みたいな確かさで「一生」なんて言われたらもう 鯨より広い背中を抱いている夜のみどりは深海のいろ 「安物でいいから、」「いいよ、買ったげる」マンションだったらどうするつもり 宵越しのコンソメスープに慎ましくやわらかな蕪 きみの指の腹 #短歌