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ニューヨーカーとパリジェンヌとヤマトナデシコと|暮らすように旅してみるニューヨーク編

ニューヨークのオフィス街、ミッドタウンですれ違ったビジネスウーマン。
タイトミニスカートのスーツにパリッと身を包み、
大きめのサングラスにブロンドヘア、
素足に10cmヒールを鳴らしながら歩いていった。

どこから見ても自信の塊のようなその女性は、足や首のシワを見る限り50歳オーバー。
堂々とした姿は「かっこいいな」と思った。
日本人的感覚からいうと、首のシワはスカーフやハイネックで隠し、
足のたるみはロングスカートやストッキングで隠すだろう。
それを隠さない潔さがいいなと思った。シワも歳を重ねることも、隠さない選択もあるのだ。

ニューヨーカーのファッション

ニューヨークの街を歩く女性を見て感じるのは、ファッションは自由、露出も自由、年齢も自由。なんなら下着が見えていても、透けていても気にしない。
「これが私よ!」と言わんばかりに、とにかく自己主張を楽しんでいる人が目につく。

パリジェンヌのファッション

おしゃれな街といえばもう一つ思いつくのが、パリ。
かつてパリに行ったときに感じたのは、化粧っ気のなさだ。
ナチュラルメイクではなく、ノーメイクで街を歩くことも厭わない。
ただし、肌のケアは入念。アムールの国だけあって、パートナーに触れてもらうためなのかなと想像する。
服装はシンプル。「少しの良いものを長く持つのがいい」と、質素さを好む女性が多かった。
自分のことを熟知して、個性を持っていることが好まれる。

ニューヨーカーとパリジェンヌの共通点

ニューヨーカーとパリジェンヌに共通しているのは、全体としておしゃれな人が多いわけではないけれど、自分のためのファッションをしているということだ。
わかりやすい言葉にすると個性的。

日本のファッション感覚

日本はどうだろう?
会社員時代、朝礼で服装やメイクの検査があった。スッピンはNG、ストッキングは夏でも着用がマストだった。巷にはオフォス用メイク講座もあるほどだ。
ファッション雑誌では、「今期の流行」や、「モテファッション」、「ママ友用ファッション」などの特集が目立つ。他人の目(外的要因)を気にしたものだ。
「気持ちを落ち着かせて良い文章を書きたいとき用ファッション」など、内的要因に注目した特集は見当たらない。
流行に遅れるとみんなから置いていかれるからか、それとも他人のしていることが羨ましく見えるのかわからないが、周りや誰かと同じようなヘアスタイルで、同じようなバッグを持って安心している人もそれなりにいる。

大和撫子の呪い

日本で売れ筋のファッション雑誌を見る限り、個性を消すことが目的かと思うほど、人の目を気にすることに特化したファッションからなかなか脱却できていない。なぜかと考えてみると、大和撫子というワードがふと湧いてきた。

「女性は男性を陰ながら支え、心を強く持ちつつ控えめで自己主張をしない」
なんていう、昔の大和撫子の呪いが個性を奪っているのかもしれないなと。

日本の女性がニューヨークやパリを憧れの街にあげるのも、「自分らしく」が受けるのも、他人の目からの解放を求めている人が増えてきているからではないだろうか。今に居心地の悪さを感じている人が増えていると感じる。
この昔ながらの大和撫子の定義もブラッシュアップする時代にきている。
(それで書いたのが『淡麗女子のススメ』でもある。現代の凡人が自分らしく生きるためポイントをまとめてみた本です)

善悪でジャッジしない

個性的は悪くいうと、自分勝手とも言える。無個性は良くいうと、周りとの和を大切にしている。

憧れのニューヨーカーも髪をボリューミーにし立て過ぎたあまり、映画館の後ろの席の人に迷惑をかけるときもあるし、パリジェンヌも他人の目を気にしないあまり、毛玉がつきまくったタイツを履いてきて(実際よく見かける)、場の清潔感を損なうときもある。かといって、ヤマトナデシコらしく周りとの調和を意識するあまり、自分を見失う必要もない。
何ごとも絶対的な善悪なんてない。
自分とも他人とも闘わないで済むところに居場所を見つけるのがスマートな生き方。ファッションに命をかけてないなら、尚更そのカテゴリで自意識を爆発させ過ぎたり、流行や他人の目を気にし過ぎて、自他共に消耗するようなことは避けたい。過ぎたるは及ばざるが如しと、昔の人も言っている。
不要を捨て、いいところを取り入れる。そんな聡明さが、アメリカでも、フランスでも、日本でもステキな個性になるのではないだろうか。

自分の型を持つ

かくいうわたしは、ファッションにはあまり頭を割きたくない人間なので、不可抗力的に流行を追えていない。
ファッションに頭と時間を節約するコツは、「仕事着はこの型」と自分のスタイルを決めてしまうことだ。印象を変えないことで、個性を生かしながら、人にも覚えてもらいやすくなるのでオススメ(そういう意味で、さかなクンの帽子は理想的とも言える…)。
ただ、自分の型が見つかれば、同じようなものばかり買うので、カーキのワンピース5着は帰国後の断捨離対象になりそうだ。頭を使うのを節約しすぎて何も考えずに買いすぎるのもよくない。過ぎたるはなんとやら。

追記
なんてことをそぞろと考えつつ、街並みや人波を感じたい。だから、外国人の多い観光スポットに行くのは二の次になるのが、暮らすように旅してみるスタイルです。このシリーズは続く限り続きます:)

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