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「余力」ポジションだからこその働き方

6月半ばから産休期間に入った。里帰りしたものの、仕事のない生活が寂しくて寂しくて…この頃ようやく、ゆったりとした時間の流れに慣れてきた。

実は私、社会人生活5年目にして、この妊娠期間中がいちばん、仕事をするのが楽しくてたまらなかった。

その要因は大きく2つある。

1つには、個人的な気持ちの問題で、「○月○日にはチームを離れる」という【締切】ができたことで、「それまでに私ができること(=優先順位が高いこと)」にとことん腹を決めてコミットできたこと。(この【締切】感は、復帰後はひとつひとつの仕事のゴールをちゃんと意識するという形で継続したい!)

そしてもう1つの要因は、チームの中のポジショ二ングの問題で、妊娠初期、悪阻が辛く仕事を休ませてもらった上に、復帰後も「いつ体調が崩れてもおかしくないし、しかも数ヶ月後にはいなくなる」ことを踏まえた仕事配分をしてもらえたことによって、無理なく働くチームの【余力】ポジションでいられたことだ。

チームにおける【余力】ポジションの人

こんなこと言うと、日々前線でバリバリ守ってくれている人からすると「ゆるゆる働きやがってこのヤロー」という感じかもしれないのだけれど、【余力】の人がいることはチームにとって結構プラスになりうるんじゃないかなとおもう。
というのも、常に全力で走っているチームこそ、普段「もっとここをこう改善したいのになあ」「こうしたらもっと効率が上がるのになあ」と思いながらも、現実にはなかなか手が回らないことってあると思う。

私の部署は特に、毎週やってくる生徒や保護者様、また日々悩みを抱えるアルバイトの講師の先生など、「現場」を抱える部署だからこそ、目の前の対応に追われれば追われるほど、中長期的な改善が必要なときこそ、そのための手を回すのも大変!という事情がある。

そんななかで、「ここは責任持ってお前がやれ」という比重が重くなく、フットワーク軽く全体を見渡して、中長期的な改善を中心に担える。
それが、妊娠中だったり、育児や介護など、何かしら事情を持ちながらはたらく【余力】の人のポテンシャルなんじゃないだろうか?

【余力】の人がいきるための条件って?

ただし、そうした【余力】ポジションの人がチームに貢献できるためには当然いくつかの条件が必要だろう。

そこで、チームや組織づくりに興味がある人間として、今回、私個人が【余力】ポジになって働いてみて「必要だな」と感じたことを書き留めておこうと思う。大きく3つだ。

① 事情を理解しフォローできるチーム体制
② 体調等をふまえ無理をしない自己マネジメント力
③ 指示待ちでなく主体的に働くための自分軸

① 事情を理解しフォローできるチーム体制

なんといってもチームの体制は大きい!

例えば今回の私のように妊娠中の人であれば、たいてい妊娠発覚とほぼ同時に悪阻がスタートする。安定期に入っても、いつ切迫流産・早産(赤ちゃんが早くに生まれそうになってしまうこと)などで入院や自宅安静を余儀なくされるかわからない。

そんななかで、そういうメンバーの事情を考慮する余裕のない職場であれば「なんだよあいつ!」と個人を責める方向へ気持ちが向いてしまう人も出てくる。
事情を抱える本人もまた、必要以上に自分自身を責めてしまいがちになる。
そんなふうに精神的に追い詰められた状況下では、仕事のパフォーマンスの質が落ちる可能性が高い。

誰がどんな状況になったとしても、カバーできる体制や仕組みをいかに普段から構築するか。それは経営やマネジャーの役割でもあるし、またチームを担う一人ひとりとして、そのためにできることをする、そんなチームであることが大事じゃないか、と思う。

また、その前提として「理解しようとする姿勢」は大切だ。(「妊娠してもあの人はバリバリ働いてるのになぜあなたはそんなに休んでいるの?」なんて言われた日には、たまったものじゃない…。)

