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“ブランドもの”が通用しない国ー北朝鮮 #35

こんにちは。

最近は環境の変化が多く、慌ただしい日々を送っていますが、月1〜2回更新というペースは崩さずにいこうと思っております。

仕事に関する変化は前回の記事に書いた通りですが、もう一つ大きな変化として、義理の両親と2世帯住宅を建てる話が進んでいます。

私は単身で来日したため、この話が出た時は大いに喜びました。
北朝鮮で暮らしていた時から両親の存在が大きく、たくさんの愛情を受けて育ったので、心のどこかで自分自身の将来像としても、家族で賑やかに暮らすことを思い描いていたからです。

以前、北朝鮮で家を建てた話について書いたことありますが、偶然の連鎖とはいえ、自分が日本で家を建てることになるとは想像もしていませんでした。人生は不思議なものですね。

話を進める中で、工務店が決まり、(悪戦苦闘しながら)間取りが決まり、先日はいよいよキッチンやらお風呂やらを決めるために、Panasonicのショールームに行ってきたところです。
主婦にとってキッチンは、家の中で最も重要な場所といっても過言ではなく、それは私にとっても例外ではありません。終始、テンションが上がり気味になりつつも真剣に選びました。(夫が口を挟む余地はありませんでした😂)

発注先の工務店によって変わるかもしれないのですが、私たちがキッチンやお風呂などの住宅設備を選ぶ際、最初に決めたのは”どのメーカー”にするかでした。

いくつかの選択肢の中から検討しているとき、お義母さんが「Panasonicは主婦にとって憧れのブランドだからね」と呟いたことが決め手になり、我が家はPanasonicのショールームに足を運ぶことになったのです。

お義母さんの呟きが印象に残った私は”そうか、ブランドね…”と心の中で反芻しながら、自分がブランドというものをきちんと認識したのは、来日してしばらく経ってからのことだったのを思い返していました。
今回はそのあたりのことについて書いていこうと思います。

日本に来てから大変だったことランキングを作るとしたら、”ブランドを覚える”がそこそこの順位にランクインするような気がします。(”日本語を覚える”は間違いなく殿堂入りで、現在も大変なままです)

北朝鮮に住んでいる時は、そもそもブランドというものを意識したことがありませんでした。

例を挙げると、北朝鮮では日本の中古家電が多く出回っており、各製品にはPanasonic、National、TOSHIBA、SONY、HITACHIなどメーカーのロゴが刻印されていました。
しかし、当時の私にとって各メーカーのロゴというのは”アルファベットが塊になって並んでいる”だけのことで、それ以上でもそれ以下でもなかったのです。模様やデザインの一部という感じでしょうか。

ものを選ぶ基準としては、ブランドではなく”どこの国で作られたか”が重要なポイントでした。

日本製は丈夫で申し分ないとか、中国製は品質が悪いけど安いとか、ヨーロッパやアメリカ製などはよくわからないけど良いらしい(あまり出回らない)、韓国製も近年品質が上がっているから良いらしい、といったイメージです。

かつてMade in Japanがブランドとして機能した時代があったと、学校の授業(社会?)で習った記憶があります。もしかしたら北朝鮮はその時代で止まっているのかもしれませんね。

基本的に市場には中国製のものだけが出回っていて、他の国(日本やヨーロッパなど)のものはあまり売っていません。そういった品々は希少な分だけ高価なので、購入できそうな家はだいたい決まっています。
日本でいうバイヤー(密輸ですが)のような人たちが定期的に顧客の家を訪ねて(例えば日本の中古の洋服や調味料などなど)販売会を開きます。冷蔵庫のような大きいものは運ぶのが大変なので展示場所に見にいきます。

話が逸れますが、北朝鮮の電圧は220Vなので、異なる電圧設定の国で生産された家電を使うためには変圧器が必要になります。電気関係に詳しい個人が制作・販売しており、多くの家で生活必需品として重宝されています。

変圧器にはコンセントを指す部分がありまして、その中で220Vと、110Vと書かれています。家電によってどちらに挿すのか把握しておかなければなりません。私の家でも日本製の110Vの冷蔵庫などを220Vに挿してしまい使えなくなったことが数回ありました😅

北朝鮮は慢性的な電力不足であり、たまに電気が通っても220Vに満たない不安定な電力のため、そのままでは家電製品が使えません。

そこで、低い電圧の電力を標準電力にするためにも変圧器が活躍します。変圧器には電圧を調整するダイヤルとインジケータがついていて、電圧を確認しながら段階的にダイヤルを上げていきます。
変圧器によって220Vの電力が使える家は照明が点くので明るいし、家電製品が使えます。逆に変圧器がない家は暗いままなので、一目瞭然です。

電気が来ている間は電気検閲というグループが各家庭を回ります。
冷蔵庫・テレビ・洗濯機などは使用して問題ありませんが、炊飯器やヒーター、ケトルなどの消費電力が大きい家電製品は使うことは禁止されています。

禁止された家電を使用しているのが見つかった場合、没収されるのはもちろんのこと、下手をすれば田舎や山奥に追放されるケースもあります。(そいういうときは素早く賄賂を差し出します😆)

ドラマ「愛の不時着」でもこういった場面は描かれています。韓国の炊飯器を使っている家に電気検閲がきてそのことが発覚してしまい、その炊飯器自体を賄賂で渡すという展開でした😭

ブランドの認識についても、主人公のユン・セリが市場で腕時計を換金しようとした際、店主がおもむろに腕時計を秤(はかり)に乗せ、重さで値段を決めるというシーンが象徴的だと感じました。

多少なり誇張が含まれているのは否めませんが、北朝鮮の価値判断の基準をわかりやすく表現していると思います。私自身、GUCCIもCHANELもLOUIS VUITTONも知りませんでしたから。

もちろん朝鮮労働党の上層部や富裕層は例外で、例えば金正恩の奥さんはCHANELを含むハイブランドの洋服ばかり着ていますが、悲しいことに国内のほとんどの人は気づくことができません、、

そんな国で生まれ育ったため、ブランドというものを理解するまでそれなりに時間がかかりました。あらゆるジャンルに数えきれないほどのブランドがひしめいているので、覚えるのも大変です。

そして、来日して15年ほどが経過した現在、ブランドの成り立ちや良さの魅力を理解し、そこそこ好きになってしまった私がいます😍

(※変圧器に関する説明など、記事を書いていて”わかりづらいかも”と思った部分がありました。理解不足もあり、誤りが含まれているかもしれませんが、何卒ご容赦ください。)

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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