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映画から学ぶ Black Lives Matter


Black Lives Matterの世界的な広がりを受けて、先日Netflixが「Black Lives Matter  黒人とアメリカ」という新しいカテゴリを作成した。

日本で生まれ育ってきた私にとって、人種差別や黒人差別について、これまでは学校の教室で、机の上で、テレビのニュースで、その事実だけを断片的にお勉強してきた。でも、黒人やアメリカに住む人たちにとって、この問題はお勉強ではない。日常なのだ。

これまで私は知らないことがあまりにも多過ぎたし、そんな自分を恥じている。でも、そう気づいたからには前に進みたい。起きている事実を断片的ではなく、なぜ起きてしまったのか、その過程を知りたい。

彼らの日常を知るために、そして日々流れてくる断片的なニュースをちゃんと理解できる自分になるためにも、最近は毎日映画やドラマを見ている。

私のちっぽけな力で世界を変えることはできないけれど、少しでも誰かにとって知るきっかけに、考えるきっかけになったらいいなという想いで、私が見た映画やドラマを紹介する。


13th -憲法修正第13条-

様々な視点から、アメリカにおける構造的な黒人差別の原因を明らかにするドキュメンタリー映画。この作品は「アメリカの人口は世界の5%。しかし世界の全受刑者の25%がアメリカにいる。異常だ。」という言葉からスタートする。アメリカでは、奴隷解放以降も、そして今も、法の抜け穴をついて、些細なことで黒人たちは大量投獄されていて、アメリカの社会構造や政治がいかに人種差別と結びついているのか、いかにこの問題が根深いのかを知ることができる作品。現在、この映画は、Black Lives Matterのムーブメントを受けて、NetflixがYouTubeで無料公開していて、日本語字幕を表示して観ることができる。


ボクらを見る目 (When They See Us)

1989年、ニューヨークのセントラルパークで起こった女性への性的暴行事件をめぐって、当時14~16歳のたまたまセントラルパークに居合わせた5人の少年たちが警察の無作為的な捜査で勝手に犯人に仕立て上げられ、さらには有罪となったという実話をもとに制作された作品。こちらはドラマで、全4話にまとまっているが、1話1話がかなりヘビーで毎話映画を見ているような感覚。衝撃的で、苦しくて胸が詰まる瞬間ばかりで、何度も涙して、もっと早く観るべきだったと思った。


今、ボクらを見る目 (When They See Us Now)

「ボクらを見る目 (When They See Us)」を観た後は、このトークショーを観るのがオススメ。容疑者として逮捕された5人の少年たちは、逮捕から13年後に無実が明らかになり、2014年にはニューヨーク市と和解が成立。賠償金が支払われた。かつて少年だった "セントラルパーク・ファイブ" と呼ばれた本人たちにインタビューしたり、出演者や製作者が「ボクらを見る目」への想いを語っている。本人たちへの言葉を聞いて、客席で涙していた出演者陣が印象的だった。


Selma (グローリー/明日への行進)

こちらはU-NEXTで鑑賞。1965年、黒人公民権運動の指導者・キング牧師が主導したデモ行進や大事件 "血の日曜日" を描いた作品。キング牧師を描いた作品はこれが初めてとのこと。家族や仲間たちと共に、言葉や行動で立ち向かう姿はとても力強く、彼がどれだけ偉大な人物だったか、改めて知ることができる。


Becoming (マイ・ストーリー)

元ファーストレディーのミシェル・オバマが綴った自伝「マイ・ストーリー」の出版ツアーを追ったドキュメンタリー。家族想いで、努力家で、負けん気の強さで突き進んできた彼女の真っ直ぐな姿が描かれている。彼女が発する言葉ひとつひとつが率直で力強くてユーモアに溢れてる。作中には黒人差別を感じる悲しいエピソードも赤裸々に語られていて、若い人たちへ「自分を時代に定義させちゃだめ。時代が変わるのなんて待ってられない。」と語る姿はとても印象的。


Hidden Figures (ドリーム)

1961年、まだコンピューターのなかった時代、NASAのマーキュリー計画(有人宇宙飛行計画)を実現するために差別と闘いながら、"計算手(数学者)"として活躍した3人の黒人女性たちの姿を、実話に基づいて描いた物語。差別や偏見に負けずに、才能と努力で道を切り拓いていく彼女たちの明るい姿は聡明でかっこいい。


HOMECOMING: ビヨンセ・ライブ作品

コーチェラ・フェスティバルで、黒人女性初のヘッドライナーとしてBeyoncé が総勢200人を超える「ブラック・オーケストラ」とともに魅せたパフォーマンス。そのリハーサルから本番までを追ったドキュメンタリー作品。黒人女性の素晴らしさと誇りを示したショーで、ショーを作り上げる過程から本番のパフォーマンスの一瞬一瞬、すべてに熱い想いが込められている。もちろんライブとしての鑑賞も最高に楽しめる。


今日は7つの作品を紹介。まだまだ観たい作品はたくさんある。また紹介しようと思う。ぜひオススメがあれば教えて欲しい。

ネットで調べて、文字で見て知るだけじゃなく、映像で見ることで色んな気付きがある。「Black Lives Matter」運動をきっかけに、日々自分にできることを模索しているが、毎日目にするニュースやこうした色んな作品に触れてみると、様々なことを知れば知るほど、無知な自分が本当に恥ずかしくなる。そんな無知な自分とは一秒でも早くサヨナラしたいし、知ったからにはもっと知る必要があると思った。これからも学び続け、私にできることを模索していきたい。


武藤千春

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