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サルトルの戯曲『出口なし』

Jean-Paul Sartre, Huis clos

ジャン=ポール・サルトルの戯曲、『出口なし』

1944年、パリ6区のヴィユ・コロンビエ劇場での初演。
http://vieux.colombier.free.fr

男女3人のうちの唯一の男、ガルサンの言葉:

GARCIN : Pas besoin de gril: l’enfer, c’est les Autres.

(火刑なんていらない。地獄って、他者のことだからね)

「地獄とは他人のこと」だって。サルトル、かっこいー。言いえて妙みたいな感じでしょうか。

このヴィユ・コロンビエでの初演は、連合国軍によるパリ解放の時代を象徴する伝説的な出来事となった…と、フランス演劇の授業で習った気がします。ちなみにこの伝説的劇場、1970年代に閉鎖された後、1993年に改装され、今はコメディ・フランセーズ運営となったようです。カルティエ・ラタンらしい、小さな丘の上のこじんまりとして温かみのある素敵な劇場です。

フランスの高校生は授業で読んで作文を書かされる戯曲のひとつみたいですね。3人の男女の愛憎入り混じるシンプルな会話劇を通して、「地獄とは他人」つまりは自分をとりまく世界は地獄、という現実を文字で認識、把握しておくのは、青春期にはよい気もします。ひとが「地獄=他者」を生きているという現実の中で、そこからいかに出発しどこに向かうのか、何が生まれ何がうまれず、などと考えさせられます。ふだん、覆いかぶされてしまっている認識のかさぶたを、ペリッとむかれてしまうような。

映画もあった気がします。

https://www.youtube.com/watch?v=T35TbGdzRRQ

シュルレアリスムっぽい表現だったような。映画館の密室に閉じ込められて、うんざりした状態で見てみたいです。

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