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さびしさを知る時は自分を愛しむ時

人は無意識にはぐらかしたり、目を背けたくなる感情がある。
それは「さびしい(さみしい)」という気持ちだ。
怒りや悲しみといった感情はなにかネガティブな出来事に起因して生じるものなので、「腹が立つ!」とか、「やりきれない」などと、すぐに言語化して自己理解することができる。

しかし、さみしさとか孤独感というのは特に理由もなく湧き上がったりするし、どこからともなく吹いてくる隙間風のように、心にそーっとしのび込んでくるものだったりもする。

たとえば誰かと外で遊ぶ約束をし、待ち合わせ場所や時刻を決め、出かけたとする。
その約束をすっぽかされ、孤独でみじめな気持ちになる、といった場合には、はっきりと「さびしい!」と言語化することができるだろう。
また、近しい人を亡くした後に生じる強い寂寥感も、すぐに自分で気づける類のさびしさだ。

しかし人は誰かと一緒にいる時も、大勢の仲間と笑って過ごしている時も、言葉にならない虚しさや孤独感、さびしさを感じることがある。
その感情を自分でタイムリーに察知する、というのはとても難しいし、なんとなく感じたさびしさというのは、理由・きっかけについてもなかなか明確には言い表せないもの。

誰かに解ってほしい気持ちがあるのに解ってもらえない、
なんかさびしいなぁ・・・

そばにいてほしいと思う時に限って、
あの人はいつも私のそばにはいてくれないんだよなぁ・・・

いつも強がりばかり言って、「一人でも平気」とか言ってしまう私。
なんでそんなこと言っちゃうんだろう・・・

こんなふうに(軽微なものであっても)自己嫌悪感に陥ったり、誰かになにかを期待してそれが裏切られたと感じた時に感じる孤独感やさびしさは、
その感情が湧き起こった瞬間、「モヤモヤ」という言葉でしか表現できなかったりするのではないだろうか。

そして、そのさびしさや孤独を意識に上らせ、さびしいと感じた理由を明確に言葉にできるようになるまでの間、「モヤモヤ」から逃げたくて何かに依存してしまう人もいる。

今回、その依存の内容については触れないことにするが、
とにかく人間は自分の中のさみしさと向き合うのがとても苦手な生き物だ。

私はたまたま若い頃から心理学を齧ってきたので、自己内対話によって自分の中のさびしさにも気づきやすくなったし、「私、今さびしいんだな」と思った時、どうすればその感情を緩められるか、工夫・研究を重ねることもできた。

気づくのが難しいからこそ、さびしさに気づけた時には自分をほめてあげなくてはいけないのかもしれない。

そしてさびしさや孤独感をキャッチした時こそ、何かに逃避するのではなく、さびしくなった理由をまず考え、どうすればそれを癒せるのか、解決法を丁寧に探る。

私はその癒しの手段の一つとして、その時の気分にフィットする音楽を聴く、ということを常に取り入れている{ほかにも色々「自分癒しのメソッド」はあるが、それについてはまた別の機会に紹介するようにしたい)。

以下、私が「なんとなくさびしい」と感じた時によく聴く歌を2曲ピックアップしてみた。



夕暮れ時はさびしそう
(1974年)

N・S・P(ニューサディスティックピンク)
作詞・作曲:天野滋

この歌は夕暮れの色彩(黄昏色)の中に、人恋しさとか、さびしい感情が山盛りに込められている。
しかし田舎の風景が素朴に描かれていることもあり、まるで童謡を聴いているかのような懐かしさや安らぎを感じるのは私だけだろうか。

この歌を聴くと、田舎の生家で五右衛門風呂に浸かる生活をしていた幼い頃の自分を思い出し、その湯気の匂いなどを思い出すのだ。

その後、成人になるまでに何度も苦難が襲ってきて、私はこの世に生きていてはいけない、などと自責の念に支配されていた時期もあった。

ともかく波乱万丈すぎた若い時代をなんとか耐え、ここまでよく頑張って生きてこられたなぁ、と感じる時、さびしさよりも自分への(良い意味での)愛しさが湧いてきて、「一人じゃいやだ」という気持ちをうまく宥めることができるから不思議だ。



誘惑  
中島みゆき(1982年
作詞・作曲:中島みゆき
編曲:船山基紀              

この歌の冒頭の詞は、まるで私のことだな、というのがこの歌を初めて聴いた時の率直な感想だった。

やさしそうな表情を無意識に作りがちな私は、人知れずさびしい気持ちになり、孤独感を抱えやすかった。

その気持ちに蓋をしようとすると、いつしか本当に「さびしい」と言えない大人になるんだな、と気づいたのは大学生の頃だったろうか。

さびしさをちゃんと受け止め、自分を支えよう、と思えるようになるまで大いに苦しんだ。
今改めてこの歌を聴くと、そんな昔の自分を冷静に振り返れる私に成長できたことに気づき、ちょっと嬉しくなったりもする。




本日も記事をお読みくださった全ての方に、心より感謝申し上げますm(__)m


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