お父さん、わかっていますね?
「お父さん、わかっていますね?」
なぜか息子はぼくにですます調でこう迫る。
「え、なんのことだかわからない」
とぼくがとぼけると般若のような形相になって
「ギューギューとかヨシヨシとか自発的に可愛がりなさい」
などと言う。
ちょっと待て。
キミが妹と同等の待遇を求める気持ちはわかるが、妹は自分からお父さんのところにやってくるのだ。なのにキミは自分からは来ないで、俺のほうから行動しろというのか。
と、至極真っ当な回答をするからよくない。
はいはいよしよしかわいいかわいいとやってやれば全て丸く収まるのはわかっているのだが、俺もそこまで大人じゃないからいけない。
かくして息子の目論見は外れ、そこへ妹が抜け目なくぼくのもとへやってくるから仕方なく抱っこでもしようものなら息子の心は嵐に荒れるのである。
それで妻と話し合ったのである。
やはり赤ちゃんの頃構いすぎたな、と意見が一致した。
息子が「ひっ」と声を立てればすぐさま参上していたのがよくなかった。
なんでもかんでも構いすぎた。祖母からあんたら構い過ぎよと言われたのは正しかったのである。
それに引き換え二番目はほっとかれる運命にある。
「ひっ」と声を立てたくらいでは親はやってこないのを知っている。
その違いが今出ているのである。
この世には三つ子の魂百までという恐ろしい言葉があるではないか。
ナイーブでジコチューな少年の心を救う方法は果たしてあるのか!
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