いのっち@ショートショート

小説(ショートショート)を毎日書いています。 ショートショートとともに自分のついつい考…

いのっち@ショートショート

小説(ショートショート)を毎日書いています。 ショートショートとともに自分のついつい考えちゃったことも添えちゃいます。 コーヒーが飲めないのでヘッダーはミルクです。

最近の記事

ショートショート49『記憶喪失』

「ここはどこ?わたしはだれ?」 どうやら俺は記憶喪失になったらしい。 医者によると、歩行中に車とぶつかり 思いっきりふっとばされるも身体は無傷。 しかし、ぶつかったときの衝撃で 脳が揺さぶられたのか、気絶しそのまま 3日間ほど意識がなく、目覚めた時には 記憶のほとんどがなくっていた。 目の前にいる家族のことも、 自分のことも何一つ覚えていない。 家族、 というと本来自分の次に大切な人として あげられるが、それは長い記憶の産物 だったようだ。 目の前にいる家族は今の俺にと

    • ショートショート48『全クリ、その後』

      あれからもう20年くらいだろうか。 ラスボスを倒し、その後出てきた裏ボスまでも 倒し、名実ともにこの世界で無敵となった俺は はじまりの村にある実家のベッドの上から もう20年も動いていない。 まあ当然のことだ。 全クリしてしまったら神様はもうこの世界に興味はない。 また別のクリアしていない世界へと興味がうつる。 もう俺は二度とこのベッドから動けないのだろう。 神様がいなければ自分の意思で動くことはできないのだから… カチッ てってってれれれれ、てっててれれれれれ…

      • ショートショート47『思考性ウイルス』

        最近、どうも熱っぽい。 原因はわかりきってる。 最近突然変異したあのウイルスだ。 ちょっと前まで無害な単細胞野郎だったのに エネルギー源を自ら生産できる仕組みが誕生してから 爆発的に増えやがった。 その中でも特にやっかいなのが 自ら考えて動くタイプだ。 こいつらが誕生したせいで私の身体は 一気に蝕まれた。 ここでは「思考性ウイルス」とでも呼ぼうか。 この「思考性ウイルス」は 私の体温を適温に調節するための器官を どんどん破壊していき、おかげで私は 常に火照ったままだ。

        • ショートショート46『ゴミの分別』

          「燃えるゴミ」には燃やせるものを捨てましょう。 まあ、大抵のものは頑張れば燃やせますが。 「燃えないゴミ」には 燃やせないものを捨てましょう。 燃やせないものを無理に燃やそうとすると 地球に悪いのでやめましょう。 「資源ゴミ」には資源になるものを捨てましょう。 もはやゴミと呼ぶのも失礼。資源になるのだから 資源だけでいいじゃない。 「さえないゴミ」には さえないものを捨てましょう。 時間が経って魅力が落ちたものとかを さえない内に捨ててしまおう。 いつか、さえなくなくな

        ショートショート49『記憶喪失』

          ショートショート45『計画通り』

          ふふふ。 完璧なプラン、とはこのことだ。 3ヶ月前から張っていた伏線を本日回収する。 その名も 「カラオケdeファーストキス大作戦」 おれは今日カラオケボックスにて 彼女と人生はじめてのキスをする。 しかし、何の前触れもなく キスをすると向こうは引いてしまう可能性がある。 何より漫画のように突然キスをするなんて 自分がうまくできる気がしない。 そこでまず、 射程圏内にできる限り自然に入る必要があった。 そのために立てた伏線が 「おれ、あごの肉触るの好きだわ〜気持

          ショートショート45『計画通り』

          短編小説【飛躍の年】

          「年越しの瞬間を空中ですごす」 今となっては大して珍しくもない 年越しの儀式を2023年の今回もおこなった。 今年で通算10回目。 昨年は30歳になったからなのか 如実にジャンプ力の衰えを感じた。 しかも大学卒業後に 貯金の代わりに蓄えられた 体脂肪たちによって増量した身体が 着地の瞬間に1人暮らしのボロアポートに 「「「ドスン」」」 という予想以上に大きな音を鳴らした。 その後、予想通りに下の階の人から お叱りを受け、なんだか情けない 2022年の幕開けになって

          短編小説【飛躍の年】

          今日も書く気持ちがない

          誰に言われたわけでもないのに なぜか義務感が襲ってくる。 毎日書きたかったのは自分なのに なぜか義務感が襲ってくる。 昨日の自分は今日に期待してたのに 今日も書く気持ちがない。 書きたくないわけじゃない。 でも書くための心も体も揃ってない。 それでも今こうしてnoteを書いているのは なぜだろう。 誰かが書いてくれてるのだろう。 ありがとう。 おかげで毎日更新続けられてます。 明日は自分の手で書けるように なっているといいな。 明日からはきっと。

