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タバコミュニケーション

“タバコミュニケーション”という造語をご存知だろうか。

まだ入りたてのアルバイト先での事だ。
「更衣室にタバコの箱が落ちているけど誰の〜??」
という呼び掛けがあった。
このアルバイト先でタバコを吸う人間は既存の社員さん1人のみ、らしく、その社員さんにまず聞いてみたらしいのだが、「僕のじゃない」との事だった。

『では、誰が??』
他の従業員で吸っている人がいないのなら、
それは当然私のものだった。
一応、銘柄を聞いてみた。
“ハイライトメンソール”

まだお店に慣れずに、猫を被りペコペコしまくっている私にとって、それを知られるのはなんだか印象が悪い気がした。

しかしながら、運の悪いことに、
そのたばこ、まだ買ったばかりの新箱だ。
私じゃないと言いたい所だが、いずれバレてしまうだろうし500円をドブに捨てる事なんて貧乏性の私にとって、とてもでき難い事だった。

「あ、すいません私のです、、」
意外。という顔をされた。
たばこの持ち主をみんなに聞いてまわっていたので、みんなに知られた。


私はヘビースモーカー、な訳では決してない。
というか、ほとんど全く吸わない日もある。

ソレはお酒をのむと、吸いたくなる物なのだ。
お酒をのんで、音楽を聞くと吸わずにはいられない。
お酒をのんで、人と話す時、その相手がタバコを吸っていたら無意識に自分もライターをポッケの中から探し求めているのである。
お酒をのんで、酔い覚ましに外を散歩する時なんかは逆に吸わない方がアホである。

全てお酒に関係しているのであるが、あくまで朝起きてすぐに吸いたくなるようなものでもなく、
歯磨き後のタバコは最高と、ヘビースモーカーである父や元彼氏が言っていたその行動は私には理解できなかったし、日頃から2日に1箱のペースで消費したりする事もない。
酒をのんでいるときなんかは、その日中に一気に1箱消費してしまう、なんてことはよくあるが。。
それぐらい私の中では、酒とタバコの因果関係は、オレオと牛乳ぐらいには等しいものだと言えよう。
そして私はなにしろ、お酒愛好家であった。


「持ち主見つかって良かった!
さ、今日もよろしくお願いします〜」
と、気まずい雰囲気を帳消しにするかの如くそのお店の1日が始まった。

このお店、超繁盛店。
私語をできる間もなく時間が過ぎていく。
有り難かった。
ピーク時間が終わり、私は大量に積まれた洗い場の皿達を必死になって洗っていた。
すると後ろからある先輩が、「タバコ吸うんだ?どのくらい吸うの?てか、ハイライトって、、!」と、面白おかしく聞いてきた。

「あ、吸うんですけど、お酒飲むときとか!それぐらいなんです。周りで吸ってる友達が多くて。あと、ハイライトを吸ってるのはコスパが良いからで。すいません。」何故か謝ってしまった。

先輩も「なんで謝るの!」とゲラゲラ笑って、こうも言った。
「それ、タバコミュニケーションだ」と。

私はとんちんかんな顔をして、その話は終わった。

タバコミュニケーション、なるほど。
面白い造語だ。
確かに私がタバコを吸い始めたのも、昔の彼氏が吸っていたり、周りの友達が吸っていたからだった。
周りのほとんどみんなが吸っている中、自分だけ吸わないのもみんなに失礼だと感じていた当時。
今ではそんな風には思わないが、周りが吸っていると自然と手が箱に伸びてしまう。

タバコは体に悪いと言われ、酒も過剰に摂るのは良くないとされている。
が、しかし、人間の娯楽でそういうもの達に触れていく事によって意外なことに、世界が広がっていくように感じる。(個人の意見です)

喫煙所で出逢い仲良くなった人もいれば、
居酒屋やワインバーなどで仲良くなり今では月に3回ほど会うほどになった人もいる。

アルコール、ニコチンそれらが人に及ぼす害は計り知れないが、それによって得る事もある気がする。と私は考える。
なので、プラマイゼロなのだ。

タバコミュニケーション。
アルコミュニケーション。

まだ若いからそう思うのよ。と、この事を話した母に言われたが、実際その通りで。
でもこのコミュニケーションを続ける限りは、
マイナスにならぬよう尽くしていきたいと思う。

この記事を書きながら、いかに自分が馬鹿馬鹿しい人間かということを思い知らされたが、
私はまだ若い。
こういう馬鹿な事をコツコツとこれからもしていきたい。
まだまだ体に悪い事をしていきたい。

大人になった自分が、この記事を見つけ読み返す事があるのなら、私は重くたるんだケツをかきながら怒鳴る事だろうと思う。
もしくは、若かりし私に色んな人脈が増えた事を感謝し、笑っている事だろうとも思う。

大人になった自分へ
大人になったら、ヨガコミュニケーションにでも専念してね。

では

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