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"大人の海外イキり"のすすめ

留学から帰ってきた身として、せっかくなので「海外イキり」がしたい。「海外かぶれ」ともいう。あまり褒められたものではない、なんてことは承知の上である。その上で、やっぱり、イキりたい。そんなことを言っていたら帰国から2ヶ月が経った。

1.髪型とか、服装とかじゃなくて。

「海外に行くと前髪がなくなる」とか「スウェットしか着なくなる」とか、もうあるあるすぎてあるあるとしても成り立たなくなってきてるような「海外イキリ」がしたいわけじゃない。あれは様式美みたいなもんで、面白いかと言われればもはや、という感じがする。

とはいえ、「あー日本語出てこないなんだっけ」と言ってみたり、街中のカタカナを英語発音で読んでみたりという古典的なやつをやるのも気が引ける。笑ってはもらえるだろうけど、長友の結婚会見やルー大柴という大きな大きな壁を越えることはかなりの難問だ。

最悪なのは「海外だともっとみんなノリ良いんだけどねえ」とか「日本人は自己肯定感が低いよねえ」みたいな、バカデカ主語でのイキリ方。これはもう説明の必要もないだろうが、一瞬で友達がいなくなる。街中でこのタイプを見かけたら、視線を逸らさずに徐々に後退するといい。大声を出したり、鈴の音を鳴らすのも効果があるらしい。背を向けると容赦無く襲いかかってくる。心配な方はスプレーとか持っておくといいと思う。羞恥心を煽れそうな成分のやつ。

2.内面的なやつ

やはりどうしても「イキり」はリスクを伴う。割にリターンがほぼない。そしてなにより子供だ。

齢23、ついに本厄を迎えるこの僕。イキるにしても「大人の」イキリ方を考えなければならない。大人のイキリ方とは何か、それは「表情」である。

1月1日に日本に降り立ち、時差ボケを抱えたまま次の日には冬服を買いに5駅くらい離れたショッピングセンターに向かった。その電車内の僕は、「この電車の中でぼくだけ唯一昨日までデンマークで生活してましたけど???」という表情をしていた。もちろん声になんか出さないし、態度も服装も出国前と同じだ。ただ、表情だけは、全力でイキる。

似た類の例に、一人で下りの新幹線に乗る際に「東京で夢破れた結果、志半ばで地元に帰るやつ」の表情をするという遊びも提案したいが、これはまた別の話。

そして、友達にあったときには、「変わってなくて安心したー」と笑ってもらえるように、極力いつも通りを振る舞う。これが「留学に行っていたのに安易な海外イキりをしない」というイキり方である。

誰にも不快感を与えず、いや、自分の人間関係に傷をつけず、の方が正しい。それでいてしっかりイキれる。そろそろ2ヶ月経って留学話も賞味期限が切れてきたので、これから極東のこの小国への帰国を控えている人に後を託したい。

きっとあなたなら僕より上手く、全力で、静かにイキれると思います。ルー大柴という大きな壁に比べたら小さな小さな僕のハードルを、軽々と飛び越えていってください。

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