8月の広島行き

ひょんな事から、私と主人で広島観光に行くことになった。
広島から呉線に乗り、三原に。そこから、船に乗り換え、呉を見ながら広島を目指す旅。

本当は私の母も連れてきたかった。

私の母が祖父に連れられて、大阪から広島の長束に帰る時は、必ず三原から呉線に乗り換えたという。
途中の呉には、祖父が長年働き、終戦と同時にクビになった海軍工廠がある。懐かしく、遠巻きに見ながら旅をしたのだろうか。

戦争が激化する前、祖父母は呉に住んでいたが、危険だと思ったのか、家族を実家の祇園町長束(現在の、広島市安佐南区長束)へ縁故疎開させた。疎開先で母は生まれているはずだ。

母は、終戦後呉のキリスト教系幼稚園に通い、一年生に上がる頃に、祖父の再就職のために広島を離れて大阪へ出た。
さらに祖父が早死にし、祖母は母を連れて神奈川へ渡った。以来、広島へこの家族は行っていない。

母の幼い記憶の中の広島は、どんなだったのか。
祖父との思い出は、楽しかったろうか。

乳がんをやって、すっかり痩せ細ってしまった母を、本当は連れてきたかったが、断られた。
代わりに、大量に写真を撮り、土産と一緒にアルバムを送ってやろうと思う。

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