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それでも子供は親に期待する。

父が突然キレる理由。
その大部分は、ただ虫の居所が悪かったというだけだったと思う。
大人になった今なら、例えば仕事の疲れや理不尽な目に遭ったなど、想像でき得る理由は無限にあるが、当時、子供だった私には、皆目見当がつかず、ただただ、親の顔色を伺いながら暮らす日々だった。

とは言え、理由が明確にある時も、もちろんあった。
それは、私が何か悪いことをした時と、そしてもう一つ。
父は、自分の学歴に極度のコンプレックスを持っているようで、勉強をしない、できないという理由。

幼稚園ぐらいから九九を暗記させられ、それができないとこのまま殺されるんじゃないかと思うほど殴られたり、片手だけを引っ張られ、階段を引きずり降ろされて、家の外に閉め出されるなど、「勉強」を理由に暴力を振るわれる時も多々あった。

キレた時の父は、目ん玉をひん剥いたような顔つきになり、少年漫画などに度々登場する「イってしまっている」というような表情で、暴れまくり、その状態になった父を誰も止める事はできなかった。

しかし子供は、そんな父に対する恐怖と反発を覚えながらも、それでも「私の事が大事だから怒っているけど、その表現方法がただ不器用なだけ」なのだという、幻想から来る期待を抱き続けるのだ。

「親は子供が大事に決まっている。だって優しい時もあるし、そもそも私たちを養うために、ほぼ休むことなく働き続けてくれている」。

この、勘違いと親への幻想によって将来、私は更なる地獄を味わう事になるとは、予想もしていなかった。

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