見出し画像

高架下のおじいさんたち

今日のわたくし(ADHDによる)ハードなようでイージーな、イージーなようでハードな1日を先ずはご紹介。


ネイル予約時間30分前に起きる→時間変更してもらう→それでも遅刻する→キャンセルされる→諦めて古代メキシコ展見に行こうとする→上野駅に到着してから東京国立博物館が今日は休館日だということに気づく→違うネイル店に時間に余裕を持って予約する→本を読んでいて電車から降りるのを忘れる→また引き返す→余裕をもって予約したのにも関わらず、ちょっと遅刻する。

というADHD節炸裂な1日。
これで帰宅して今に至る。
1日無駄にした…と思う日が私(重度なADHD)にはよくある事だ。

なんだか最近、涙袋の”プクり”具合が調子いい。
メイクをしている時にそう感じるのだ。
他の人がどうとかは知らないが、涙袋の”プクり”具合が調子いい時は大抵涙を溜め込んでいる時だ。と、勝手に昔から思い込んでいる。

1時間もかからないネイルの施術の為に、貴重な1日をかけた。しかもこんな晴天の日にだ。
その帰り道、なんだか泣きたくなった。
やはり、涙袋の”プクり”具合の説は的を得ている。
ただこの泣きたくなる気持ち、きっと今日のこの1日に対するものではないな、と思った。

なんとなく、最寄り駅から2つ手前の駅で降りてとぼとぼ歩いた。
ボブディランを聴きながら、虚無な感じで、煙草をふかしながら。
暑くて暑くて汗が止まらない。
何にも労力を使っていないこんな日だからこそ、せめても大量に汗をかいて帰りたかったのかもしれない。
歩いていると路上生活者のおじいさんが、私と同じく大量に汗をかき、拭っているのが見えた。

気がつくと私はすぐそこにあった自動販売機の前にいて、またも気がつくと、お水と偽物みたいなスポーツドリンクを1本ずつ買っていた。
おじいさんに手渡した。
「暑いですね」とだけ言って、渡した。
おじいさんは何も言わず頷いて、それらを受け取った。

都内なんかにはこういう人達で溢れている。
何が理由でその生活になったのかは分からないが、同じ人間だ。それに、私もいつかなり得る事なのかもしれない。
かと言って、助けたつもりも同情するつもりもない。ただ単に、冷えた水と冷えた偽物みたいなスポーツドリンクをのんで欲しかっただけだ。
そういえばこのおじいさん、いつもここに居る。
前から見ていた、知っていた。なんとかしてここに居続けている。
いつか、何か差し入れでも持って行ってあげたいなとかの考えを通るたび秘めていたから、お水を渡せただけでも、なんだか嬉しかった。

そこを立ち去ると同時に、耳にボブディランをまたも押し込んだ。
何故だか、すぐそこまできていた涙が引っ込んでいた。

すぐ近くの脇道で、今度はまた別の路上生活者のおじいさんが、またも汗を拭っているのが見えた。
通り過ぎようとも思ったけど、ゼロかヒャクの人間だから、同じものを彼にも手渡さないと、なんだか気持ちが悪かった。
こんな事を都内でやろうものなら日が暮れてしまうものだなと思うと少し悲しくなる。
路上生活者に対して、”自業自得だ。”なんて事を言う人もいる。
確かに、もしかしたらこのおじいさんも、人でも殺めて刑務所から出ても尚社会に復帰できなかった末の人なのかもしれない。
でもそんな事はどうでもよかった。

今度ははっきり「ありがとう、助かるわ」と言ったのが聞こえた。
助ける気持ちも同情する気も、”ありがとう”という言葉が欲しいからした事でもないけれど、私は嬉しかった。物凄く嬉しくて、笑顔になっていた。

その時思ったのだ。
そうだ、私たぶん、人と一緒にいて笑わせる事とか楽しませる事とかは得意でも、相手に”感謝”されているのかは分からいから怖かったんだ、って。だから、なんだか最近すごく寂しかったんだなあ、って。
こんな私に”感謝”してくれている人たちも中にはいるのかもしれない。
だけど、それって目に見えないから、時々不安になる。
ましてやこんな自分勝手で自由奔放は私のことだから、迷惑しかかけていない。
だから、泣きたい気持ちだったんだなって

合計でたかが500円もしない飲料水たちを渡したのはやっぱり、少しでも”感謝”されたかったのかな。
たかが500円ぽっちでヒーローにでもなれるとでも思ったんか。自分。と思うけど、多分そう。

私が毎週どこかしらでいつも同じ場所に居続けるあのおじいさんに何かしら持っていってあげるようになったら彼は喜んでくれるのだろうか。私のことを心のどこかで待ってくれていたりしてくれるのだろうか、とか思う。

人はきっとみんな、
誰かに待っていて欲しいんだ
そして、誰かに感謝されたいんだ
そんな事を気づかせてくれた2人のおじいさん達

なんだ、全然無駄な1日じゃなかった。

無駄な1日だと感じた日は逆にいつも行動出来なかった事をしようとしてみたりすると、無駄どころか特別な1日になる。
私的、前向き幸せ人間はきっとこうやって生まれていくのだと思う。


おじいさん達ありがとう
おかげで素敵な1日になりました。

毎週のどこかしらに、何かしらをもってくる”美女”がいると、巷で噂になってすごい人数のおじさん達でいっぱいになったらどうしよう^^
それはそれでいいじゃない
その時はもう大盤振る舞いです!

そのぶんきっと私の涙袋はすっかりなくなってしまうんだろうな。

この記事が参加している募集

スキしてみて

3行日記

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?