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産婦人科受診③ 心拍確認できず。

2023年9月26日。
前回からちょうど2週間経ち、最終月経日から計算すると8w5d。

日に日にひどくなる悪阻。
食べられたものが食べられなくなる絶望感。
それでも、幸せな妊婦生活を送っていた。

やっと、エコーで赤ちゃんに会える!
前回よりも大きくなってくれてるかな。

でももし、心拍が確認できなかったら…?


内診。
その不安は、まさに的中してしまった。

「ちょっと残念な話をしなくちゃいけない。でもすごく大切な話だから、聞いてね。
赤ちゃんの心拍がわからない。前回はっきりしてたから、今回なくなるってことは、まずない。
赤ちゃんの大きさも、前回から育ってくれてはいるけど、今日の週数に対して期待している大きさにはなってないのね。
すごく残念だけど、この後、これからの話をしましょうね。」

涙は出なかった。
内診室を出て、診察室に再度呼ばれるまでの数分間で、ぼーっとしながらも、夫にLINEした。
「心拍、確認できなかった…」

診察室に呼ばれる。

「突然のことで、びっくりしたと思う。まずは今日は、無事におうちに帰りましょう。

とっても残念だけど、今の状態は稽留流産といいます。
このまま、1〜2週間の間に、たぶん赤ちゃんが自然と出てきてくれる。でも、それがいつか予測ができないから、手術を選ぶ人もいる。どちらでも構いません。

ただここは入院設備がないから、ここで手術するとなると、局所麻酔しかできなくて、意識がある中での処置になっちゃう。
すぐには決められないと思うから、明日また相談にきてもらえますか?」

胎芽の大きさは10mmほど。
おそらく7wに入ったあたりで、心臓が止まってしまったのだろう、とのこと。

会計を済ませて、家までの道を歩いていると、夫が迎えにきてくれていた。
夫の顔を見たら、やっぱり泣いてしまった。

赤ちゃんの心臓が、残念だけど止まってしまったこと。
自然と出てきてくれるのを待つか、手術するかを明日までに決めなきゃいけないこと。
これは確率の問題で、どうしても起こってしまうこと。

夫は私よりもはるかに冷静で、ひと通り話を聞いてくれたあと、もう前を向いていた。
「仕方ないよ。きっとまたすぐできる。」
その言葉は、賛否両論あるとは思うのだけど、私にとって、とても嬉しいものだった。

悲しい気持ちの乗り越え方や受け止め方は、人それぞれにある。
妊娠は、女性の身体にのみ起こる。実体として「赤ちゃん」をお腹に宿していた私の悲しみとは、形が違って当たり前なのである。

これを書いている今(手術の2日前)も、私はまだまだ落ち込んでいる。失意の底にいる。
悲しいことに、悪阻は更に悪化。
すでにお腹の子は心臓を止めてしまったというのに、この身体は妊娠を継続したままなのだ。
そのギャップが何とも、切なくて仕方ない。

何をしていても、ふとした時に涙は出てきてしまう。
でも、先に前を向いてくれていた夫のおかげで、悲しみの感じ方が、少しずつ柔らかくなってきている。

次回に続きます。

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