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【短編小説】恋人を紹介したくない女

クミは女の私から見てもめちゃくちゃ可愛い。
いや、美しい方かな?
まあ、
とにかく見た目がすごくいいことは間違いない。

それなのに、って言ったら変だけど
性格も、なんていうか
女子にも好かれる感じなんだよね。

男勝りでサバサバしてるし
細いのにどこ入るのってくらい食べるし
聞き上手だけどぽろっと発した一言が
妙に説得力あるし
友達想いでいじめとか許さない正義感もある。

まあ、自慢の友だちだったよ。
誰に紹介しても恥ずかしくないし
クミと友だちであることが誇らしかった。

いや、「誰に紹介しても」は嘘。
私の恋人(と好きな人)には絶対紹介したくない。

もちろん見た目が良いからってのもあるよ。
私と比べられたら勝ち目ないもん。

でもクミも私の恋人を好きになっちゃうらしいのよ。もちろん戦ったら勝てないから毎回盗られちゃう。

その後長く付き合って幸せになってくれたらまだ許せるけどさ。
ほら、好きになるってそう簡単に止められるものでもないじゃん?その気持ちはわかるのよ。
好きになってはいけないとわかっていても
好きになっちゃう気持ち。

それなのに、クミ、私から奪ったらすぐ別れちゃんだよ。ひどい時は告白させといて振る時もあった。そんなの私から奪うことが目的になってるとしか思えないもん。

しかも、他の友だちに言っても
あのクミがそんなことするわけない、って
言われるから多分私だけなんだと思う。
略奪されてるのは。

だから悲しくなっちゃって。
友だちだと思っていたのに。
私だけだったのかな、って。

正直に伝えてみたの。クミに。

そしたら、
「そう、あんたのこと友だちだと思ったことは一度もないよ。だってずーーーっと恋愛対象として見てたから。他の男に盗られたくなかったのよ、あなたを。」

断っておくと、ずっと話してた通り
わたしは今まで男の人としか付き合ったことないし
好きになったこともないのよ。

なのに、不思議だよね。
告白されたとき好きになっちゃたの、クミのこと。
ほら、好きになるってそう簡単に
止められるものでもないじゃん?

クミ、今回は私自身をあなたは奪ったんだから
すぐに別れたりしたら今度こそ絶交だからね?



同性愛の物語、実は結構好きなんですよ。

とくに日本だとまだまだ認められていないから
ロミオとジュリエットみたいに
付き合うまでのハードルが異性愛のそれとは
段違いなので物語として面白いんですよね。

ただ、一方でそれが恋愛である以上
異性愛と同じように浮気とかケンカとか
カップルのあるあるトラブルもありそうだけど
あんまりそこは描かれてない気がします。

実際は付き合えました。はゴールではなく
スタートなわけですからね。
そこから長く険しくでも楽しい時間が
はじまるのに。

あ、そういえばロミオとジュリエットは
どんな話か知りません。
なんとなくのイメージで引用しました。
間違ってたらごめんなさい。

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