見出し画像

出産の記録


出産日前日、最後の妊婦健診のつもりがまだ産まれる気配がないとのことで、漢方薬を処方してもらった上で、また1週間後に健診の予約をとった。

予定日に入院し、予定日翌日に計画無痛分娩をするはずだった。

産院選びは
一に、無痛分娩の対応
二に、費用
三に、距離

だった。

その結果、板橋区の都立豊島病院で産むことを決めた。

①妊娠期間の間に、無痛(和痛)分娩の対応が24時間365時間対応になり、②分娩後2時間以内に30分の面会も可能になった。また、③お子には会えないが入院中の産婦との面会も条件付きで再開し、コロナの5類移行とともに有難い対応の変化が続いた。

妊婦健診の待ち時間が長い、医師は担当制ではなく毎回変わる、総合病院なので食事は豪華では無いなどなど、そういった当たり前の類のことは全て覚悟の上だったが、実際、特に気にならず裏を返せば良い面も多々あった。入院食に関しては「産婦用特別食メニュー」というものが1食あたり500円でオプションすることができ、結果的に満足な食事内容だった。(0~1日目あたりは普通食)

話を出産当日に戻すと

その日は朝8時頃からお腹の張りとともに、痛みが伴った。1時間に3~4回程、時間は10分を切ることもあれば、20分近く開くこともあり不定期。長くても30分以内には陣痛がきて、1日中痛みが押し寄せては横になり、動けるうちに食事やお手洗い、ちょっとした家事をしていた。

夕方、間隔を測ってみると10分を切り、不規則ではあったが何となくこれは本陣痛だなと感じて

【18:07】病院に連絡をした。

しかし電話越しの様子からまだ前駆陣痛だろうとのことで、間隔が規則的になるか、破水や出血があればまた連絡してくださいとのことだった。

やはり出産はスムーズに行かないのか、まだまだこれからなのか、、と絶望を感じたが、それから1時間も経たないうちにもう限界を迎えた。このまま待っていたら病院まで行けないと感じ、更には鮮血もあったため、

【18:50】再び電話。

入院準備をして病院へ来てくださいとのことで、いざ出発しようとするも、ここから病院までの道のりが途方もなく感じた。

とにかく痛すぎて動けない。痛みの間隔は、30秒ほどで、常に痛い。四つん這いの姿勢が楽では無いが、まだマシな格好。

夫が荷物を運び出し、立駐から車を出してくれている間、財布と携帯、マスクを鞄にいれるまでするが、玄関から出られない。再び夫が10階の家まで戻ってきてくれて、何とか玄関を出るも、今度はエレベーターまでが遠い。(実際は、比較的近く5mくらい。)エレベーターを降りて車へ行くまでの間、社宅住民で母娘の親子とすれ違ったが体裁を気にする余裕もなく車へ乗り込む。

30秒間隔の痛みが続く中、夫は運転しながら絶やさず背中をさすってくれた。これが無ければもっともっと辛かったと思う。タクシーで1人で向かう状況だったらと考えると、絶対に無理。

日中、痛みの合間に、YouTubeや育児本で得た知識を披露して

不規則なうちはまだ前駆陣痛。ここで病院行ってもとんぼ返りで体力を消耗してしまうだけ。呼吸は吐くことが大事。しっかり吐くことができれば、自然と酸素を取り込める。などなど、

在宅ワークをしながらも、しっかりちゃっかり、それを聞いていた夫は道中、「吐くことに集中して!がんばれ!」と的確なアドバイス。とにかく息を長く吐くことに意識を集中した。

病院に着き、玄関の前で降ろしてもらうも、その場で崩れ落ち四つん這い。病院の前に一人、四つん這いの女性。今思えば何とも言えぬ滑稽な絵、、(笑)

車を駐車場に停めて戻ってきた夫に連れられ、救急外来へ。

ちなみに、車の入庫時間【19:22】

時間外受付で車椅子を借り、何とか乗って(恐らく退勤の職員の方が手伝ってくれた)緊急外来受付を目指す。2Fのところ誤って4Fに行き戻る。やや彷徨うも、夫が冷静に看板を見ながら辿り着く。(病院内の経路は予習不足であった)

緊急外来では保険証やら入院申込書やら提示を求められ、まとめてはあったもののここでもややテンパる。

助産師さん待ちの途中、同じく緊急外来へ受診にきていたおば様に励まされる。「頑張れ、頑張れ!赤ちゃんも頑張っているからね!!」本当に心強い声かけだった。

助産師さんが到着し、産婦人科の病棟へ。途中の待合室で夫と離れ、分娩室へ運ばれる。もう破水していたからなのか、いきみたくてしょうがなく、車椅子から降りる際、分娩台へもたれかかる形でいきんでいたら、「まだいきまないで!」と言われるも、助産師さんが子宮の出口に手をやると、おや?と言った感じだった。

分娩台へあがると、既に子宮口は全開。

無痛分娩担当の先生がやってきて、「こりゃやらない方が早いな」とのことで、「もう産まれますからね、20時には産まれます。このままいきましょう」と優しく諭してくれた。時計をみると20分をきっていたので、なら頑張れる!と思い、頷いた。

そして、自然分娩。

おそらく、4いきみくらいで産まれた。最後のいきみも、「次で産まれるよ!」と助産師さんに言ってもらい、よし!とやる気を出せた。


【19:48】娘、誕生。

病院到着から26分、あっという間の出産だった。

産まれたての我が子を見た瞬間、本当に本当に、愛おしかった。

パンパンに膨らんだお腹もいくらか萎み、分娩台で横になりながら自分の足元を見る景色に感動した。

そのあと胎盤摘出の処置(これはあまり痛くなかった)そして会陰裂傷した傷口の縫合(あまりのスピード出産に、切開する間もなかったが2cm程度で済みまだマシな方。でも痛いものは痛い。)

そして、先ほど別れたばかりの夫が分娩室へやってきて、そこから30分間、許された時間の中、私たち2人の大切な大切な娘との時間を過ごした。


以上が私の出産の記録である。


とにかく、先生、助産師さんへの尊敬感謝の念が莫大である。お産を担当してくださった先生、助産師さんのことはこの先忘れないと思う。また、その後の入院生活でも、沢山の方々に助けられ、赤ちゃんのお世話についても親切に教えていただいた。

コスパ重視でサービス面は二の次であったのに、ここで産めて良かったと心から思う。


私と夫、2人の人生の中で、2023年8月22日は間違いなく忘れられない1日になった。

私たちの大切な宝もの、大事に楽しく元気に育てていこう👶🏻🌱

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?