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事実婚の出産で考えた、家族のあり方と「異次元」の意味

事実婚で再婚して約2年。ありがたく子を授かりまして、そろそろ出産予定です。
これを機に法律婚をするのか、それとも事実婚のままか、その場合は子の名字や籍はどうなるのか……いろいろ考え相談した結果、我が家は引き続き事実婚で子を迎え、育てることにしました。

まだ手続きも最中なので不確定要素も多いのですが、備忘の意味を込めて、経緯や情報をまとめてみました。「こういう家族もいるんだ」と、ひとつの選択肢として見てもらえればと思います。

産まれる前に「認知」する

まずは何より「胎児認知」をせねばということで、先日、母である私の本籍地、新潟県の某田舎の市役所にてパートナーと共に届出をしてきました。

認知には、子がお腹の中にいる時点、つまり出生前にする「胎児認知」と、子の出生後にする「生後認知」があり(そのなかでも更に種類あり)、生まれる前に「胎児認知」をしておけば出生届に父親の氏名が記載されるそうです。

届出にあたり、両親が現地に行くかどうかで書類に違いがあるのか、印鑑がいるのかいらないのか、ネットで調べるだけでは心もとなく、事前に役所に電話して必要事項を聞いてから赴きました。(各自治体への事前の電話連絡、おすすめです)

3月とはいえ新潟ではまだストーブをつけるほどの寒さのなか、市役所の窓口にいき、電話対応してくれた方はあいにく不在だったのですが、事実婚で胎児認知をしたいことを伝え、持ってきた書類を確認してもらうことに。

地方の役所でこうした事例は少ないのか、少し慣れていないようなご様子で、しかし丁寧に、テキストみたいなのを持ってこられて、ひとつひとつチェックしながら記入事項を見てくれました。
念には念をと何度も確認をしてくださり、とてもありがたかったです。
「3月◯日、13時5分、受理しました」
と口頭で言われ、なんだか急に存在が顕になったような実感がありました。

都の買物券はもらえるの? 医療費助成は?

……で、終わる話ではなく。必要な手続きはまだ続いています。

事実婚の場合、日本の法律だと子は自動的に私(=母親)の戸籍に入るのですが、戸籍は親子2代までのものしかつくれません。私(=母親)は現状、法律婚をしていないので、私の両親の戸籍に入っています。
その場合、私(=母親)は「分籍届」を出して自分だけの戸籍をつくり、そこに自分の子が入ることになると、こちらは現住の区の戸籍課で教えてもらいました。

それに加え、子を母の籍に入れたままで母親と同じ名字とするか、「子の氏の変更」をしてパートナー側の戸籍に入るか。後者の場合はさらに、子の戸籍ができたあとに家庭裁判所に申立書を提出したり、親権者指定の手続き等も出てきたり…など、選択によってさまざまな流れが。

そうして情報を集めて手続きを進めてくと、さらにあれもこれも疑問が湧いてきます。

子が産まれたあとの児童手当、子ども医療費助成、区内共通買物券なども通常通りの手続き・対象となるのか?(なるそうです。手続きも通常通り)
子をどちらかの扶養に入れる際に、認知と戸籍の同一が必要か?(組合に聞いてみるべし)

また、手続きの順番にもいろいろあり「こっちを先にやっておくべきだったか!」というシーンもありました。(上記の分籍届なんかがそうで、先に本籍地から分籍してから認知届を出したほうがスムーズではあった…)

「当たり前」の中身を、意外と知らない

もっとちゃんと調べておけばよかったと思う一方で、まとまった情報がどこかにあるわけではなく。ほぼ無知状態から、事実婚の先輩方や、弁護士の友人らにも話を聞いて、自分たちとしての選択とそのための情報を集めていきました。

なかでも上記の通り、住んでいる自治体の戸籍課の方にいろいろと細かく教えてもらえたのは大きかったです。(でも窓口の方でも知らないことはあり、対応が何人も変わったり電話で確認したり、というシーンも)

そうした過程を踏んでいくなかで、当たり前のように受けている制度や法的要件に対しても、ひとつずつ立ち止まって「これはどうなる?」という視点を持つようになりました。
成り立ちや背景を調べたり、角度を変えた見方をしてみたりして、改めて気づくことや見えてくる綻びがあります。

親子とは、家族とは。その在り方の定義とは。

当たり前をそのままにせず向き合い考えることを、こうした手続きのなかで改めて学んでいるところです。

「異次元」の対策とは、どういうことなのか

さて、話は少し変わりますが、異次元の少子化対策が話題です。
臨月を迎え、まさにリアルタイム当事者という感じで日々ニュースを追いかけています。

児童手当や金銭面の支援、男性育休の推進、若者の貧困や結婚における経済的ハードルなど世代を越えた多様な側面からの議論も必要とされるなかで、やはり根本的な部分では、選択的夫婦別姓や同性婚など、多様な家族の在り方が実現されてこそではと、個人的には思うことが多々あります。

そんななかで、ジャーナリストの浜田敬子さんが記事で紹介されていた、毎日新聞の『世界少子化考』を読み、諸外国の事例が独自の論点とともに整理されていて非常に勉強になりました。

例えばフランスでは、同性婚はもちろんのこと、同性・異性にかかわらず未婚でも結婚と同等の権利が適応されるPACS制度の普及や、独身女性や女性同士のカップルにも生殖補助医療の公的保険を適用する法案が可決されたことなどから、今や「結婚以外での出生」が「結婚での出生」を上回る結果になるほど。

日本の現状からしたらまだまだ遠い事例ですし、これらが絶対的にすべて正しいと言うわけではありません。他国の例でいえば、代理母や教育面での資金不足、所得格差の拡大など、少化対策から派生する新たな課題浮き彫りになってきています。

ただ、「少子化を考える際の課題は多領域につながっていて、こちらの解決策が、あちらの解決策にもつながる」ことは確かにあると感じ、改めて、「異次元とは」を考えるきっかけにもなりました。

「草の根」的に広がる知見を、この先へ

日本でも、事実婚カップルの公的制度や補助が拡大してきたとは思います。ペアローンから、不妊治療の保険適応まで。今現在、病院や自治体でも特に事実婚が珍しく扱われることはありません。でも、いや、だからこそ「木を見て森を見ず」な状態を実感することも。

周囲に事実婚カップルは増えていますし、私も今回の決断をする際に事実婚カップルの先輩方にいろいろお話を聞きました。みなさんそれぞれ各世代の最適を選択していて、自分の場合はこうだっだよ〜と、本当に丁寧に教えてくれて感謝ばかりです。

そういう知見が共有されていく素晴らしさを実感しつつ、同時に「根本の負」が解消され、そこから派生するさまざまな課題も解決されるように……と願っているだけではなく、変化につながる行動をせねばと改めて自戒しているところです。

最後に

産後も保活や何やらといろいろ待ち構えているハードルはありますが、その都度悩みや課題に真正面からぶつかり、うんうん考えて解決策を出すのって、実はとても大事なこと。

考えるタスクは2倍に増えるかもしれませんが、それも自分たちなりに向き合い、楽しく生活していきたいと思います。


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