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The Bangalore Detectives Club バンガロール探偵クラブ

インドの大学で環境学を教えている女性学者、Harini Nagendraの書いたミステリー小説!しかも、1920年代が舞台です。まだまだイギリスの植民地政策が浸透しているインドで、医者の嫁としてバンガロアに来た女性が理解ある夫と、刑事の支えで難事件を解決していくもの。

これは「フライニー・フィッシャー」シリーズを彷彿させます。どちらも、1920年代、女性の探偵が活躍します。どちらも上流階級というのが、ちょっとアレですが、そうでもなければ1920年代に女性が探偵業なんてやってられない、という現実もありますし、協力者もいないですよねえ。

所々に、イギリス人専用の、とか、有色人種禁止、といった現実が出てきて、長期に渡ったインドの植民地時代に改めて思いを馳せますし、植民地にされた側からの話に今まで触れてこなかったことを反省しています。(そういう意味ではRRRはよかったです。)考えてみれば、昔はやったOut of Africaなんて、すごい話ですよねえ。

当時のインドの上流階級の暮らし、サリーの描写などは読んでいて楽しいですし、貧しい人々の暮らし、その格差も出てきます。イギリス人で医者という人たちのお屋敷の豪華さや、その妻たちの暮らしは、あまり細かい描写ではありませんが、マウンティングなどもあり、大変そうです。もちろん主人公とその周りの人たちは、カースト制も何のその、社会で虐げられている人たちに優しいのですが、現在でも続くインドの厳しい現実も垣間見れます。

バンガロール(現在のベンガルール)も、どこにあるか知らなかったのですが、南アジア有数の世界都市、ということで調べてみるとインド大陸のど真ん中(いや、下三分の一?)に位置するようです。言語もヒンドゥー語とは別にカンナダ語というドラヴィダ族の流れを汲む言語が州の公用語のようです。

続編にあたる新刊も出ているそうです。

ところで、教員が書くミステリーという流れで思い出したのが、以前読んだThe Violin Conspiracyの著者、 Brendon Slocumbの新刊が出るようです。今は予約注文の段階ですが、Secret of Symphonyということで、自分の専門(ヴァイオリニストであり教員)を生かしてミステリーを書いていて、このジャンルーー音楽ミステリー(日本では中山七里さんがいらっしゃいますね。)ーーの第一人者になるのではないでしょうか。

ともあれ、今、Harini Nagendraの新刊を読むか迷っています。他にも読みたい本が山ほどあって、仕事に必要な本から、息抜きの本まで、もっと読む時間があれば!(いや、もっと早く読めれば!)

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