② 体調等をふまえ無理をしない自己マネジメント力

1プレイヤーとして必要だと思ったことの1つが、ある程度の自己マネジメント力だ。

先にも述べたように、妊娠中の状況は人それぞれだ。悪阻ひとつとっても、軽い人・重い人、妊娠期間中長くにわたって続く人、においがダメな人やひたすら常に何かを食べていないとダメな人などなど…そんなにも多彩なのか!というのを、今回私自身、自分が妊娠して初めて知った。

だからこそ、相手に理解を求めるだけでなく、自分がどういう状況なのかをまず自分で把握すること、そしてそれをかかわる人に伝えて、必要ならば「助けてください」と言えること。最低限それができないと、自分も潰れてしまうし、その結果チームにもかえって余計な負担をかけることになる。

チームづくりという観点からいうと、一人ひとりのプレイヤーがそうした自己マネジメントができるよう、無理をさせない風土・必要なときに互いにヘルプを言える空気を作っておくことが大切だろう。

③ 指示待ちでなく主体的に働くための自分軸

もうひとつ、プレイヤーとして【余力】の人になったときに重要なのが、主体性、つまり状況を見ながら自分で考えて行動できるということだ。

上から次々仕事がふってくる、という状況であれば、最悪自分で考えることがなくても、命令に従い、指示された通りや決められた定型通りに仕事をこなすこともできるかもしれない。

だが、【余力】ポジションになれば、「絶対にやらなければならないこと」の比重が減る。その分、もし幸運にも時間や労力が余剰に生まれたとしたら--それをどう使うかについては、指示を待つのではなく、自分で考えて提案したり、動いたりできることが大切だと思う。

でなければ、「どうしたらいいですか?」と指示を仰ぐことで、上司や周りの人の頭の容量や時間をいただいておきながら、最悪「やっぱり体調が悪くできませんでした」と、結局その分が無駄になったり、チームに余計な負担を増やしたりといったことになりかねない。

さらに、【余力】ポジションとして、チームの足を引っ張らないというだけでなく、先に述べたような「普段手が回っていないチームの中長期的な改善にコミットして価値創造するレベル」まで目指すならば、組織の目指すビジョンを自分のなかに描きながら自律的に動くことが不可欠になると思う。(※私がどこまでそんな動きができていたかは置いておいて。)

事情があっても、もっともっとはたらきたい!

いろんな事情があってフルタイムで全力コミットが難しい人が、どうしたらチームのなかで活躍できるか?を、結局ひとことで言うならば、チームの個々人が、その人のできる範囲で【自分で考える】と【まわりと連携しあう】ができる、そういう組織なんじゃないだろうか。

そして、そういう組織やチームって結局、フルコミットできない事情を抱えた人だけでなく、誰にとっても働きやすく、楽しい職場ということになるんじゃないか?という気がしている。

もちろん妊娠したら仕事を辞める選択をしたい人もいるとは思う。それはそれで、その人の選択だ。
だけど、「働きたいけど働けない」とか、「職場に迷惑をかけるくらいならやめよう」とか、そういう選択とはいえないような選択をせまられる人が、もっと自分らしい選択ができるようになれば、職場も個々人もよりハッピーになるだろうな、と思う。

ちなみに、私が今の職場にさらにわがままを言うならば、里帰り出産に向けての通院のため、34週という法律で定められた範囲でいうと1番早いタイミングで帰らなくてはならなかったので、リモートワークができる体制さえあればもっとギリギリまで働けたのに!と思っている。

働き方改革が、ただ数字の上で残業を減らすとかでなく、一人ひとりの「私はこう生きたい」と結びついたものになるよう、引き続き産休育休と、復帰後の仕事と、楽しんでいきたい!

働くことは楽しいよって言えるおかーちゃんでありたいのだ。

#妊娠 #妊娠中の働き方 #組織づくり #チーム #働き方改革

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