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読書・映画鑑賞記録(2023)

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読んだ本や観た映画の感想。Twitterに載せたもののまとめです。
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記事一覧

読書:松原始 『カラスは飼えるか』(11/23読了)

とても興味深くて面白い一冊でした。 カラスの生態、行動と進化を研究テーマとする著者のエッ…

chigi
5か月前
3

同人誌紹介:睦月ネロ『ラブホじゃなきゃダメなワケ』(11/18読了)

睦月ネロさん(https://note.com/mutukinero)の小説『ラブホじゃなきゃダメなワケ』読み終わり…

chigi
5か月前
3

映画『月』(10/15鑑賞)

いくども鋭いナイフを突き立てられるような衝撃を受けた。 森の奥にある重度障害者施設で働き…

chigi
6か月前
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映画『高野豆腐店の春』(8/19鑑賞)

とても味わい深く染み入る、素敵な物語でした。 尾道で豆腐店を営む父と娘。陽も昇らぬうちか…

chigi
8か月前
4

志馬なにがし『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』(8/20読了)

花火を見上げるときに思い出すだろうな。 他人と関わらない生き方をしてきた大学生・かけるが…

chigi
8か月前
1

前川ほまれ『セゾン・サンカンシオン』(8/13読了)

とても他人事とは思えない彼女たちの姿に、胸を締め付けられる思いがした。 アルコール、ギャ…

chigi
8か月前

映画『658㎞、陽子の旅』(8/4鑑賞)

なんて突き刺さる物語だろう。 父が死んだ。葬儀のため従兄に連れ出された陽子だが、思いがけずヒッチハイクで青森に向かうことになる。道程で出会う様々な人々。遭遇する数々の出来事。ふいに現れる、父の姿――。 陽子の旅の行く先は。 まず印象的だったのは、陽子の瞳。なんだか虚ろで、刺々しく他人を拒むように見えたんです。 普段は家にこもって仕事をし、物資の調達も通販。人を前にすれば声は小さく、言葉はうまく出てこない。 “コミュ障”――そう言われる彼女が、人に声をかけなければならないヒッ

映画『イノセンツ』(7/28鑑賞)

大人の与り知らぬ子供たちの世界、その静かで激しい戦いに身震いがした。 両親、自閉症の姉と…

chigi
9か月前
1

映画『告白、あるいは完璧な弁護』(7/1鑑賞)

ひりつく緊迫感と息を呑む展開がたまらない。 ある密室殺人の容疑者たる男と、その弁護士。裁…

chigi
10か月前
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映画『怪物』(6/25鑑賞)

これは凄かった……。 靴を片方なくす、水筒から泥、“豚の脳”云々の奇妙な問い。息子の不可…

chigi
10か月前
3

平野威馬雄『レミは生きている』(6/9読了)

幾度も胸を突き刺され、じっくり噛みしめんとしてしまう作品だった。 まだ明治の1900年、アメ…

chigi
11か月前
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歌峰由子『陰陽師と天狗眼ー潮騒の呼び声ー』(6/6読了)

シリーズ第三弾。 怜路が過去と対面する中で、その悲哀以上に、彼を守り繋ぎ止めてきた者たち…

chigi
11か月前
2

映画『波紋』(5/27鑑賞)

静かに、ときに激しく広がる水面の揺らぎに、ひしひし打たれる感覚が幾度もした。 震災直後に…

chigi
11か月前
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映画『最後まで行く』(5/21鑑賞)

縺れ合い、どこまで行ってしまうんだこいつらは! と最後まで目が離せない作品でした。 雨の激しい夜、人を撥ねてしまった刑事。裏金問題、母の葬儀と慌ただしい中で死体を隠し続けるが、それを知っていると脅しをかけてきたのは監察課の男。 ハラハラの連続だったんです。死体がバレそうな事態が幾度も襲う。そのたび焦り、慌て、場をしのごうとする刑事は情けなく滑稽。でも豊かな表情と仕草には、憎めない愛らしさすらある。 撥ねた相手の正体、裏に広がる事情が明かされるにつれ、刑事を飲み込む事態の大き