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【時代背景】なぜ土木建築業界は中堅層がいないのか?

 先日、地方中小企業の土木建築の企業さんを訪問させていただきました。社屋もきれいで、ホームページも整備されており、新卒を毎年採用し、離職率も低い企業でした。

募集の希望はご他聞に漏れず、土木施工管理、建築施工管理の人材が足りないので探してほしいという要件でしたが、その中でも、中堅どころがいない、という話でした。中堅どころというと、30代の中盤から40代の前半辺りの層で、なかなか見つけにくいな、と思いながら、何気なく話を聞いておりました。

ちなみに、この世代が新卒入社する時期はどんな時代背景があったかご存じでしょうか?

ちょうどこの頃といえば、2008年新卒になりますので、高卒で1989年生まれ、大卒で1985年生まれになります。

2008年といえば、すぐに思い浮かぶのは
やっぱり「リーンショック」と認識してる方も多いと思います。
日本の株価等に影響のあったのがちょうど2008、2009ですので、当にその頃だとわたしも認識しており、その件ですよね、と思っておりました。

ただあえて聞いてみました。地域性もあるのかなと思ったので。

私:「やっぱりリーマンショックですか?」

企:「もちろんリーマンショックもあるんだけど、
   一番は、『コンクリートから人へ』だな」

私:「?」

そう、私は知らなかったのです。

「コンクリートから人へ」
2009年に政権交代を果たした民主党が掲げたスローガンで、マニフェストに「コンクリートではなく、人間を大事にする政治に」と記し、建設を中心とした公共事業をコンクリートに置き換え、従来の自民党政権が、ダムや道路、空港など大型建築物(コンクリート)に巨額の税金を充てていたことに対し、抜本的に予算を組み替え、子育て・教育、年金・医療、地域主権、雇用・経済への予算充実を目指し、政権交代後、大幅な公共事業の削減、事業仕分けの実施やこども手当の創設を決定した。

参考:一般財団法人環境イノベーション情報機構

「大幅な公共事業が削減」により、大手ゼネコンの仕事も減り、大手からの下請け仕事も減ったことにより、地方の中小零細企業への仕事も減り、中には倒産する会社も出たんだそうです。この企業でもやはり、業務が増える見込みどころか、減るのが目に見えたところで、新卒採用をはじめとした採用活動を見送ったこともあり、現在の中堅層の不在につながっているんだそうです。

そのほかの企業さんでも同じような世代で年代の谷があり、国の方向性や、国策の影響力が見て取れました。おそらく当時は、「人」関連に予算が付き、関連する業界は潤ったのかもしれません。その時はその流れの真っただ中でも、過去から現在、現在から未来の流れを理解しつつ、考えるとなるほどと思うことが多々あります。こういった感覚をこれからも持っていきたいと思いました。

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