          今日も書く気持ちがない

          【ちょ〜短編小説】今日は書くために必要な頭がない

          むむむ ぐぐぐ うーん あ!いや〜 ままま あーあ 今日はおやすみ。 明日はきっと。

          【ちょ〜短編小説】今日は書くために必要な頭がない

          短編小説【1人の女として】

          こんなに時間をかけて化粧をするなんて 何年ぶりだろう。 子どもをはじめて産んだ25年前から今日まで 人前に出る上での最低限の化粧以外は してこなかった。 だから久々に化粧をした自分を鏡で見て なんだ、自分まだまだイケるじゃん。って 思ったんだ。 3人の男子を育て、昨日ついに一番下の子が 成人式をむかえたときが同時に私の 母親業の退職日にもなった。 そしてそれは女としての再出発日でもあった。 私は夫の意向から専業主婦だったので 友人からはよく、子育てに集中できて羨ましい

          短編小説【1人の女として】

          短編小説【男のくせに】

          恥ずかしながら あなたに打ち明けたいことがあるっす。 実は自分、男のくせにどうしても 雷が怖いんす。 少しピカッと光ったり、ゴロゴロ音が鳴るだけで うずくまって動けなくなるんす。 ええ、今は「男のくせに」とか そんな時代じゃねえことは 自分も重々分かっております。 でも、幼少の頃から父親に 「男たるもの…」と育てられたからでしょうか、 この事実ががとてつもなく恥ずべきことのように 思えてならねえんです。 しかも自分、見た目こんなんですから。 なんだか情けなくて… 「

          短編小説【男のくせに】

          【短編小説】恋人を紹介したくない女

          クミは女の私から見てもめちゃくちゃ可愛い。 いや、美しい方かな? まあ、 とにかく見た目がすごくいいことは間違いない。 それなのに、って言ったら変だけど 性格も、なんていうか 女子にも好かれる感じなんだよね。 男勝りでサバサバしてるし 細いのにどこ入るのってくらい食べるし 聞き上手だけどぽろっと発した一言が 妙に説得力あるし 友達想いでいじめとか許さない正義感もある。 まあ、自慢の友だちだったよ。 誰に紹介しても恥ずかしくないし クミと友だちであることが誇らしかった。

          【短編小説】恋人を紹介したくない女

          【短編小説】恋人はサンタクロース

          今日は12月28日。 ついにクリスマス当日。 え、クリスマスは12月25日? あなたのクリスマスはそうなんだ。 みんな違ってみんな良いね。 そうそう。 クリスマスはサンタが来てくれるんだよね。 1年ラストを飾るにふさわしいビックゲスト。 どんなプレゼントを頼んだのか? いやぼくはもう大人だからね、 欲しいものは自分で買うよ。 あ、でも強いて言うならサンタが 来てくれること自体が僕にとっての プレゼントかな。なんてね。 そうだ、あなたのサンタを見せてよ。 へえ〜結構個

          【短編小説】恋人はサンタクロース

          【短編小説】タイムリミット

          来月には私も30かあ。 もうタイムリミットだよ。 仕方ないよね。 だってあなた私に興味ないでしょ? いや私だけじゃないよね。 あなたは研究以外に興味がないの。 物理学の天才だ、とか アインシュタイン以来の逸材だ、とか 言われちゃってるけど 文系の私にはただの研究オタクにしか見えない。 はあ〜なんで好きになっちゃったんだろ。 高校の時どこかミステリアスなところに 惹かれて私から告白して返事も待たずに なかば強引に付き合ったんだっけ。 今思えば、長い長い片思いだった

          【短編小説】タイムリミット

          【短編小説】加工カメラ

          今日は牧場にデートしに来た。 自然はいい。 彼女も場所に合わせたナチュラルな ファッションに身を包んでいる。 いや、めちゃくちゃ可愛いな!!! というか素材がいいから 何着ても似合うんだよなあ。 ああ可愛いなあ。 それなのに、 彼女は写真を撮るとき 加工カメラしか使わないんだよなあ。 ノーマルカメラでは絶対撮影しないし もちろん撮影させてもくれない。 彼女曰く 「加工せずに撮影するなら目で見てるのと 変わらないから写真にする意味がないじゃん」 らしい。 言い分は分

          【短編小説】加工カメラ

          【短編小説】サンタさんだって。

          12月25日。 世界中の子どもたちの笑顔の量が 1年の中で最も多くなる日。 その笑顔を守るためにも 私たちサンタにミスはあってはならない。 そんなプレッシャーの中、 世界中の家をくまなく周るのは 心身ともに大変な仕事だが 一軒一軒プレゼントを運ぶために 見られる子どもたちのワクワクした寝顔は 疲れを忘れさせてくれる。 待っててね。 みんな。 全てのプレゼントを渡し終え 自宅に帰る。 「お〜そういえばお前にもプレゼントを 渡してやらないとな。ご苦労様。」 相棒のトナ

          【短編小説】サンタさんだって。

          【短編小説】シンギュラリティ当日に起こりそうなこと

          「ついに…ついに完成したぞ。」 「はい!ついに完成しましたね!」 大学で人工知能の研究をしている 山本教授と助手の高橋の両名は 研究室で小躍りをした。 山本教授はつぶやく。 「私の、いや全人工知能の研究者の夢は 人工知能が人間を超える『最初』の瞬間を 見届けること、つまり自分の手で シンギュラリティを起こすことに他ない。 そして今日、その夢が叶った。 この研究は日本躍進の一歩となる! さあ、目覚めよ! 人類を超えた初の人工知能『ゼウス』よ!」 「ここまでご苦労様。

          【短編小説】シンギュラリティ当日に起こりそうなこと