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【仲條正義展】 モチベーションを上げてくれる、グラフィックの名作と名言。

すっきりと、よく晴れた朝。
銀座「クリエイションギャラリーG8」で開催されている仲條正義さんの名作展に行ってきました。
行ってよかった。最近、気持ちが少し落ち込んでいたけど、ちょっと元気をもらいました。

※タイトル画像は仲條さんがデザインしたロゴの数々です。




「花椿」はグラフィックの実験場。

「花椿」の展示コーナー

子供の頃、母が資生堂の美容部員をしていたせいで、家には商品情報冊子や接客マニュアルのようなものが常にあった。中でも異彩を放っていたのが「花椿」というパンフレットだ。
企業文化誌という位置づけなのだが、とにかくそのグラフィックはやたらカッコよかった。なんだか好き放題やってる感じがした。
もちろんただ単に好き放題やっているわけではなく、戦略や編集方針が存在していたはずだが、ページを開くとそこにはいつも自由な風が吹いていた。

仲條さんはその「花椿」のアートディレクションを長年担当された。

「花椿」についての仲條さんのコメント

「夏ひとつとったって、同じことをやったことはないという、自負はある」とか、「写真と建築とファッションが好きだと、だいたい雑誌はできる」とか、そういう言葉に挑発されたり、共感したり。
このほかにも、会場の壁のあちこちに仲條さんの名言がプリントされていて、それも見どころとなっている。たとえば、下のような。



名言その1

その偶然が起きるまで、何度も試行錯誤を繰り返す。一見、軽やかな言葉に見えて、その本質はとてつもなく重いのではないか。
一方で仲條さんはこんな言葉も残している。

締め切りが仕上がり。

まあ、そういう割り切りも必要だよな。クリエイティブにおける、全力と脱力のバランス。



希少動物がデザインしたパッケージ。

パッケージの展示コーナー
資生堂の仕事についての仲條さんのコメント

ここにはクライアントとデザイナーの幸福な信頼関係を感じとることができる。優れたデザインを生むための必須条件かもしれない。
アバンギャルドな作風からは尖った人と見られがちだが、おそらく仲條さん、とてもチャーミングな愛されキャラだったのではないだろうか。上記のコメントでは自分のことを「希少動物」「絶滅寸前」と自虐的に表現。そういうマインドをもった人は、確かに保護したくなる。
それにしても、このパッケージ群の尋常じゃない可愛らしさ!! とくとご覧あれ。



名言その2

コンペティションには不可解な一点を加える。

クライアントのお望み通りの表現案は、反対はされないけれども、強い支持が得られないことも多い。
「えっ、それ、どういうこと?」という“不可解”は、興味を喚起し、そこに新たな発見と納得があれば、お望みのさらに上に行くこともできる。
プレゼン案制作における私の座右の銘、「意表をつく正解」にも通じるものがある。



増殖する富士山、というアート。

富士山グラフィックの数々

一つのモチーフで、いくつものシンボルを創造するのは大変だ。色や造形をただ変えればよいというわけではなく、「切り口」を変えなければならない。
ここに登場した30個の富士山を丹念に見ていくと、仲條さんの思考の過程が見えるようでおもしろい。「こんな切り口、どう?」と、それぞれの富士山が語りかけてくる。



名言その3

デザインというものに対する仲條さんのストイックさが伝わってくる言葉だ。
どんなに美しいものでも、見慣れてしまった美しさは心を動かさない。
「そのデザインは君が考え抜いたうえで選択したものなのか。もしかしたら無意識に既成をなぞっただけではないのか」
仲條さんは我々にそう問いかけている。たぶん。



名言その4

本来、芸術は吐き気のするもので、
目新しさがそれを抑えるささやかな方法である。

炎上や苦情を避けるため、世の中からどんどん“吐き気”は排除されているように思う。広告における芸術的な表現もまた然り。「CM上の演出です。」と小さく入るテロップ、あれ、ホントに必要なのか。
吐き気がするほどの美しさ、目新しさに出会いたいし、創りたい。



「名作展」は入場無料、'23年3月30日まで。名作の魂は無期限。
仲條正義 1933-2021

「クリエイションギャラリーG8」WEBサイトより



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